極楽島物語
劇場公開日:1957年1月29日
解説
東宝ミュージカルスとして上演された、菊田一夫原作の色彩映画化(イーストマンカラー)で、太平洋戦争中、南の島で九人の遭難兵が出くわした世にも不思議な話。脚色は「おしどりの間」の長瀬喜伴と「おしゃべり社長」の新井一の共同、「午後8時13分」の佐伯幸三が監督、「浮気旅行」の岡崎宏三が撮影にあたる。主な出演者は「眠狂四郎無頼控」の河津清三郎、「歌う不夜城」の宝田明、雪村いづみ、「忘却の花びら」の草笛光子、「てんてん娘・二部作」の宮城まり子、「蜘蛛巣城」の太刀川洋一、「空の大怪獣 ラドン」の佐原健二、ほかにエノケン、トニー谷、有島一郎、三木のり平、益田キートンなどのコメディアン、久しぶりの岩井半四郎など。加えて森繁久彌が特別出演する。
1957年製作/98分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1957年1月29日
ストーリー
太平洋戦争の只中。前科十六犯のサギ漢柏原一等兵、彼を捕える寸前、広召された野長瀬二等兵、唄の好きな益木二等兵等の乗った輸送船は南方へ向う途中、魚雷のため轟沈する。兼松伍長、宮坂兵長、吉川上等兵、原と梶川の一等兵及び前記の一同は筏で漂流の末、極楽島に上陸。早速“ニッパ司令部”を作り棒ギレで銃剣術の訓練に取り掛るが、八名だけと思っていたこの島に上杉中佐も漂着していたと判る。指揮官は中佐に変更。島に原住民のいることが判り、宮坂は、マラリア類似の病気で苦しむ島の娘ヅーミに薬を与えて治してやる。姉パローマと、日本語を話す少女パウは涙を流して感謝する。集落には日本政府から派遣されたと自称する桧山と山伏が住込み、長老の小屋にあるダイヤモンドを狙っていたが日本兵漂着に獲物を早くとあせり出す。程なく、酋長は治療のお礼に兵隊達を招待。宮坂と恋し合うようになったパローマは、長老の逢ってはならぬとの警告に涙ながらに去って行く。野長瀬=柏原の刑事=スリコンビも美しいキーラに御満悦だが、乙女の水浴を覗いたため木に縛りつけられ絶対のピンチ。その時パウが船影を発見。船から降りた川口少尉は無条件降伏を一同に伝える。宮坂が帰ると聞き彼を追うパローマ、その時火山が大爆発した。まさにダイヤを盗もうとした桧山らはすくんでしまう。あわや殺されんとした柏原と野長瀬を助けたパローマは、火の神の怒りを解くため一人で山に登って行く。船上から山に向って叫ぶ宮坂。航跡にはパローマの好きな赤い花が漂っていた。