千利休 本覺坊遺文のレビュー・感想・評価
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昭和の名優たちのぶつかり演技
アクションも大きな動作もなく、セリフも少なく、ほとばしる感情を押し殺し装った演技。名優たちは見事に演じた。そうそうたる出演者、ミフネ、錦之助、芦田伸介、加藤剛、上条恒彦がそれぞれの役に見事にはまった。この中では若手の奥田瑛士も頑張った。 静寂さ様式美、音楽は脇役。その圧巻は、茶室の利休と秀吉の激闘かな。生花や書、造作で利休が戦線布告する気持ちが伝わる。 戦国大名に取り入って茶道のステータスを確固たるものにした。その勢いで妥協もできず苦悩する利休たち。セリフと裏腹の、時代に順応できない男たちの姿か。
熊井版千利休
熊井啓が利休を描いたのは『お吟さま』(1978)以来となるんだな。まぁ、こちらの作品は利休の死の謎解きのようなものがテーマであるから『利休』(勅使河原宏、1989)と同じような雰囲気。ともに利休没後400年記念のための映画だったらしい。この利休対決では若干こちらの方が優勢だったようだけど、キネ旬の主演男優賞は三國利休の勝ちだった・・・
茶人として全うするには自刃しなければならない?などと結論づけた有楽斎の生き様。最後のシーンでは、割腹する格好で死んでゆく。この姿の鬼気迫る演技は最高。全体的には静かなストーリーであり、利休の亡霊(?)とともに山奥でひっそり暮らす本覺坊がメインである点が弱いのだろうか。
茶人としての利休の道
奥田瑛二扮する本覚坊遺文は、三船敏郎扮する千利休の弟子でありあの世の道を行く千利休の後を追っている夢を見た。ある日本覚坊は、萬屋錦之介扮する織田有楽斎を訪ねた。利休が亡くなって27年経っていた。何故にして千利休が切腹したのか織田有楽斎でも知らなかった。 利休の死について皆で語り合うも全ては分からず。茶人としての利休の道。茶室はただひとりで立てこもる砦であったと言うがなかなか難解だったね。
織部釉は好き
出だしから格調高かった。ベネチアはこういうの好みなんだぁ。でも、ヨーロッパの人々に、本当にニッポンの侘び寂びが伝わっているのだろうか。ちょっと疑問…。
本覚坊にとって、千利休の魂は死んでいない。日々突然現れる師匠(幽霊?夢?マボロシ?)と、言葉を交わす。たとえ幻想だとしても、本覚坊には利休が必要なのだろう。彼にとって、利休の死は過ぎ去った過去ではないのだ。
山上宗ニの名前は、初めて知った。映画でも激しい人だったが、調べたら実際に荒ぶる人だったらしい。でも、利休についていろいろ書き残していて、後世役立っているそうだ。ま、映画の中では、声がでかいおっさんであった。
狭い茶室の中で、喧々諤々の三人の男たち。宗二も利休も町人だが、古田織部は武士。なんだけど、加藤剛だと優しげで、三船敏郎の方がよほど武士っぽい。しかし、なぜ死と茶の湯が関係しているのだろう。茶道を突き詰めると、哲学に発展するのか。いくら戦国の世を生きたからといって、死に近付きすぎでは? 花と短刀が飾られてる部屋で、キリキリしながら茶が飲めるかい! 僕はイヤだ!! ロイヤルミルクティーをお願いね。
萬屋錦之介は、やはり歌舞伎の声だと思った。三船敏郎とのツーショットは、大変豪華であった。いい時代だったなあ。
キャストに女性が一人もいない、とても珍しい作品。
BS日テレ 特選時代劇の放送にて。
佗茶を権勢の場に持ち込んでしまった矛盾を…
1989年の劇場公開時は、 勅使河原監督の「利休」との同時公開が 話題になっていた。 「利休」のキャッチコピーは 「美は、ゆるがない。」だったが、 逆に美に溺れた印象があり、 この「本覺坊…」の方が圧倒的に面白かった 記憶がある。 因みにキネマ旬報では、同じ年に 「本覚坊…」が第3位、 「利休」が第7位だった。 今回の鑑賞はCMの入る民放放映 でのものだったので 短縮版になっていないか心配したが、 録画機でCMを除去したら ノーカット版だったことが分かり、 安堵して鑑賞することが出来た。 しかし、33年ぶりに改めて鑑賞すると、 この作品も「利休」に負けず劣らず 様式美にこだわった作品のように思えた。 この映画、ミステリー仕立てで 映像世界へ引き付けられるものの、 茶道の“さ”の字も知らない小生には、 三人の茶人の示し合わせての 命を懸けた権力への諍いの心理は 想像の域を超える。 劇場公開時に購入したパンフレットでは、 熊井啓監督の 「切腹は佗茶を権勢の場や戦場に 持ち込んでしまった利休が、 その矛盾を解決するために、 自ら選択した潔い行為であった」 とのコメントが一番腑に落ちた。
ヴェネツィア銀獅子賞ってことで期待したが、苦手な何も起こらぬ系だっ...
ヴェネツィア銀獅子賞ってことで期待したが、苦手な何も起こらぬ系だった。 利休の最後の謎が明かされる…と思ったが、そうでなし。お子ちゃま脳の私には辛すぎる(笑) 三船敏郎と萬屋錦之介の演技合戦が見どころか。 残念ながら私的に興味なし。なんたら賞の作品ほど個人的には合わない(笑笑) BS日テレ
茶人たちの死
武士道といふは死ぬ事とみつけたり…で有名な「葉隠」(1716年頃)などで 武士道精神が完成された、と言われている それ以前だが 純粋な武士の文化とされた「茶道」の極みを目指した三人の茶人、宗二、利休、織部は切腹することに 利休自死の後も その精神を探り続ける本覚坊(奥田瑛二)が主役だった 口火を切る山上宗二(上條恒彦)が凄まじく、堺の商人とは思えないほど 思わず声が裏返る秀吉(芦田伸介…笑) 端正な三船の利休も武士のよう 草月流家元でもある勅使河原宏監督の映画「利休」を先に見てしまったせいか、秀吉との最後の茶席に飾られた花と刀の組み合わせに ドン引きした 自然を取り入れるのが上手そうな利休がするとは思えないのだが… 無粋過ぎるような気もする 精神世界に焦点をあてているのだから、いいのか? なんだか秀吉に同情してしまった 死の同盟を組むほどの覚悟で茶を極めることで 異次元に入ってしまった、一段の飛躍を遂げたらしい三人を理解した有楽斎(萬屋錦之介)の臨終の場面でも、その演技に半分感心しながら半分引いた 秀吉の存在の希薄さは 映像的には彼等の邁進(求道)が暴走に見えたりもする ちょっと変かも でも外国人受けしたのか ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞 本覚坊がさまよう日本の原風景や賽の河原の映像は美しい 男達の精神世界の話らしく、女人は全く登場しない
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