CUREのレビュー・感想・評価
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萩原聖人の狂った犯人役は恐ろしかった。 物静かで自分では手を下さな...
萩原聖人の狂った犯人役は恐ろしかった。
物静かで自分では手を下さないのが余計に。
役所広司は前半は穏やかな役柄だったのに、萩原と関わってからブチ切れキャラになったのも見どころ。
最後がよく分からなかった。
ウェイトレスが包丁を持ち出していたように見えたのだが。
タバコ吸っていい?
娼婦が鈍器で殴られた後、頸動脈をX証に切り裂かれるという惨殺事件が発生。
犯人はすぐに捕まったが、至って普通の男でとても凶悪犯とは思えない。
近辺では似たような事件が相次いで起きていた。
刑事の高部は一連の事件を友人の心理学者とともに捜査するが、なかなか真相を掴めない。
そんな時、捜査線上に間宮という不審な記憶障害の男が浮上する。
一度だけでは完全に理解しきれない。
観れば観るほど深みにハマりそう、ただ一度でも十分面白かった。
軽快な音楽で始まるタイトルバックから次第に巻き込まれていく主人公。
明らかにコイツが怪しいと分かっているのに晴れないモヤモヤ。
間宮という男の不気味さが進展すればするほど重くのしかかってくる。
常人の中の潜在的な怒りや憎しみを表出化させ、束縛する何かから解放させる。
まさにcure、治療、癒し。
そう考えると、ある意味「褒める」や「励ます」、「寄り添う」という行為も催眠の一つなのかもしれない。
やはり、普通の人が突如躊躇いもなく人を殺す姿は衝撃的。
そしてかなりの残忍ぶり。
早期解決を願うも、負の連鎖は止まらない。
音や光など物語上重要となってくるものへのこだわりが強かったように思う。
思い返せば、踏切の遮断機にカメラが寄っていた。
X関連はイマイチ腑に落ちない部分もあったが、猿のミイラといい佐久間の部屋のものといい、Xが現れるたびにゾッとする。
特別だった高部は伝道師となった。
あんたすごいよ。
こんな人殺しが許されていいわけないのに、鬱屈した不満への救済だと考えるとなんだか合点がいってしまうのが怖い。
私もまた、間宮の噛み合わない会話にイラつき、まんまと間宮の術中に陥り、cureされたのでした。
私にはまだまだ難しかった
【”心の闇を、霊術により救済する伝道師” ”こちらの世界”と”あの世”との狭間を描き続ける、黒沢清監督の名を国際的に高めたサイコ・サスペンス。】
■頻発する、”クロス”に首筋を切り裂かれた猟奇殺人が、短期間に3度発生する。
実行犯は別人。
<Caution! 以下、内容に触れています。>
・猟奇殺人事件の捜査を進める高部刑事(役所広司)。
・友人の心理学者佐久間(うじきつよし)の協力を得ながら、”間宮”(荻原聖人)と言う記憶障害の青年に辿り着く・・。
・高部自身も、妻(中川杏奈:早逝されている・・)が、精神に病を抱えており、心に屈託を持っている・・。
・間宮と関わる人々(警官(でんでん)であったり、幸福な生活を営んでいた結婚していた男であったり・・、彼を診察した女医(洞口依子)が、彼の”無意識の催眠暗示”により、行った事・・。
・間宮の部屋を訪れた高部が目にした、膨大な精神病理学の書物。間宮は、精神医科大の生徒であった・・。
”メスナー”という18世紀のオーストリアの精神病理学者に入れ込んでいた間宮が、打ち込んでいた事。
”メスメリアン”
【間宮が、高部に言った言葉。 ”あんただけが、俺の言葉を理解できる・・。” 】
・佐久間が高部に見せた、1898年に撮影されたモノクロの、村川すずと言う、”息子を十文字に切り裂いた”母親の診療風景の映像。
佐久間の
”当時は、診療とは呼ばずに、”霊術””オカルティズム”と呼んでいた・・”と言う言葉。
・その佐久間も、自ら命を絶つ・・。
<間宮を廃病院で拳銃で殺めた佐久間が、”晴れ晴れとした顔”で、行きつけのファミレスで食事をし、ウェイトレスに珈琲を頼み・・。
