源氏九郎颯爽記 秘剣揚羽の蝶

劇場公開日:

解説

週刊平凡連載、柴田錬三郎の原作を、「反逆児(1961)」の伊藤大輔が脚色・監督した時代劇アクション。撮影は「権九郎旅日記(1961)」の松井鴻。

1962年製作/109分/日本
配給:東映
劇場公開日:1962年3月7日

ストーリー

宮中御歌所寄人従三位中ノ冷泉卿息女冴姫は、家宝古今伝授天地人の三巻と共に、若年寄高見沢内匠頭が老中への出世の足がかりに利用され、将軍家の側女に召し出されるため、京から江戸へ向うが、内匠頭と気脈を通じる豪商佐渡屋は、鉄の義手の剣客左源太と半次・お仙の掏摸コンビに命じて、巻物三巻をうまく盗ませたが忽ち白衣の美剣士、源氏九郎によって、天の巻と人の巻を奪い返されてしまう。九郎は姫の本陣に忍び込み、二巻を姫に返すが、姫が特に必要とするのは人の巻から抜きとられている軸であることを知り、姫が大奥に上がる十日夜までにこれを届けることを約す。舞台はこうして江戸へ。ここに源氏九郎あるところ、必ず出没する“初音の鼓”と呼ばれる道中やくざがいる。初音の鼓と左源太、源氏九郎の巻物をめぐっての三つ巴戦は、江戸に持ち込まれた。そして源氏は左源太から残る地の巻も奪い返し、いまは高見沢邸にいる冴姫の寝所に忍んで、これを手渡した。驚いたことに、この巻物は高見沢の失脚をはかる佐渡屋の企みによるニセモノだったが、軸だけは本モノで、中味は麻薬なのであった。貧乏公卿の父を持つばかりに、将軍の側女に売られて行く口惜しさに、この麻薬と今はお仙の手中にある人の巻の軸中の薬を合わせ、夜伽に召された際、将軍を殺し自分も死のうと心に決めていた冴姫であった。ところで、初音の鼓はお仙から人の巻を盗み、高見沢の本陣に乗り込んで、高見沢や佐渡屋の不正を、二人の眼の前であばき立てた。高見沢と佐渡屋は、南町奉行遠山金四郎の動きなどからも身の危険を感じ、まず左源太ら剣士を源氏九郎に差し向けるが失敗に終る。その夜、左源太とお仙を斬った初音の鼓が冴姫の寝所に現われ、源氏九郎からの頼みだとして人の巻の軸を届けた。源氏九郎と鼓は同一人物だった。さて、事件は大詰に近づいた。鼓の姿にやつした源氏の口から、奉行遠山金四郎は高見沢および公儀内部の汚職の真相を知ったのだ。冴姫の道中奉行をつとめ、左源太の魔剣に倒れた目付須藤弥左衛門が、その娘八重にあてた手紙を源氏に托したのだが、その内容がすべてを知る鍵となったのだ。遠山奉行の決断、源氏九郎の揚羽の蝶の秘剣の冴えで悪の一味は粉砕された。

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