劇場公開日 1964年4月29日

「キャラクターとしてのゴジラ」モスラ対ゴジラ K犬さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 キャラクターとしてのゴジラ

2025年12月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

エンタメ性を内包しながら、人類の希望を描いた良い作品だと思う。

初代ゴジラを愛する者としては、未知への恐怖みたいなものが消えてしまっていくのは少々複雑だが
ある種人間味を帯びたゴジラの誕生こそ長く愛されている所以かともおもう。

今作では、ゴジラの度々映る人間味にかわいらしさを感じることができる。
初代などであった爆発を想起させるから光に執着を見せるなどの設定は無くなってしまったし、初代や逆襲に比べれば見た目もかなりキャラクター的に可愛くなっている。異形を想起させるような歯並びは綺麗になったし、恐怖を感じさせる瞳は眉部分の肉付きを経て綺麗な可愛い瞳に変化している。
その中で、所作の変化は新しいキャラクターの誕生を示唆するかのように演出がある。
転んでしまい、物に当たり壊してしまうところや尻尾が引っかかってイライラするところなど、子供のような人間味のある愛らしいキャラクターに感じる演出であった。

モスラというのも良いキャラクターだと実感する。
人間と共に暮らしており、紆余曲折あるとはいえ助けに来てくれる。
それは人間と共に歩んできた蚕を想起させる。

ある種ゴジラという存在との対比になっているような気がする。
大型台風という自然の強さ、理不尽さから始まり
ゴジラという自然の怒りの象徴とも取れる存在を
自然でありながら人間と共存してきたモスラの協力で退ける。
そのようなメッセージ性を感じることができつつ
エンタメとしても楽しく鑑賞できた。面白かった。

K犬
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