忠臣蔵 花の巻・雪の巻(1954)

劇場公開日:

解説

大谷竹次郎が総指揮に当る松竹の特作映画で、大衆作家村上元三が「噂の女」の依田義賢と共同で脚本を書き「素浪人日和」の大曾根辰夫が監督に、同じく石本秀雄が撮影に当る。音楽は「此村大吉」の鈴木静一。松本幸四郎が「花の生涯」に次いで二度目の映画出演するほか、「びっくり五十三次」の高田浩吉、「君に誓いし」の月丘夢路、「平手造酒(1954)」の山田五十鈴、「青春前期」の淡島千景と田浦正巳、「黒い潮」の瀧沢修、「此村大吉」の鶴田浩二、「愛」の桂木洋子、「伝七捕物帖 刺青女難」の北上弥太朗、「江戸の夕映」の瑳峨三智子、「若さま侍捕物帳 恐怖の折り鶴」の坂東鶴之助、「君に誓いし」の高橋貞二らである。

1954年製作/233分/日本
原題または英題:Forty Seven Ronin
配給:松竹
劇場公開日:1954年10月17日

ストーリー

元禄十四年三月、勅使接待役浅野内匠頭は高家吉良上野の侮辱をうけ、ついに殿中で刃傷に及んだ。目付役多門伝八郎の正論にも拘らず、幕府は一方的に浅野の非を責め、、即日田村邸で切腹の上、家は断絶となった。知らせを受けた赤穂では城代家老大石内蔵助のもとに幾たびも総登場の会合が開かれる。中小姓の毛利小平太は許婚しのと別れて仇討の同意に参加する。城を開渡したのち、大石は山科に居を構え、遊蕩にふけると見せて、お家再興を計っていた。江戸の同志からは幾度も仇討ちを決行せよとの声が上る。内匠頭の弟大学を推して浅野家の再興を志す願いも破れ、大石は妻子をその郷里に帰し、長男主税をつれて江戸へ下る。岡野金右衛門は本所の吉良邸近くに雑貨屋を開き、吉良家の女中おつやに恋をささやき、邸内に出入りして屋敷の間取りを探る。そのころ小平太は闇の女に身をおとしたしのに出会った。憎みながらも離れられない二人であった。元禄十五年十二月、大石以下は周到な計画のもとに吉良邸を襲撃したが、病身のしのにすがりつかれた小平太は、ついに姿を見せなかった。吉良邸では、おつやが上野が炭部屋にかくれていると金右衛門に告げ、吉良の付人井狩の刃にかかって死んだが、四十七士は見事に上野の首をあげ主君の眠る泉岳寺に引揚げ、墓前に仇討の報告をした。そのりりしい様子を、遠くから聞いているのは脱落した小平太の痛ましい姿であった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

3.0四十六士

2018年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 四十七士ではなく、四十六士になっていたことも驚きだが、吉良邸討ち入りの際の重厚な音楽(伊福部昭)がゴジラのテーマそのまんまだったことに笑ってしまった。

 207分という大作であるのに、松の廊下刃傷事件までが1時間ほどかかる。さすがに加山雄三を大切にしていたのか、演技が下手なだけに飛ばして観たくなった。それでも脚本は事件の詳細を描き、吉良が賄賂を要求していた様子がよくわかる。

 岡野金右衛門の恋の絵図面取りがかなり描かれていて、相手の兄がフランキー堺。大工仲間も由利徹などコメディアンを入れて、雪の巻ではかなり笑えて、庶民的な描写が楽しめる。俵屋伝藩(三船)の存在がなかなかよくて、序盤での千坂(志村喬)とともに『七人の侍』を思い起こさせる。討ち入り前に自害してしまった48番目の赤穂義士萱野三平の名が大石の槍先に結ばれていたのが印象的。

 全体を通して武士の魂のようなものが描かれ、潔く自害することが美徳であると訴えているように感じる。それでも、敵討ちだけではなく、幕府への批判精神をも感じさせ、まとまりは弱いものの面白いテーマがあった。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
kossy

他のユーザーは「忠臣蔵 花の巻・雪の巻(1954)」以外にこんな作品をCheck-inしています。