津軽じょんがら節

劇場公開日:

解説

故郷津軽を嫌って都会へ出た女が、愛人の殺傷事件によってふたたび津軽へ戻って来る。だが、その男は日本の土着的な空気に次第に惹かれていく……。脚本は「昼下りの情事 古都曼陀羅」の中島丈博、監督は脚本も執筆している「花心中」の斎藤耕一、撮影も同作の坂本輿隆がそれぞれ担当。

1973年製作/103分/日本
原題または英題:Jongara
劇場公開日:1973年12月20日

ストーリー

津軽の荒れ果てた漁村に、中里イサ子がヤクザ風の若い男をつれて帰って来た。この村は東京のバーで働いていたイサ子の郷里である。男は岩城徹男、よその組の幹部を刺したために追われており、イサ子は徹男を匿うためと、出漁中に死んだ父と兄の墓を建てるつもりだったのだ。海辺の小屋で二人の新しい生活が始まったが、徹男にとっては単調な毎日が、やりきれなかった。そんな徹男を、盲目の少女・ユキは慕っていた。やがて生活に行きづまったイサ子は、村の飲屋に働きに出た。村から出ようという徹男に、イサ子は墓を建てるまで、と言い返すのだった。昼間、ユキと遊ぶ徹男は明るかった。そして徹男は、ユキの祖母から、盲目の少女はイタコか瞽女になる、という話を聞いた。イサ子の稼ぎを当てにしている徹男は、村の連中を集めて花札賭博に熱中していた。父の遭難には保険詐欺の疑いがあるとして保険金の支払いを拒否され、貯金通帳を飲屋の同僚に持ち逃げされるなど、イサ子の不運は続いた。しかも、次第に自分から離れていく徹男に不安を感じ、徹男と一緒に村を出ようと決心した。東京からの追手の気配を感じた徹男は、ユキを騙して金儲けをしようという、飲屋の主人・金山の話に乗った。翌日、旅仕度をした徹男は、何も知らないユキを、客のいる飲屋の二階へ連れて行き、イサ子の待つ停留所へ向った。その時、徹男は津軽三味線の音を聞いた。盲目の女旅芸人--瞽女の中にユキを見た。彼は幻想を見たのだ。身をひるがえした徹男は、飲屋へ戻り、ユキを救った。そして、徹男はこの村に留まる決心をしたのだった。そんな徹男を見てイサ子は「あんた、ふる里が見つかって、よかったわね」と咳くと、一人村を去っていった。以来、徹男は海に漁に出て働き、ユキの家に帰っては互いに求めあった。しかし、その幸福な日は長くはつづかなかった。ある夜、徹男は何者かに、ドスで腹をえぐられ、そのまま暗い河口へ落ちて入った……。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5津軽三味線のもの哀しい響き‼️

2024年11月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

泣ける

悲しい

幸せ

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活動写真愛好家

4.0十三湖のしじみの事だと思うが、しじみは外洋で採るものでは無い。養殖...

2024年4月20日
スマートフォンから投稿
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マサシ

5.0津軽じょんがら節を聴いて感じる、無常や諦観といったそういう感情こそがテーマです

2022年2月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

大昔、渋谷の公園通りの西武百貨店の並びの東京山手教会の地下に「渋谷ジァン・ジァン」という伝説の小劇場がありました
伝説というのは、文字通りそこで語り草になった伝説の公演が数多く行われたからです
本作の津軽三味線を演奏している高橋竹山の津軽じょんがら節の公演もそのひとつです

今ではもうどれほどのひとが津軽じょんがら節、津軽三味線のことを知っているのか分かりません
しかし、80年代の中頃アメリカ公演まで行われる程の人気があったのです
民謡というより、サブカルチャーの音楽として捉えられていました

高橋竹山の津軽三味線の音色は、インストルメンタルにも関わらず感情を鷲掴みにしてトランス状態にまで聴衆を連れ去る力がありました

本作のタイトルは「津軽じょんがら節」ですが、高橋竹山のその音楽は劇中冒頭とラストなどに流れますが、それは短くあまり大きな音でもなく、その音楽自体をテーマに取り上げたものでもないのです
津軽じょんがら節を聴いて感じる、無常や諦観といったそういう感情を津軽の五所川原までバスで2時間もかかる、おそらく竜飛崎に近い漁村の初冬を舞台に描いたものです

冒頭、どちらも盲目の若い女性と老女が二人、波が荒れる海辺で津軽三味線の練習をしています
若い女性は大変に悲しみに満ちた表情です
そしてラストシーンはこの冒頭のシーンに戻ってきます
彼女は瞽女(ごぜ)さんになろうと修行を始めたのです

瞽女とは門付巡業する盲目の女旅芸人のこと
詳しくは、1977年公開の篠田正浩監督の「はなれ瞽女おりん」をご覧下さい

なぜそうなったのかが本編の中味です
その彼女の悲しみ、それに深く共振する観衆の私達の感情が「津軽じょんがら節」なのです

「はなれ瞽女おりん」は1923年頃の新潟県から福井県小浜にかけての越後、北陸、若狭を舞台にした物語です
そして本作は1973年の公開
つまりちょうど50年後の瞽女の物語です

今年は2022年、来年は本作公開から50年、「はなれ瞽女おりん」の時代から100年になるのです
21世紀の今も瞽女さんがいるのかどうかわかりません
だだそうした人達が日本海に面した厳しい気候の地方で門付(かどづけ)巡業していた、ただそれだけで何か胸が打たれるものがあるのです
それは「砂の器」での巡礼の旅の光景を思い出させるものがあるのです

本作の監督は斎藤耕一、カメラは坂本典隆の名コンビ
素晴らしい映像に酔いしれます
江波杏子がキネマ旬報主演女優賞に輝くのは納得の名演です
寒色の色調の画面の中で、彼女の真っ赤なフラノ地のコートの目の覚めるような効果、それに負けない彼女の演技は見ものです

猛烈な荒波が、寒風に逆巻く津軽の海の光景とその音がいつまでも耳に残ります
そして津軽三味線の悲しい音色も

劇中、何度か挿入される瞽女さんの絵画は、「吉原炎上」の原作者として有名な斎藤真一のものてす

これぞATGの映画を観た!というべき、名作中の名作です
数々の映画賞を獲得するのは当然でしょう
ぜひ「はなれ瞽女おりん」とセットでご覧になって下さい
本作はその作品の後に観ると瞽女さんとは何かを理解した上で本作をご覧になれますから、その順番をお薦めします

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あき240

4.0フィルムが沈んでるような色気

2020年3月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

津軽三味線がべんべん鳴るだけで空気が締まります。
故郷から逃げた女と故郷を見つけた男、ずっと故郷から動けない盲目の女。みんな悲しい顔してるけど、後景に海が騒ぐ彼らの沈んだような色合いは感傷たっぷりで、ずっとまぶたに残りやす。

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filmpelonpa

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