月曜日のユカ

劇場公開日:

解説

安川実の原作を「学園広場」の斎藤耕一と倉本聰が共同で脚色、「光る海」の中平康が監督した風俗ドラマ。撮影もコンビの山崎善弘。

1964年製作/93分/日本
配給:日活
劇場公開日:1964年3月4日

ストーリー

横浜の外国人客が多い上流ナイトクラブ“サンフランシスコ”では、今日もユカと呼ばれる十八歳の女の子が人気を集めていた。さまざまな伝説を身のまわりに撒きちらす女、平気で男と寝るがキスだけはさせない、教会にもかよう。彼女にとっては当り前の生活も、人からみれば異様にうつった。横浜のユカのアパートで、ユカがパパと呼んでいる船荷会社の社長は、初老の男だがユカにとってはパパを幸福にしてあげたいという気持でいっぱいだ。ある日曜日、ユカがボーイフレンドの修と街を歩いていた時、ショウウィンドウをのぞいて素晴しい人形を、その娘に買ってやっている嬉しそうなパパをみた時から、ユカもそんな風にパパを喜ばせたいと思った。ユカの目的は男をよろこばすだけだったから。だが、日曜はパパが家庭ですごす日だった。そこでユカはパパに月曜日を彼女のためにあげるようにねだった。月曜日がやって来た。着飾ったユカは母とともにパパに会いにホテルのロビーに出た。今日こそパパに人形を買ってもらおうと幸福に充ちていた。だが、ユカがパパから聞されたのは、取り引きのため「外人船長と寝て欲しい」という願いだった。ユカはパパを喜ばすために、船長と寝る決心をした。その決心を咎める修にユカはキスしても良いと告げる。ユカを殴り出て行く修。ユカは幼い頃母親の情事を見ていたのを牧師に咎められたことを思い出すのだった。修が死んだ。外人船長に抗議するために船に乗り込もうとして事故死したのだった。ユカは修にキスをして波止場を立ち去る。パパとの約束通りユカは船長に抱かれた。落ち込んだユカだったが埠頭でパパと踊り狂う。踊り疲れたパパは海へ落ちてしまう。溺れ沈むパパをしばらく見ていたユカだったが、やがて無関心に去って行った。

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映画レビュー

3.0ユカの姿の耽美さ

2024年8月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
「日曜ってのはね、家族サービスの日なんだ。家族と歩くから、日曜は楽しいんだ。お前とじゃあ、日曜はダメさ。」
「あたしとでも、日曜はダメなの。」
「日曜は、家族と過ごすものなの。」
「いいわ。日曜がダメなら、あたしは月曜日。」

クラブ「サンフランシスコ」の客同士の間柄ということで、ユカとパパとが、どんなきっかけで付き合うようになったのかは、本作が詳しく描くところではなかったと思いますけれども。

港町(横浜)、外国船も入港、世界の文化・文物に触れることのできる土地柄、その「浜っ子」としてのユカの開明的・開放的な性格も、下地にはあったのかも知れないと思いました。
評論子は。

しかし、いかに「パパ」とはいえ、本当の父親ではなく、しょせんはクラブの客同士の間柄。
商取引の成功のためには、簡単にユカを「供出する」ような挙に出ることからも、それは明らかというべきでしょう。

反面、ベッドを共にすることは差し支えないけれども、子どもの時分に牧師から固く止められたから、キスは絶対にダメというユカの考え方も、面白いとは思いました。評論
子は。
牧師の戒めは、たぶん(夫婦の間柄になるのでなければ異性と)キス以上の関係を許してはいけないということだったのだろうとは思いますけれども。

ユカ自身も、パパとの間では得られないことはアタマでは理解しながらも、やはり人間的な関係性を築くことのできる「誰か」を模索していたー。
あたかも暗がりの中で見失ってしまった何かを手探りで捜すように。
(上記の牧師の諌めも、その言葉・字面どおりそのものに受け止めている、その素直さということも含めて。)

パパとの関係を維持しながらも、なお修とも関係性を模索していたのも、そう考えると、彼女の心情としては、納得がいくようにも思われます。
会社を経営し、それなりに富裕であった「パパ」との関係も、年齢的には近しい(それ故に価値観も近しかったであろう)との関係も、ユカには、どちらも捨て難かったのだろうと思いました。
評論子は。

