劇場公開日 1989年10月7日

「茶人たちの死」千利休 本覺坊遺文 jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5茶人たちの死

2020年7月2日
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武士道といふは死ぬ事とみつけたり…で有名な「葉隠」(1716年頃)などで 武士道精神が完成された、と言われている

それ以前だが 純粋な武士の文化とされた「茶道」の極みを目指した三人の茶人、宗二、利休、織部は切腹することに

利休自死の後も その精神を探り続ける本覚坊(奥田瑛二)が主役だった

口火を切る山上宗二(上條恒彦)が凄まじく、堺の商人とは思えないほど
思わず声が裏返る秀吉(芦田伸介…笑)

端正な三船の利休も武士のよう

草月流家元でもある勅使河原宏監督の映画「利休」を先に見てしまったせいか、秀吉との最後の茶席に飾られた花と刀の組み合わせに ドン引きした
自然を取り入れるのが上手そうな利休がするとは思えないのだが…
無粋過ぎるような気もする
精神世界に焦点をあてているのだから、いいのか?
なんだか秀吉に同情してしまった

死の同盟を組むほどの覚悟で茶を極めることで 異次元に入ってしまった、一段の飛躍を遂げたらしい三人を理解した有楽斎(萬屋錦之介)の臨終の場面でも、その演技に半分感心しながら半分引いた

秀吉の存在の希薄さは 映像的には彼等の邁進(求道)が暴走に見えたりもする
ちょっと変かも

でも外国人受けしたのか ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞

本覚坊がさまよう日本の原風景や賽の河原の映像は美しい

男達の精神世界の話らしく、女人は全く登場しない

jarinkochie