悪魔の手毬唄(1977)のレビュー・感想・評価
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『犬神家の一族』に比べ、最初は人間関係を把握しづらい。磯川警部(若...
『犬神家の一族』に比べ、最初は人間関係を把握しづらい。磯川警部(若山)が20年前の時効になった殺人事件を金田一に依頼し、死んだはずの婆さんが村に戻ってきたとか、ある女好きの男が腹違いの子をいっぱい作ったとか、人物が一堂に会する場面がないので、頭の中で整理しなければならない。むしろ原作を読んだほうがわかりやすい内容だ。
北公次のくさい演技を若手女優陣がカバーしてくれる。岸恵子の存在感もいい。何度も見てるのに人間関係の複雑さだけのプロットは好きではなかったが、トーキー映画登場のために失業した弁士の伏線は映画ファンにとっては涙もの。『モロッコ』の映像が映し出されてびっくりする。
よかった
話がこんがらがっていて、よく分からなかったけど、とんでもないヤリチン男のせいで若者が姉妹だらけの恐ろしい村だった。だからと言って猟奇殺人する必要があるようには思えなかった。
登場人物がみんな元気でエネルギッシュで、陰惨な事件が起きてもどこか明るくて楽しい感じがした。
悲恋
モテる男の周りは不穏になってしまうんですねぇ…。歌名雄もモテ要素をしっかり引き継いでいたということですな。
モテ男と対比して一途な磯川警部の片想いぶりが微笑ましいです(^^)。リカの呼びかけに即座に反応する仕草がめちゃくちゃ上手い。
動機は理解できるようなできないような…。ふざけた夫を殺すのはともかく、娘の同級生達ですよ?娘が痣で不憫だからといっても仲良くしてくれていたようですし。イジメにあっていたという設定なら立派な動機になりますね。それと彼女らと結婚できない理由は歌名雄にまずは告白してみる方が簡単かと…。
放庵は手紙が書けないほど手が弱っているのだから、単独での犯行は不可能だということを、疑われた時点で金田一が指摘しても良さそうなものです。
「そうじゃ」!って最後はオマージュではなく、余韻を搔き消すダジャレ?(^◇^;)
金田一シリーズで泣ける作品といえばコレ! 若山富三郎の哀愁… なん...
深い愛が生み出した惨劇
金田一耕助シリーズ(石坂浩二版)第2作。
DVDで3回目の鑑賞。
原作は既読です。
シリーズでいちばん好きな作品です。前作のような絢爛さは無いものの、事件の発端となる相関図や愛憎の交錯する濃密な人間関係が、寒々とした山村の風景と重なり合うことで、虚無感や悲しみが増幅されていく演出が堪らなく良い。
それもこれも、演技陣の熱演があるからこそ成り立つものだと思いました。中でも岸惠子と若山富三郎が出色。ベテランの技と言いましょうか、このふたりがいなければ成り立たなかったと言っても、決して過言では無いなと思いました。
殺人の美学の、前作を遥かに凌ぐ鮮烈なビジュアルに圧倒されました。鬼首村手毬唄に見立てられた連続殺人、道具立てが毒々しいほど派手なので、事件の陰惨さに拍車を掛けているようでした。原作の描写を見事に再現していると感心させられ、さすが市川監督ならではの映像美だなと思いました。
過去の事件がもたらしたものが遠因となり、ある人物の深い愛情故に、今回のような悲劇が生まれてしまいました。大切なものを守りたいと云う一心が、善悪の一線を越えさせ、取り返しのつかない事態へと発展してしまったなんて…ツラい。
[以降の鑑賞記録]
2020/10/10:Amazon Prime Video
※修正(2023/06/01)
子供のころは怖かったけんど
金田一シリーズはどれもそうだが、とにかく人物関係がややこしい。
だが、これは大人になって何度か注意深くみるとだいたい把握できます。
べつに話が単純なわけじゃないですよ。それだけうまくできてるということ
とにかくすべてがいい。出てくる役者がすべて味がある。
殺人場面はやっぱりエグいけど、それよりも雰囲気、物悲しさ、しかも決して暗くなりすぎないコミカルさもあり
ラストは何度見ても泣きますね…犯人がしてしまうシーンと
磯川と金田一の別れのシーン
音楽がまたいいんだな
とはいえ、やっぱり分かりにくいところもありましてそれは古谷一行のドラマ版みるとすっきり。ただ、ドラマ版は動機が薄く感じたが。
原作読めって話だけど
市川監督もあと野村芳太郎監督も他界して久しい。
ああ〜時代の違いなのか
この二人がつくってたような独特のいやらしくないねっとり感というか、突き抜けてるけどどこか閉じてるというか
うまく表現できんけどいまないよね〜
(オッサンのぼやき)
横溝正史の中で、私が好きな一、二を争う作品。このドロドロっぷりは凄...
