嫉妬(1971)

劇場公開日:

解説

夫が陰謀に捲き込まれ殺された事から復讐を果たそうとする妻の執念を描く。原作は藤本義一の同名小説。脚本は、成田孝雄と「黒の斜面」でデビューした貞永方久。監督貞永方久。撮影は加藤正幸。

1971年製作/97分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1971年11月13日

ストーリー

姿津子が夫野口高志の情死を知らされたのは、夫が失踪してから六日目の夜だった。相手の女は生残り、高志だけが死んだ。遺された姿津子は五歳になる亮一をかかえて、これからどう生きたらいいのか戸惑った。しばらくして高志を死に導いた、クラブ扶美のマダム扶美子が百万円の小切手を香典として届けてきた。姿律子は嫉妬心にさいなまれた末、亮一を母に預け、野村信技という変名で扶美にホステスとして乗込むことを決心した。扶美子の磨き上げられた美貌と洗練された会話は地味な団地主婦だった姿律子には、予想以上の手ごわい相手だった。扶美子の愛のテクニックに翻弄された夫、しかも相手は今も艶然と生きている。嫉妬は激しい復讐心に変った。少しづつ姿津子に気を許していく扶美子のスキに乗じて、彼女のパトロンが、亡夫の上司だった岡村営業部長であることをつきとめた。扶美の常連である画商の池沢は、姿津子に好意を持っていた。姿津子は、夫が死んで百日過ぎた頃生理的変調と若い肉体の自然な欲求にひとり悩んでいた。池沢は岡村と扶美子の関係についても詳しいようだ。池沢と親しくなれば、もう一枚扶美子のヴェールをはがせるかも知れない。結局、彼女は池沢に抱かれた。喜悦と悔恨の中で、目的を忘れまいと歯をくいしばりながら。一方、亡夫の妹節子はちょっとしたきっかけで岡村と、知り合い、岡村が仕事のスポンサーになる条件で、アッサリ肉体を与えてしまった。池沢から聞きだした話によって、夫の死が偽装心中であるらしいことが判明した。夫は、岡村が会社の金を不正融資して巨利をむさぼっている事実を掴んだのだ。岡村は扶美子に誘惑させ、夫を消すために心中という形を考えついたのだ。重大な謎が解けかかった時、扶美子が交通事故で病院に担ぎ込まれた。付添った姿津子はスキを見て、ハンドバックの中を調べたら亡夫の写真がでてきた。扶美子は夫を愛していたのか?思い悩んだ姿津子は、情死の現場である温泉を訪れ、有力な手がかりと思われる甲虫のブローチを手に入れた。姿津子はいよいよ扶美子の仮面をはぐ日の近いことを悟った。ブローチは岡村が扶美子に与えたものに違いない。しかし、姿津子はふとしたことから、そのブローチを節子に渡してしまった。全ての事情を岡村から聞いた節子は、兄を殺した男に躰を許した自分を恥じ、彼を刺して無理心中を遂げた。夫の死から半年、姿津子は仮面を捨てて対決した。恐怖にのたうち廻る扶美子。しかし、復讐を果たした姿津子の心に空しい疲労感だけが残った。

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