女囚701号 さそり
劇場公開日:1972年8月25日
解説
女の憎しみと体臭がむせかえる女子刑務所を舞台に、恋人の裏切りに対し復讐の怨念を異常に燃やし続ける主人公を中心に、極限に追つめられた女囚たちの生態を描く。「ビッグコミック」に連載中の篠原とおる原作・劇画の映画化。脚本は「ポルノギャンブル喜劇 大穴中穴へその穴」の神波史男と「博徒外人部隊」の松田寛夫、監督は第一回作品の伊藤俊也、撮影は「現代やくざ 人斬り与太」の仲沢半次郎がそれぞれ担当。
1972年製作/87分/日本
配給:東映
劇場公開日:1972年8月25日
ストーリー
Y県女子刑務所。けたたましく鳴り響くサイレン、女囚二人が脱走を企だてた。松島ナミ、木田由紀子である。しかし、刑務所々長郷田らの必死の追跡で、脱走は失敗に終る。捕われた二人はイモ虫のように手足を縛られ、懲罰房へ入れられた。身動きのできない状態でナミは過去のことを思い起こすのだった。ナミには麻薬取締りの刑事、杉見という恋人かいたが杉見はナミを麻薬捜査の囮として使い、強姦させたあげく、自分はその現場に乗り込み、麻薬を押収する。そのうえ、その麻薬をネタに麻薬組織海津興行に寝返ったのである。杉見の愛を信じていたナミにとってこの裏切りは許せなかった。翌日、杉見を襲うが致命傷には到らず、その場で逮捕されたのであった。“復讐”という執念に燃えるナミは刑務所内でも異様な存在で、皆から反感を受けていた。ただ、口の不自由な木田由起子だけがナミを慕い近ずいていた。ナミと由起子が懲罰房から解放された頃、新入りの女囚進藤梨恵が入所して来た。梨恵もナミ同様他の女囚たちと肌が合わず対立した。ある日、梨恵は片桐らの企みであやうく無実の罪に陥れられそうになるが、ナミの機転で救われ、以来ナミに好意を持つようになる。しかしこの事件で、梨恵の替りに罪をきせられた政木が逆上し郷田の眼をガラスの破片で刺してしまった。怒った郷田は全員に穴掘り作業を命じ、その後、ナミには“閻魔おとし”を命令。“閻魔おとし”とは囚人たちが最も恐れている穴掘り作業、つまり一つの穴を掘っては埋め、埋ては掘るという作業なのである。極度の疲労に襲われるナミ、とうとう同情した由起子が看守を襲い、それをきっかけに、日頃看守たちに虐待を受けていた女囚たちの憎悪が爆発、大騒動を起こし、倉庫にたてこもる。しかし、この暴動の際に由起子が射殺された。そして、ナミは由起子から片桐が自分の命を狙っていると知らされ、杉見の手がここまでのびていることを知り愕然とする。片桐はナミを裏切り者扱いにし、他の女囚らを煽動、ナミに凄絶なリンチを加える。しかしナミは逆に片桐の企みを暴き片桐を裏切り者にしてしまうのに成功する。一方郷田らは食事の差し入れと偽り、一挙に倉庫になだれ込み、全員逮捕するが、この間倉庫に火をつけ混乱を起したナミは見事脱走に成功する。そして、厳重な警戒の網の目をくぐって念願だった杉見及び海津への復讐を果すのだった。