「ひと夏の祝祭的な活劇」ションベン・ライダー 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
ひと夏の祝祭的な活劇
ずっと観たかった相米慎二の初期作品を、やっと映画館で観ることができた。
冒頭から、登場人物の関係と物語の発端をワンカットで見せる長回し。そして、伝説ともなっている貯木場での格闘の長回し。ラストの屋内セットでの長回しは、あさま山荘を模している?
大筋だけ決めて撮っていったのか、物語展開の繋ぎには頓着していない。名古屋での財津一郎のシーンなど、意味不明。効果音やメイクなど、悪ふざけと取られかねない部分も。
とにかく、ひと夏の祝祭的な活劇として、主人公の中学生たちが動き回る姿を画面に写し取ることだけに専念している。
それにしても、中学生にタバコを吸わせたり、ビールを飲ませたり、今のコンプラでは考えられないね。原日出子も、橋から落ちたり、宙吊りされたり、無茶苦茶されてる。
壮絶な失敗作に見えるが、あの頃このような作品が作られ、後々の人に残されたことに、大きな意義を感じる。
「雪の断章」など、今だったらどう見えるだろうか。あの冒頭の長回しをもう一度味わってみたくなった。
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