俗物図鑑

劇場公開日:

解説

“出歯亀評論家”“横領評論家”“性病評論家”など奇妙な評論家が集まり、世の良識を向うにまわしてマスコミで活躍する姿を描く。筒井康隆の同名の小説を映画化したもので、脚本は「団鬼六 蒼い女」の桂千穂、監督は「時の娘」の内藤誠、撮影は「転校生」の阪本善尚がそれぞれ担当。

1982年製作/75分/日本
配給:その他
劇場公開日:1982年11月8日

ストーリー

古色蒼然たる二階建てモルタルアパートに「梁山泊プロダクション」はある。梁山泊プロは、接待評論家の雷門享介、贈答評論家の平松礼子、横領評論家の本橋浪夫、万引評論家の沼田峰子、火事評論家の杉沢亜香など、奇妙な分野の評論家の集団で、一般人の良識を逆撫でしながらテレビ、出版などで活躍している。ある日、享介、礼子、浪夫、峰子などが一室にいると、天井裏から一人の男が落ちてきた。城亀吉というその男は覗き見のあらゆる装備を持っており、その日から、出歯亀評論家として、そこへ所属することになった。さらに、全身皮膚病だらけの老人が現れ、みなは腰を抜かすほど驚くが、なんとか一室に隔離して、皮膚病評論家として登録された。数日後、午後のテレビショーで、峰子と反吐評論家の片桐が文芸評論家と論争していた。そして片桐は、持ち運ばれた反吐から、それを吐いた人を、スタジオの見物人から見つけだすというハナレワザを披露して、会場の主婦からヒンシュクを買っていた。文芸評論家はタジタジとなり、反吐の主であるマスコミ界の黒幕大屋壮海は、梁山泊の活動を励ますのだった。その頃、事務所には峰子が万引した八百万円のダイヤモンドの件で刑事が来ていた。その時、亜香が火を放ち、アパートはまたたく間に焼失してしまった。暫くして、財力を貯えた梁山泊プロは、中層の酒落れたビルを新築した。その頃には、性病評論家の華子、墜落評論家の羽根田俊也、自殺評論家の九十九八十八、パーティ評論家の西条圭一、麻薬評論家の平戸源五郎が参加し、梁山泊プロはますます充実、主婦連、俗悪番組追放同盟、全国PTA協議会などからヤリ玉にあげられていた。ついに各団体がビルに乗り込んで来た。そこで、享介たちは三人の代表を人質にするとビルを閉鎖する。機動隊が動員され、各マスコミ、ヤジ馬が集まり、ビルの周囲は大変な騒ぎだ。三人の人質は麻薬に酔わされ、抑圧されていた意識が一気に爆発、裸になってワイセツな言葉をまきちらしている。評論家集団と機動隊の睨み合いは一週間ほど続き、ニュースを求めるマスコミ代表として壮海がやってくると、膠着状態を打破する事件を起して欲しいと申し出る。そこでメロメロになった人質を入口から解放し、テレビの晒しものにすることになった。機動隊の射撃が始まった。一人また一人と倒れいく評論家。脱出に成功した華子、礼子、峰子たちが遠くの丘から梁山泊のビルを見つめていた……。

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