そう受け止めてみると、評論子には、本作は、哀れな(?)ユカの心情が、とてもとても心に痛い一本で、充分に佳作としての評価に値するものでもあったと思います。

(追記)
本作は、モノクロ映像の作品なのですけれども。
モノクロで撮影されているからこそ、馴染みの中年客とベッドを共にする時のユカの下着姿が、いっそう鮮やかです。
おそらく、暗赤色なのではなく、そのものズバリ黒のビキニの下着だったのだろうと、密かに推測しました。評論子は。
この時代に、こんなに耽美的(?)な作品が撮られていたことに、驚きと敬意とを感じます。評論子は。

(追記)
この当時から、水商売の女性が男女の関係を結んだら客は「パパ」だったのですね。
元々は「パトローネ」が語源のようですけれども。

(追記)
「日曜日は家族サービスデー」なんて言われても、もはや「死語」なんじゃあないでしょうか。それは。

「モーレツ社員」(これも死語?)のサラリーマンが、夜討ち朝駆けで働いていた、高度経済成長期のお話しで、ワーク・ライフ・バランスの昨今は、「家族サービスデー」何て言うと、むしろ「家族で利用すれば料金が割引になるサービスデー」という意味に、今日日では受け取られてしまうのではないでしょうか。

時代の流れを感じます。評論子は。

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talkie

3.5【”パパは日曜日は家族と、月曜日はアタシと遊ぶの。”コケティッシュな美貌際立つ、若き加賀まりこさんの魅力全開作。ジャパニーズ・ヌーベルバーグ・ムービーでもある。】

2024年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

難しい

幸せ

ー 噂には聞いていた作品だが、1964年にこのような先鋭的な邦画が製作されていたとはビックリである。-

■横浜の上流クラブ”サンフランシスコ”で人気を集める18歳のユカ(加賀まりこ)は、平気で男と寝るがキスは絶対にさせず、教会にも通う、コケティッシュな女の子。
 ユカには修(中尾彬)というボーイフレンドと、船荷会社の社長である初老の“パパ”(加藤武)がいる。
 パパが日曜日に娘に人形を買ってあげる姿を見たユカ。そして、ユカは月曜日に着飾って出かけるが、パパから或るお願いをされる。

◆感想

・序盤の、パパがお得意先の外国人船長フランクを”サンフランシスコ”でもてなすときの、奇術師の男が披露するマジックのシーンから、この映画は邦画ではなく、ヨーロッパのヌーベルバーグムービーの装いを帯びている。

・加賀まりこさん演じるユカは、童女のようでありながら、男達の前で妖しく全裸になる淫らさも見せるが、全く嫌らしくなく、加賀まりこさんの美しい背中のラインが印象に残る。

・ユカの母を演じた北林谷栄さんが、相当若かった筈なのに、既にお婆さんの様な雰囲気を漂わせているのも凄い。

<パパの願いで、外国人船長フランクと寝る事になったユカが、幼き時にキスシーンを見て、牧師さんから”アレだけはイケナイ‼”と言われた事が脳裏に激しく残っていたために、フランクのキスを激しく拒絶し、外で待っていたパパと船のデッキの上で一緒に踊り、弾みで海に落ち海中に沈んで行く”パパ”を膝小僧を抱えながら、助ける訳でもなく見ているユカのあどけない表情。
 そして、彼女は一人軽やかに、町の中を歩いて行くラストシーンも、正にヨーロッパのヌーベルバーグムービーの様である。
 何だか、凄い先鋭的な邦画である。>

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NOBU

4.0面白かった☆彡

2024年7月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

特に最後のシーンが!
60年経った今でも新鮮な内容なのが凄い。
そうよね。そうなりますよね!
と思いました☆彡

加賀さんと中尾さんが、熱演。
良かったです。期待以上。

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Billy

3.0何が撮りたいのか分からん

2024年3月2日
Androidアプリから投稿

「加賀まりこ」のドッアップだけが印象に残る映画ただそれだけ、コメディでは無い恋愛でも無いただただ無軌道、舞台は横浜何だけどお洒落と言うより只の場末の街に見えるはっきり言って全てが朧、焦点のボケた印象だけが残ったコレは「加賀まりこ」の為の映画だしそれだけで終わった映画だと感じた。

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なんてこった