「神が怒れる時」大魔神 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
神が怒れる時
ガメラシリーズと並ぶ大映特撮の名作。
1966年に3本が公開され、その記念すべき第1弾。
この頃東宝ゴジラは徐々に子供向けへとシフトし、前年に始まったばかりの大映ガメラも後に子供向けになっていったが、座頭市シリーズや眠狂四郎シリーズなどで評判の大映時代劇の要素を活かし、大人の鑑賞に耐えうる作品となっている。
時代劇と特撮が巧みに融合、正統派の勧善懲悪時代劇として普通に面白い。
戦国の世。ある城下で家老が謀反を起こし、城主は討たれたものの、まだ幼い遺児兄妹は忠誠な家来に助けられ、難を逃れる。巫女の助けもあってある洞窟に身を隠すが、そこは恐ろしい魔神伝説が言い伝えられている山であった。
十年が経ち、悪政はさらに民を苦しめていた。いよいよ行動を起こすが…、敵の手に落ちてしまう。
捕らえられ、殺され、そして魔神像までも壊されようとした絶体絶命のその時…!
大魔神が登場するのは終盤になってから。それまでは人間ドラマがメイン。
特撮映画のあるあるは人間ドラマ部分がつまらない事が多いが、本作は王道時代劇として本当に面白く見入ってしまう。
主人公たちの危機、悪役が居て、メリハリあって分かり易く見易い。
それにしても、この暴君ときたら…。神をも恐れぬ人の傲慢、暴挙とはまさにこの事。
そしてそれら悪行には必ず天罰が下る。
暴君の命で、魔神像の額に杭が打たれる。
魔神像の額から血が。突如として起こる神の怒りの如き天変地異。
清い乙女の涙と祈り。
遂に魔神が動き出す。民の怒りや悲しみを代弁するかのような、その憤怒の形相!(この顔変化のシーンは、真似した方も多いのでは)
城下に姿を現し、悪党どもを追い詰めていく…!
この魔神の目覚めから、襲撃のクライマックスがとにかく迫真!
怪獣映画との大きさの違いもあるが、より精巧に作られたミニチュアが重厚感をもたらし、その中を人間の約2・5~3倍ほど(身長4・5メートルの設定)の大魔神が、ズシン、ズシン…と重々しく蹂躙する様はかなりのリアリティー。
特撮と合成の技術も素晴らしく、当時の東宝ゴジラよりレベルが上のように感じる。
恐れおののき逃げ惑う悪党ども、迫り来る魔神…怒涛の展開や画の迫力も魅せるものがある。
伊福部昭による音楽はまるで怪獣映画のよう。
本当はもっと神々しい音楽を付ける予定でいたが、怪物のような形相とクライマックスの暴れっぷりに急遽音楽を書き直したという。
そう、慈愛に満ちた神などではない。
恐ろしいほどの怒れる神なのだ。
ひと度怒れば、留まる事を知らない。
全ては人間の愚かさ故。
神の怒りを鎮める事は出来ないのか…?
その時、再び清い乙女が涙を流す…。
何処か荘厳すら感じさせた。
半世紀経っても全く色褪せない面白さとクオリティー。
正直、大映特撮としては昭和ガメラよりも、正義のヒーローとなってしまった東宝ゴジラよりもずっと好き。
m@yu-chan-nelさん
コメントありがとうございます♪
子供の頃に見たら結構トラウマレベルですよね。
自分も久々に見ましたが、魔神様の顔、怖すぎです…(^^;
近大さん、こんばんは!
子供の頃に、余りに怖くて母親の膝の上で観た記憶があります(笑)!
残念ながら、ストーリーは余り覚えていませんが、腕を動かした時に大魔神の形相が変わる所が恐怖でした(笑)!