地球防衛軍のレビュー・感想・評価
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モゲラは脇役で良いのか?!〜 単調を繰り返せば、より単調になるだけ
ゴジラ、ラドンという「地球上生物の変異型」に続く本作は、ついに「地球外生物(異星人)」と戦うことになった。
ミステリアン、モゲラ、電子砲、α号・β号、マーカライトファープ、、、
ネーミングを会議で決めたのなら、さぞや喧々諤々盛り上がっただろうなあ…と勝手に想像してしまう(笑)
また、異星人をどう造型するかも議論の対象(正解はないのでキリはない)だろうが、本作では気持ちよく地球人と同じにした。ただし、熱に弱い、という設定だ。
・水爆による内戦で住む星を失ったというミステリアン、
・彼らミステリアンの望みは入植地と女性、という現代のヤカラも真っ青の原始的欲求、
・本作の至るところから窺える冷戦下の緊張や核戦争の恐怖、
などの要素から、反核・反戦をそれとなく訴えてはいるのだが、完全なる反戦(反暴力)映画とまでは言えないのは、異星人ミステリアンの非常識かつ非礼な振る舞いを、地球人も結局は『チカラ』で解決することになるからだ。
ところで、本作における異星人との戦いは、類似したSF映画とはあまりにも異質なものだ。
ミステリアン側の兵器は主に3つある。
1.空飛ぶ円盤
2.ドーム型基地(移動しない)
3.モグラ型巨大ロボット・モゲラ
モゲラの存在は脇役だが異彩を放つ。
見る角度によっては、大魔神やジャイアントロボのように見えなくもない、モグラ型ロボット・モゲラは、その巨体に似合わずあまりにも役立たずだ。
1台目はダイナマイト的な爆発物であっさり使用不能に陥り、
2台目に至っては地上に出てくる前に、アクシデント的な感じで地球人側の巨大兵器の下敷きになり行動不能となる。
登場の意味を疑うほど弱い。
ウルトラセブンのウィンダム、否、初代ウルトラマンに登場するピグモン並の弱さだ。
見るたびに「これ、要ります?」と声に出てしまう。
主敵はドーム型基地なのだが、ドームには動きがないので戦闘シーンは極めて単調にならざるを得ない。
その単調さを補うために、第一次、第二次と波状攻撃を仕掛けるのだが、補うどころか単調さを増幅させてしまう結果になっている。
なぜ、モゲラに主敵となり得べき強靭さを与えなかったのか、謎は深まるばかりだ。。。
よくこの脚本で突っ走ったな、と妙な感じで勇気を讃えてしまうが、SF映画なんだから作った人が正義であり、イヤなら二度と見なければ良いだけである。
わたしですか?
★1.5という辛口採点しているくせに、すでに5回は見てしまっている。モゲラを見て笑いたくなるからだ。
映画館の大きなスクリーンで伊福部昭の音楽を堪能できるだけで幸せ
宇宙人が欲しがってたのは日本女性。
今ならアリエルの姉妹みたいに世界中から集めてこないと問題になりそう。
避難する群衆。これこれ、よく見たなぁ。
迎えうつ自衛隊。リボルバー・リリーの帝国陸軍さんよりずっとしっかりしてたなぁ。
午前十時の映画祭ありがとう。
モゲラ
私の生まれる前の映画で子供の頃には見ておらず
映画館で今回、上映していたので見て来ました。
当時のゴジラ・ラドン等の怪獣モノと違い宇宙人
の侵略モノです。
1.宇宙船をイヤと言う程、攻撃し過ぎな所が意外な
発見で、ややしつこいくらい
2.モゲラは可愛くて最高なのですが、後半に再度
出て来た所は、レーザー光線板と共にアッサリ
コケて終わったのは、笑えました。
佐原健二を始めキャスト、演技など最高でこの後
Qやマンへと繋がっていく前の映画として興味深く
楽しめました。もちろん、当時の映画モノとして
65年前の特撮だから・・・
午前十時の映画祭13にて。
富士山のふもとで山火事が起き、山崩れが続発し、地中から怪獣モゲラが現れたが、爆薬でモゲラは爆破された。五千年前、原水爆により自らの遊星を破滅させたミステリアンが侵入していて、湖の中から球型のドームが現れ、このドームを中心に半径三キロの土地と江津子、広子ら五人の女性の引渡しを要求した。しかし、要求は聞かず自衛隊が攻撃を開始したが、ロケット砲も戦車砲もドームには効果がなかった。自衛隊は全滅し、全世界の科学を集めて抵抗することになった。広子、江津子たちは警戒してたが拉致された。地球軍はマーカライトで攻撃を開始し、ドームの外壁を真赤に変色させた。ドームは報復に湖水の水をあふれさせ、マーカライトや市街を水底に沈めた。ミステリアンに協力しようとしていた亮一は江津子たちを逃がして爆破スイッチを入れ、ドームは大爆発を起し、空飛ぶ円盤は逃げ去った、という話。
1957年公開だから、65年以上前の作品。
色々とツッコミどころはあるが、ウルトラマンなどのヒーローが出てこない中、なんとか地球を守ろうとするところは悪くなかった。
河内桃子や白川由美など、綺麗な女優さんも観れたしそこそこ満足。
あっゴレンジャー?
