抱かれた花嫁

劇場公開日:

解説

松竹の大型映画、本格的第一作。システムは“松竹グランドスコープ”(タテ・ヨコ比一対二・三五)。明朗喜劇花嫁シリーズの第一作でもある。「土砂降り」の共同脚色者の一人、椎名利夫と「踊る摩天楼」のこれも共同脚色者の一人、光畑碩郎の合作シナリオを「母と子の窓」の番匠義彰が監督、「近くて遠きは」の生方敏夫が撮影した。主演は「海人舟より 禁男の砂」の大木実、「母と子の窓」の高橋貞二、「体の中を風が吹く」の有馬稲子、片山明彦、「土砂降り」の田浦正巳、「異母兄弟」の高千穂ひづる。ほかに望月優子、日守新一、戦丘雪路、小坂一也など。色彩はイーストマン・松竹カラー。

1957年製作/96分/日本
原題または英題:Love du Jour
劇場公開日:1957年7月14日

ストーリー

浅草の老舗「鮨忠」の女将ふさは戦争未亡人ながら三人の子を育て上げ店まで復興させた男まさり。ところが長男の保は芸術家肌で、すし屋を嫌って家出、今はストリップ劇場の座付作者、次男の次夫は大学生だが哲学専攻という変り者で店を継ぐ子供がいずふさの頭は痛い。仕方なく彼女は長女の和子に、袋物屋の三男坊、秀人を養子に迎えようとする。が勝気な下町娘の和子も、店の客で動物園の獣医福田健一と意気投合し秀人との縁談に見向きもしない。ふさは、妹の絹枝から気性が強いばっかりに子供たちとうまく行かないのだと云われ、若い者に理解を見せようと次夫が結婚したいと云う光江に会うため国際劇場へ行く。ところが光江をロケット・ガールと知って若い者を理解するどころか二人の交際を禁じてしまう。次夫は悲観、見かねた和子は彼を家出させ兄の保のアパートへかくまう。次夫の家出で憂うつなふさは今度は和子から、福田と結婚できなければ家出すると云われ、福田を養子見習として店に入れる。福田は慣れぬすし屋の仕事をやるが失敗の連続。さすがに見かねて和子が偽グレン隊を店に乗込ませ福田がこれを軽くさばくというプランを立てたが、話の行違いで福田は本物の立回りを演じて店を壊す自分は怪我するで、ふさの信用を益々落す。福田は日光へ療養に出かけたが、その福田に和子の恋のライバルとしてニュー・フェイスの富岡千賀子が現れた。それを知った和子が当てつけに秀人を連れて行ったのがもとで、福田と和子の仲は破れた。和子は潮来の友人宅に身を隠した。和子の失踪に、ふさは慌てるが騒ぎのうちに「鮨忠」は近所の火事で類焼する。落胆するふさに一番優しい見舞の言葉をかけたのは意外にも福田。ふさも自分の頑固を認めた。かくて八方まるくおさまり、次夫と光江の仲は許され、和子と福田も再び元の仲に返った。

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