女体(1969)

劇場公開日:

女体(1969)

解説

「ボルネオ大将 赤道に賭ける」の池田一朗と「千羽鶴(1969)」の増村保造が脚本を共同執筆し増村が監督した女の愛と業を追求したドラマ。撮影は「女賭博師丁半旅」の小林節雄。

1969年製作/94分/日本
原題または英題:Vixen
配給:大映
劇場公開日:1969年10月18日

ストーリー

浜ミチは挑発的で魅惑に満ちた女である。大学理事長小林卓造の息子行夫に強姦されたミチは、慰謝料として二百万円を要求したが、行夫の姉晶江に侮辱的な扱いを受け小林家に激しい敵意を抱いた。一方、スキャンダルを恐れた卓造は婿である秘書の石堂信之に処理を一任、信之は妻晶江の意志に反して二百万円を支払った。ミチは思いやりのある信之に愛を感じふたりは激しく求めあった。ある日、ミチが信之との情事を告げて晶江をはずかしめた。それを知った信之は、ミチが他の男とも交渉のあることを目撃、彼女と別れる決心をした。信之のみた青年は五郎という画家だった。信之はミチを捨てられなかった。そのため五郎から手切金を要求され、卓造から預っていた裏口入学金の一部を流用して支払った。だが、五郎はミチと別れないばかりか、金の出所を追求するとうそぶいた。信之はそんな五郎を誤って殺してしまった。やがて保釈され信之は、妻を捨て、職を捨ててミチとの愛の生活に飛込んだ。たが、バー経営が行きづまり、加えてミチの束縛を嫌う奔放な性格からふたりの間に亀裂が生じた。ミチはやがて信之の妹雪子の婚約者秋月に心を寄せるようになった。清潔で男性的な秋月は、ミチの誘惑を拒んだか、ミチは自分の愛を殺すことが出来なかった。深夜のドライブに秋月を誘い出したミチではあったが、無理心中に失敗。そして信之にも去られてひとりぼっちになったミチは「また素敵な男を見つければいいわ……」と咳いた。ミチは酔った。そして、よろける足でガス管をひっかけ、永遠の眠りについた。

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映画レビュー

4.0浅丘ルリ子の魅力爆発!

2023年12月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

いや〜
浅丘ルリ子、スッゲエ!
たぶん彼女の最高傑作。
まさに当時の宣伝コピーそのまんま「激しく、美しく、狂おしく」奔放でファンキーで破滅的な女性を、殆ど過剰と言っていいほど、エモーショナルに演じている。
しかし、いわゆる余計なやり過ぎ感の芝居には見えない。やるべくして、やってる感じ。
つまり、主人公のミチという女性が過剰な人物設定の中でリアルに生きている。

衣装デザインの素晴らしさ(どれもカラフルな60s!シックで最高!)もあって、特に前半など、かなりポップな女性像にもなっている。
あまりにもエキセントリックで迷惑千万お構いなし(かなり笑える)で、奔放に愛(というか業か…)に突き進むのだが、その強烈な自我(というか男性依存の激しい美女の我儘!)にも関わらず、なぜか全く嫌な感じがしない。
社会性や倫理性など、どっかに吹っ飛ばして、感情の赴くままに、あまりにストレートに男を求め続けるのだが、それを、あの浅丘ルリ子が演じてしまうと、もうこれは全く問答無用で「もう、そう生きるしかないんだよな…」と、自然に愛おしく哀しくも見えてくる。

あと、脇役が皆んな素晴らしい。
岡田英次も岸田今日子も、みなさん年齢が丁度よかったかな。イイ時代だねえ。

ただ、ラストは、もうちょっと鮮烈に出来たと思うけど。
展開は全く違うが『妻は告白する』のように、どことなくレクイエムが疾走するような、深く印象に残る音楽で幕を閉じていれば、もっとグッと来たはずだ。
前半のユル〜いゴーゴー・ミュージックは結構よかったけどね。
出来れば、イタリアのStelvio Cipriani みたいな劇伴だったらホント最高だったけど。
こればっかりは無いものねだりか。

あとタイトルが『女体』というのは、なんだかなあ〜
確かに、あのスレンダーな肢体を、思う存分と言わんばかりに披露してはいるが…
所詮は上辺のルックなレイヤーに過ぎない。
つまり『女体』という肉体性や身体性だけでは、本作の本質と全くリンクしていない。
たぶん興行的なアピールとして、当時、人気が爆発していた浅丘ルリ子×エロで、大ヒットを目論んだのかもしれないが…
う〜ん、惜しい!
海外版タイトル『Vixen』の方が、まだ良かったか。

ちなみに、勝手にタイトル考えたけど…
『女と牝性』なんて、どう?
(もちろん”品性”に引っかけてある)
『嗜好する女』とか
(これは”志向”や”指向”にも引っかけてある)
『激る女』なんてのも、いいかも。ダメ?

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osmt

2.0ホラーと言ってもいい

2020年4月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

女体(じょたい)69年大映。増村保造監督。
浅丘ルリ子がミニスカでゴリゴリのビッチ役で登場。うーんスゴい。細すぎるルリ子に下着姿でダンスさせたりする演出。「少し乱暴過ぎますね」という岡田英次の台詞の様に強引で急な展開。まぁ増村映画にはままあること。度を越した奔放さでホラーの様になっていく。コワイコワイ。

川津祐介が飛び道具的に出てくるのは他の作品でも見たな。

主人公の勝手理論に全く共感できなくラストは岡田英次を応援した(でもガッカリ)
彼女に同情したり主張に共感したりは一切しなかった。ブスッとされたらよかったのに。

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散歩男

2.0自由奔放すぎる

2019年3月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 次から次へと多くの男を好きになってしまう自由奔放な女。しかも横恋慕というか、女から男を奪ってしまいたくなる傾向もある。

 ミチには売れない画家の恋人(川津祐介)がいたのだが、徐々にミチにのめり込んでいった石堂が彼と殴り合いの喧嘩になってしまう。はずみで頭を打った画家が死亡。過失傷害致死によって罪を負った石堂。理事長秘書の職も辞め、妻(岸田今日子)とも別れる決心をして、何もかも捨ててミチの下へ転がり込むことになったのだ。やがて2人でバーを経営し始め、石堂の妹とその婚約者秋月(伊藤)が現れる。なんと彼にも惚れてしまったミチ。今度は彼が餌食になるのか・・・

 そんな奔放すぎる戦後生まれの女を浅丘が好演。水商売系にはそんな女もいっぱいいると思うが、戦中派と戦後派という人の生き方にまで言及してあるのが興味深いところ。もちろんコケティッシュな浅丘の演技もあってこそ面白いのだが、男優たちの演技がひどすぎるかな。川津以外は・・・

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kossy