総長の首

劇場公開日:

解説

昭和十年代の浅草を舞台に、凄まじいヤクザ抗争の渦中で、死にもの狂いに動きまわる男たちの群像を描く。脚本は「白昼の死角」の神波史男と「日本の首領 完結篇」の中島貞夫の共同執筆、監督も同作の中島貞夫、撮影は「水戸黄門(1978)」の増田敏雄がそれぞれ担当している。

1979年製作/137分/日本
配給:東映
劇場公開日:1979年3月24日

ストーリー

昭和初期の浅草は、まだ関東大震災の爪痕をそこここに残し、ルンペンや酔漢、春を売る女たちが街に溢れ、歓楽の華やかさの中にも、侘しさが漂う街だった。チンピラやくざの集まり、血桜団々員新堂卓は震災の時声を失った口の不自由なストリート・ガール木内朝子のヒモをしていたが、貸衣裳屋をしている井関小夜子が好きだった。当時の浅草には全国に縄張を持つ関東侠友会と浅草を根拠地とする花森組が張り合っていたが、花森組長と侠友会幹部有田栄吉が兄弟盃を交していたため、どうにか双方の均衡が保もたれていたが、血桜団の新堂卓、長谷部稔金井鉄男の三人は徐々に花森組の縄張を侵食し始めた侠友会小池組の組員二人を射殺した。侠友会内部では、代貸の小池勝利をはじめオトシマエをつけようと殺気立っていた。そして数日後、血桜団々長八代一明は小池の放った殺し屋に殺される。一明の葬式で、一連の抗争事件を取材していた婦人雑誌の記者白崎銀子は姉の恋人だった一明の弟、八代順二に出会う。一方、侠友会では小池たちが、有田を対立する花森組系の八代の葬式に出席したことを理由に絶縁処分にした。順二は血桜団、二代目として花森組長と親子の盃を交し、抗争事件の渦へと引きこまれていく。暫くして卓たちは、浅草の料亭で侠友会総長緒方の首を撃った。緒方は命は取り止めたものの、侠友会は徹底的報復を開始した。卓は花森組の配慮で浦安に逃げ、稔は恋人で肺病を病んだ女郎、浮世を連れて彼女の故郷に帰るが、二人幸せになる夢を見ながら舟小屋に隠れているところを侠友会の配下に見つかり、小屋もろとも爆破されてしまう。鉄は朝鮮に逃げる前に、片思いの踊り子ナナ子に別れを告げにいくが、「朝鮮人」と馬鹿にされ、彼女を締め殺してしまい、その直後、鉄を待ちかまえていた警官と乱闘の末死んでしまう。小池たちは花森組代貸大塚を殺害、このことにより、花森組は内部崩壊をはじめる。花森組代貸兵隊松が自分の身の安全のために寝返り、浦安に逃げていた卓も、殺されてしまう。兵隊松の本心を知った順二は、松を撃ち殺すが彼も腹を撃ち抜かれ、助けに来た花森組長も誤って撃ってしまう。彼らはあたえられた一瞬の時間を生き、アメーパのように突然消滅してしまった。けれど木馬館の木馬だけは、今日も廻り続けている。

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