そのウェイトレスが、無表情に手に持ったモノ・・。
”ごく普通の人々が、ごく普通に遭遇するであろう恐怖を描こうとした”と黒沢監督が語った、
”登場人物たちが放出する掴みどころのない恐怖に焦点を当てた”
黒沢ワールドの萌芽を感じさせる、サイコサスペンスである。
黒沢清監督のワールドワイドな、快進撃が始まった記念碑的作品でもある。>
人間の本性
前から見ようと思ってた黒沢清監督のこの作品。
アマゾンプライムで借りてみました。
1997年の作品ですけど、古さを感じさせません。
話としては、割とこの時代によく映画で扱われてたサイコスリラー(サスペンス)系。
「催眠術」がキーファクターになってますが、逆行催眠などはできたとしても、バツ印の殺し方まで伝道できるってのは、まぁ、演出でしょう。ただ、作品の中で登場人物の精神科医である佐久間が語っている「催眠状態でも人の倫理観は変わらない」というテーマが、この作品に深い意味を与えているように思います。
つまり、「実は人間は、殺人を行ってはならない大罪だと思っていない」。
あくまで間宮はキッカケでしかなく、問題は殺人を犯してしまうその本人にある。
おそらく監督はそう言っているのでしょう。
事実、この作品で催眠状態に入った普通の人々が殺人を犯している。
これが人の本性。
私もこの考えに賛同します。
犯人は社会的地位の高い人が多かったですが、それは「抑圧の深さ」を示してはいるものの、この本性という意味では大差ないでしょう。
人間は、直接的には行わないとしても、間接的に「他人を殺す(傷つける)」ことを厭わない。
2020年現在、ネット中傷で他人を平気で傷つけたり、自粛警察やマスク警察などを行う人たちを見ると、この本性が透けて見えてくる気がします。
話の流れとして、主人公の高部が新しい伝道師になっていく過程は面白いですが、それほど興味は惹かれませんでした。まぁ、最後20分くらいは雲の中のバスシーンなど、半分現実、半分白昼夢、みたいな感じでしたが。最後の喫茶店のシーンはタバコの火でウエイトレスを操ったのかな?奥さんをどう殺したか、など含めて、その意味をミステリーとして考えるのは面白いですが、些末な話でしかないでしょう。
しかし、タイトルが「CURE(癒し)」というのは興味深い。たしかに、社会システムの法外に出るのは「癒し」になるでしょう。それだけ、コンプライアンスやポリティカル・コレクトネスなど、現在社会がシステム内部に閉じ込められてしまっている。
何度か重要なシーンを見返しましたが、2回くらい観てようやく色んな伏線に気付ける、サスペンスとしても上質な作品です。
黒澤監督の他作品も、もっと観てみようと思います。
面白かった
オカルト(神秘)は神ではなく人間が作るのであり、それ故に人間特有のありとあらゆる欠陥(狂気)、歪んだ欲望が噴き出る。能動的ではなく受動的に。
「あんたは誰?」と問われて、肩書きと名前以外に答えられる人はいない。
そして「あんたの話を聞かせて」と誘導されて、人格を侵食される。
侵食された人間の精神と肉体は切断される。切断されている間は意識(記憶)がない。その間に、ストレスや鬱憤の源に対してXの鉄槌を下すのだ。欲望を解放することで心を癒す恐怖の治療法。
しかし高部は侵食されなかった。白昼夢で自分の欲望を認識し、生肉を投げ捨てたあたりから、肉体にまとわり付く意識を自分で取り払った。
そして、空飛ぶバスでしか行けないあちら側の病院で、蓄音機の言葉(伯楽陶二郎による『癒せ、癒せ』)に導かれた高部は、間宮を引き継ぎ、新たな伝道者となった。
侵食されず、能動的に能力を手に入れた高部は、精神と肉体が鎖で繋がっているので、記憶喪失にならない。
心の負担の源である妻から解放され、すっかり食欲も戻った高部。ファミレスで旺盛に食事を済ませ、仕事も充実。ピースに火を点け(トリガー)、コーヒーをすする。
ナイフを下げるウェイトレスに「癒し」を施した?
