劇場公開日 1968年2月17日

「吉村昭の「高熱隧道」もおすすめ」黒部の太陽 藤崎敬太さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0吉村昭の「高熱隧道」もおすすめ

2022年2月10日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

若い裕次郎の映画を初めて観た。三船敏郎は荒くれ侍のイメージだが、

本作では線が細く、実直なサラリーマンを見事に演じていた。

電力需要の増大に合わせ、水力発電のためのダムが作られる。

そのためにトンネルが掘られるのだが、これが危険を伴う難事業。

人々の豊かな生活の裏には、それだけの血と汗が流されていることを

教えてくれる。以前プロジェクトXにも取り上げられた。

私が印象残ったのは父子関係。親父を否定しながらも、黒部に残り、

親父が現場に出れなくなると指揮を取る息子、息子はトンネルを貫通

させるが、親父は静かに身を引く。息子は親父を理解し、親父は

息子を認める。

この映画は、黒部第四ダム建設の話だが、黒三の話が、吉村昭の

「高熱隧道」。黒四より20年くらい前の話なので、より人に頼る

事業で、より事故も多く悲惨。読んでみてください。

映画の中でも、宇野重吉が黒三を回想するシーンがあります。

藤崎敬太