その場所に女ありてのレビュー・感想・評価
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カラーワイド画面で煌びやかに見える銀座と広告業界の悲哀
銀座の大手広告代理店の営業をしている女性サラリーマンの仕事をシリアスな女性目線できちんと描いた業界物。
西銀座広告社の27歳になる営業職の司葉子が、大きな広告契約の為に、奔走するが、対抗する大東広告の宝田明に互いに惹かれながらも、裏切りに近い仕打ちを受ける。
当時の広告代理店業界をかなりきちんと描いた作品で、それ以外にキャリアウーマン物のとしても、とても先鋭的で興味深い。
しかし登場する多くの男達は、自分勝手で女に寄生するクズか小ずるい連中ばかりで、何処で彼女達を卑下している。
女達もそれを知りながら、ある人は流され、ある人は一人で生きて行こうとする。少しずつ失われてゆく若さに焦りながら。
この作品の女性達は目尻の小ジワを気にしたり、年下の夫の為に化粧したり、27歳で当時は、お局扱いで見合いを勧められたり。
男達に混ざって麻雀に励んだり。
男と同じ仕事をこなしているが、結局のところ性(女)を求められる。
ちなみに彼女が自分の給与は20歳8千円で7年目27歳2万5千円と呟くところも興味深い。
1962年当時の女性の立場が非常に分かるが、なんだか、60年近く経った今もあまり状況が変わってないと感じる。
印象的シーンは沢山あるが、何回か登場する銀座の会社の屋上が、周りのビル少なさもあり、摩天楼ぽい景観なのが、彼女達の満たされない心情とマッチして印象的。左に見える和光やデパートのアドバルーン、バッテングセンター?みたいなモノが見えたり、道で宝田と会話する場面で当時のヤマト運輸のお馴染みのカラーリングのトラックが走っているのが珍しい。
今日的な女性の仕事についての問題提起もあり評判どうりの傑作だった。
鈴木英夫監督の演出もキレがあり今回見た2本ともに脚本も書いているのも作家性が高いと感じる。
上映されたプリントについて
色を落としたオープニングから若干退色したプリントだか悪くない。
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