それはさておき、展開がとろく平板な印象。その反作用か、マーカライト投入が燃える。あんなパラボラに声援を送ってしまう不思議。
それにしても、地球人は土壇場迄まとまらないくせに、やっつけ仕事に強い。
侵略者は、警告者で放浪者
東宝特撮1957年の作品。
『ゴジラ』が同社本格特撮怪獣映画の元祖なら、こちら本格特撮SF映画の元祖。
…いや、邦画の同ジャンルでも名篇ではなかろうか。
富士山麓一帯で怪事件が相次ぐ。
大規模な山火事の発生、謎の怪物の出現…。
これらは“始まり”に過ぎなかった。
やがて地中から巨大ドームが出現。
全ての事件の主は、火星~木星の遊星群の一つ、第5惑星ミステロイドから来た異星人、ミステリアン。
平和主義者で、ドームから半径3キロの土地と地球人女性との結婚を求めてきた。
一方的な要求を防衛隊は拒否し、戦闘が開始。が、ミステリアンの圧倒的な科学力の前に敗退。
地球人類は世界中の英知を結集させた“地球防衛軍”を結成。地球の命運を懸けた“最終防衛決戦”の火蓋が遂に切られた…!
ドストレートなくらいの地球人類対侵略異星人。
今から60年以上も前の作品なので、ツッコミ所やリアリティーの無さ、ユルい点、雑な点、粗い点は多々あり。(モゲラ弱っ!、何故かミステリアンの結婚相手候補に選ばれるヒロイン…)
でもそれらを含めても、徹底したエンタメ作りで面白さは充分!
今回実に久々に見たのだが、やはり面白く、東宝特撮の中でもトップクラス!
何と言っても一番の見所は、地球防衛軍/ミステリアン側それぞれに登場するメカニック。
ミステリアン側は空飛ぶ円盤、巨大ドーム、モゲラと異星人設定なので当然SFチックだが、注目すべきは地球側。
空中戦艦α号、β号、自走光線兵器マーカライト・ファープ、巨大輸送機マーカライト・ジャイロ…。
単なる空想兵器ではなく、“本物を造る”をコンセプトにデザインされ、その魅力とカッコ良さは色褪せない。
クライマックス、両陣営が繰り広げる大決戦。当時、東宝特撮初のカラー・ワイドスクリーン作品だったとか。
合成による光線の乱舞。
それらと爆発、噴煙の的確さ。
言うまでもないミニチュア、操演の見事さ。
1954年『ゴジラ』で名を轟かした円谷特撮演出は、さらに極まり!
伊福部昭の名曲“地球防衛軍マーチ”がさらにさらに盛り上げる!
中盤の防衛隊対ミステリアンもなかなか見逃せない。
通常兵器で闘うのだが、つまり実在の自衛隊兵器が多く登場。
それらが実物フィルムと精巧なミニチュア/特撮交互に用いられ、あまりのリアルさに驚かされる。
ミステリアン・ドーム内部はユニーク。
特筆すべきは、ミステリアンの設定。
ヘルメットやマントを装着し、赤・黄・青で階級分け。
なので顔は見えないが、「顔が見えないから面白い」と総統役を引き受けた土屋嘉男の心意気に拍手!