昔の山奥の因習
総合65点 ( ストーリー:70点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
「犬神家の一族」もそうだったが、昔の山奥の田舎はその地域独自の価値観やしきたりがあってその縛りの中に人々が生きていることが描かれているのが、現代的視点から見て興味深い。そして現代ほど規律がしっかりとしていなくて法の支配も緩やかな社会で、1人のたちの悪い男がかつて仕出かしたことの残滓がもたらす因果が面白い。
この作品は犯罪や捜査についてはたいしたものではない。1つ出来事が起きるたびにわかったわかったと言う警察もかなり無能で頼りにならない。だが本質的にはその背景にある人間関係や不気味な雰囲気を楽しむものだろう。一昔前の山奥のほうだとこんなこともありそうという気にさせる。だが物語の整合性は「犬神家」よりもこちらのほうがあったが、怖い雰囲気や衝撃度は本作品のほうが弱い。
邦画史上に残る名ラストシーン
やっぱり市川崑監督いいです!
うちの裏のせんざいに すずめが三匹とまって
「犬神家の一族」に続く、市川崑&石坂浩二による金田一耕助シリーズ第2弾。1977年の作品。
ちなみにこの年は、シリーズ第3弾「獄門島」と、渥美金田一の「八つ墓村」も公開、TVでは古谷金田一も放送され、ブームの真っ只中!
市川&石坂コンビの金田一ムービーは「犬神家の一族」が有名だが、本作も引けを取らない傑作!
由良と仁礼の二代勢力が治める、人里離れた鬼首(おにこべ)村。
村に伝わる手毬唄通りに若い娘が殺されていく謎に、旧知の警部の頼みで、金田一が挑む…!
不穏な雰囲気の村、見立て殺人、複雑に絡む人間模様…横溝ミステリーのド直球!
ミステリーとしても勿論、この「悪魔の手毬唄」は、悲しい人間ドラマとして余韻が残る。
寂れた村の雰囲気がひときわ哀切誘い、市川崑による情緒ある画作りも堪能出来る。
本作の人間関係及び犯人とその動機は、以前「トリック」の某エピソードでもまんま模倣されていた。
一人の男に騙された村の女たちの哀しい因果が、子供たちへ。
ある理由から殺人を犯してしまう犯人、ある人物を手にかけてしまった時の犯人の悲痛、犯人を知った時のある青年の衝撃…哀しみの物語が情感たっぷりに綴られる。
ヒロインのリカ役の岸恵子と磯川警部役の若山富三郎が名演。
磯川警部の大人の淡い片想い物語としても秀逸。
石坂金田一はすっかり板につき、加藤武(名台詞「よし、分かった!」)、大滝秀治、三木のり平、小林昭二ら常連名脇役たちも健在。
欲を言えば、「犬神家の一族」のような名テーマ曲が欲しかった。本作の音楽も決して悪くないが。
また、古谷金田一のTV版では、村の若者の一人に夏目雅子を配するなど華があったが、本作の若者たちがちょっと地味…。あくまで大人のドラマという事で。
(古谷金田一のTV版“横溝正史シリーズ”の「悪魔の手毬唄」も名作なので、興味がある方は是非♪)
これ以後のシリーズは少々精彩を欠いてしまったのは残念だが、邦画史に一石を投じた名作ミステリーシリーズなのは異論ない。
やっぱり、この世界観は大好きだ!
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