「吉村昭の「高熱隧道」もおすすめ」黒部の太陽 藤崎敬太さんの映画レビュー(感想・評価)
吉村昭の「高熱隧道」もおすすめ
若い裕次郎の映画を初めて観た。三船敏郎は荒くれ侍のイメージだが、
本作では線が細く、実直なサラリーマンを見事に演じていた。
電力需要の増大に合わせ、水力発電のためのダムが作られる。
そのためにトンネルが掘られるのだが、これが危険を伴う難事業。
人々の豊かな生活の裏には、それだけの血と汗が流されていることを
教えてくれる。以前プロジェクトXにも取り上げられた。
私が印象残ったのは父子関係。親父を否定しながらも、黒部に残り、
親父が現場に出れなくなると指揮を取る息子、息子はトンネルを貫通
させるが、親父は静かに身を引く。息子は親父を理解し、親父は
息子を認める。
この映画は、黒部第四ダム建設の話だが、黒三の話が、吉村昭の
「高熱隧道」。黒四より20年くらい前の話なので、より人に頼る
事業で、より事故も多く悲惨。読んでみてください。
映画の中でも、宇野重吉が黒三を回想するシーンがあります。
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