(尚氏は、日本の役者で初めて異星人を演じた、と生涯自慢だったとか)
人間ドラマ部分はいつもながら平凡。
が、ミステリアンの描写には少なからず見るべきものがある。
10万年前の水爆兵器戦争で母星を失ったミステリアン。
生き残った僅かな者が火星へ移住するも、長い年月が経ち、種の繁栄は風前の灯火…。
そこで目を付けたのが、地球。新たな居住と種族の繁殖。
科学力は地球を遥かに凌ぐが、一個の“ヒト”としては繁殖力も生存力も地球人類に劣る。
ただの絵空事、他人事…と笑っていられないかもしれない。
今地球も、世界中あちこちに核ミサイルがある。
明日は我が身。
確かに彼らは友好的なフリして近付いた侵略者。その一方、
警告者で、永遠の放浪者。
闘いに敗れ、夕空に去っていく彼らの姿が哀れで仕方なかった。
あまりにもチープでベタ過ぎる侵略SF。
でもその分、ストレートな面白さ、ワクワクするようなメカニック、メッセージ性…。
和製SFとしは勿論、古今東西のSFとしても、“最終防衛ライン”の不滅の名作である。
子供の頃は、モゲラの登場シーンにワクワクしたけれど
大人になってから観ると、やはり突っ込みどころ満載。
高い科学力を誇るミステリアンだが、基地のセキュリティーはお粗末なようで、簡単に人間(佐原健二)に入りこまれてたり。
特に2度目だか3回目だかの登場の際、地上から頭を出しただけで終わったモゲラのだらしなさには大爆笑。
ま、当時の特撮技術としては最高峰だったんでしょうね。
でも、もう観なくていいな。
企画会議を類推
おそらく観ているのだろうが忘れてしまった作品。
ゴジラ、ラドンに続く東宝特撮シリーズ、特撮人気に加えソ連の初の人工衛星打ち上げ、世は宇宙時代、乗り遅れるなと作られたのでしょう、企画会議はおそらく・・・
・予算がかかるから宇宙人との全面戦争は控えたい、前進基地攻防にしよう
・タコ形宇宙人は操りに手間がかかるから人間もどきに割り切ろう
・戦場は都会より山間の方が安上がり、富士山麓、自衛隊協力でどうだろう
・やはりちょっとでも怪獣はださないとファンが納得しないだろう、何か考えて
・被爆国としてのメッセージ性はお約束、核使用は不可
・病気で自然死では真似になるのでやはり敵の武器の流用、潜入戦しかないか
・円盤は「宇宙戦争」型、こちらはロケット型がかっこいい(大気圏では無理だろうが・・)
・新兵器はオプティカル処理の都合で光線式
・もっともらしい嘘は科学者に言わせるに限る
・美女は目の保養、多少はサービス、白川さんよろしく
・やはり自己犠牲は感動を呼ぶ、平田君よろしく
・あの・・やっぱり技術で米国に負けたくないので国産の新兵器もいいでしょうか
・当たればシリーズ化だから殲滅せずに少しは逃せよ
TOHO SCOPEに映える富士裾野の科学戦争!
DVDで3回目の鑑賞。
地球の科学力を凌駕する侵略宇宙人に対して、人類が大同団結。地球防衛軍を結成して敢然と戦いに挑む。日本映画において、このジャンルの作品は本作が初かもしれません。
富士裾野の集落の夏祭りの日、不穏な山火事が発生するところから物語がスタート。科学者の失踪や続発する奇怪な現象で不安を煽ってからのモゲラの登場はまさに演出の勝利でした。
電子音を発し黙々と進撃するモゲラは、ナイト・シーンによって不気味さを醸し出していました。身長がゴジラの2分の1に設定されたことで精緻さを増したミニチュアも目を引く。
富士の裾野で展開されたミステリアン要塞への総攻撃が圧巻でした。東宝初のパラボラ兵器「マーカライト・ファープ」から放たれる光学合成による光線が鮮やかなことこの上無し。
大小のミニチュアで表現された遠近感がシネマスコープ画面に映えて、めちゃくちゃ迫力がありました。このための富士の裾野だったのかと、巧みな演出が素晴らしかったです。
[余談1]
宇宙人のモノマネとしてお馴染みの喉を手で叩きながら発声する「我々ハ、宇宙人ダ」は、本作での土屋嘉男演じるミステリアンの司令官の話し方のモノマネがその始まりだそうな。
[余談2]
平田昭彦と河内桃子は何故こうも結ばれないのか?
そして最後に教訓を語るのはやっぱり志村喬。
[以降の鑑賞記録]
2020/10/16:Blu-ray
2022/06/11:Amazon Prime Video(東宝名画座)
2023/08/27:Blu-ray
※修正(2023/08/04)
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