劇場公開日 1975年3月15日

「生物学者の青年とサイボーグヒロインの叶わぬ悲恋、ラブストーリーが軸となる野心作」メカゴジラの逆襲 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0生物学者の青年とサイボーグヒロインの叶わぬ悲恋、ラブストーリーが軸となる野心作

2025年2月1日
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鑑賞方法:映画館

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ゴジラ生誕70周年記念上映「ゴジラ・シアター」2025年第2弾は『ゴジラ対メカゴジラ』に続くメカゴジラシリーズ第2弾『メカゴジラの逆襲』(1975)4Kデジタルリマスター版。
TOHOシネマズ日比谷さんのDOLBY ATMOS対応の大スクリーン(座席数386席)にて鑑賞。21時以降の遅い上映にも関わらず沢山のお客さんで賑わっていましたね。

『メカゴジラの逆襲』(1975)
シリーズ第15作目。
本作で第1作『ゴジラ』(1954)から21年間続いたシリーズは一旦休止。
本作公開当時はまだ2才で劇場鑑賞が叶わず、『ゴジラ』(1984)の復活まで9年、首を長くして新作を待つことになりました。
団塊Jr.のおかげでTV特撮は浴びるように観て育ちましたが、実は『ゴジラ』は直撃世代ではなく、劇場デビューは映画ドラえもんの記念すべき第1作『のび太の恐竜』(1980)と併映された『モスラ対ゴジラ』(1964)でしたね。子ども心にも驚きのチョイスでしたが…名作でした。

第1作『ゴジラ』への原点回帰を目指した本作は監督に本多猪四郎氏が再登板。
脚本も初の女性脚本家・高山由紀子氏を起用。
生物学者の青年とサイボーグヒロインの叶わぬ悲恋、ラブストーリーが軸となる野心作。
当時は《子どもの味方・正義のゴジラ》でしたから終始重苦しいムードの恋愛物語と明るいゴジラとの調和や絡ませ方、ゴジラの必然性など腐心したと思いますね。
オープニングに前作のバトルをたっぷりとインサートしたのも子どもたちへのサービスが窺えますね。
さて、本作では水棲恐龍「チタノザウルス」が登場。
首長のスマートなフォルムは当時でも珍しいデザインでしたが、百花繚乱の特撮怪獣ブームのなか、傑出した個性を出せなかったのは残念でしたね。
角とか翼とかもっと派手にしても良かったはずですが、確かに本作の敵主役は再生「メカゴジラ2」ですしね。
その「メカゴジラ2」も前作を超える攻撃ギミックが無く、パワーアップ演出に乏しかったのが口惜しかったですね。
そもそも「ゴジラ」VS「メカゴジラ2」&「チタノザウルス」という対決構造も、「ゴジラ」「モスラ」「ラドン」「アンギラス」VS「メカゴジラ2」「チタノザウルス」でないと「メカゴジラ2」の強さが際立たないと感じましたね。

もし第四次中東戦争がなくオイルショックが発生せず、物価も高騰しなかったら「ゴジラ」シリーズは予算も削られず継続していたのでしょうか。
そんな世界線を想像することがありますね。

矢萩久登