ゴウンゴウン鳴る洗濯機
黒沢清 97年。監督のブレイク作。見てたつもりで見てなかった。
細かな何気なくも不穏なショットの積み重ねと長回しがテンションを高めていく。いきなり来るショッキングさも上手い。この頃から世界観は完成されてる。サイコサスペンスと思わせて実は系列違う。
センシティブな部分もエンタメとして吸収させる力量、音響、編集共に完成度が高い。最後も実にらしい幕切れ。
役者としての萩原聖人はたとえこれ一作としても邦画史に残るでしょう。
黒沢清監督と役所広司のコンビ。作品のチカラ。
日本のサイコサスペンス系の作品の中では1番好きな作品。
役所広司さんも大好きな主演作品だと語る様に、
この後に何本もの黒沢作品の常連になります。
黒沢清作品を薦める時にこの作品と「回路」を薦める様にしてます。
黒沢監督は、演技の指示をほぼしない、
リハーサルも少なく、早撮り。
この映画の様に気づいたら、黒沢清作品の中に存在する。
出来上がったものは、紛れもなく黒沢清作品。
長回しの中でこそ起こる映画的な瞬間。
廃墟。壁のシミ。
世界水準のサイコスリラーなのは間違いない
これは怖い、そして引き込まれる
世界水準のサイコスリラーなのは間違いない
序盤こそグロいシーンをチラ見せするが、中盤を越えるにしたがって一切見せない
それ故に怖い
終盤に近づくと、もはや現実なのか、妄想なのか、妄想ならそれは誰のものか
全てあやふやになっている
意識下の知らないこと
現実と思っている薄皮の下にある妄想が現実かも知れない怖さ
時系列すら怪しくなってくる
見事な演出だ
そしてそれを破綻させる事なく、最後まで目をそらさせない見事な演技
役所広司が首吊りを発見して声を出さない絶叫のシーン
萩原聖人の不気味な存在感は特筆すべきものだ
エンドロールの何か見えない、いや見えているのに見えない何か
本作のテーマそのものかも知れない
クリーピーを観て面白かったのでこちらも鑑賞。 クリーピーのようなわ...
黒沢清にしてはマァマァ
20年ぶりに再見して
間宮を捕えた後、警察がこういう行動はとらないだろう、というか無策に過ぎると思った。
普通、催眠をかけて殺人させたことを証明するために策を講じるだろう。
前半はサスペンスだが、後半はリアリティーのないホラーになり、疑問符が浮かんだまま話が進んでしまう。
あの廃校は何なのか、重要参考人の間宮を銃殺するなんてことがあるのか、そもそも間宮を逃がすなんてできるのか、終盤は全部が高部の夢だったのか、レストランでウェイトレスに催眠をかけたのか、奥さんを本当に殺したのかそれとも想像なのか、黒沢氏は最後に矢継ぎ早に謎をぶつけてくる。
が、高部の夢みたいなシーンのために高部のことも理解できなくなり、感情移入もできず、誰の視点での映画だったのだろうと疑問に思い、この作品が言いたい事を考えてみようとまで思わなかった。
それから、権力はオカルトを弾圧するっていうのは陰謀論であり幼稚。そんなに権力は暇じゃないだけだ。
黒沢氏が脚本も担当した、42歳の時の作品。頭の良い人なのだろうが、いま同い年になった私の心は動かなかった。
CURE
タイトルなし(ネタバレ)
首から胸のあたりX字に切り裂かれる殺人事件を追う高部刑事が役所広司。場所も被害者も共通点はないが3件続いて起きたところから始まるストーリー。
その後も同様の事件が続くが殺す前に間宮(萩原聖人)と出会っていたということがわかる。加害者に記憶がないことから催眠を疑って精神科医の佐久間(うじきつよし)に協力を求む。
不気味な雰囲気の中、淡々とすすんでいく。
間宮がメスナーの論文を書いていて邪教の本にのめり込んだのは明らかだが、村川スズの記録フィルムを見たかどうかはわからないことになっている。...バスルームの猿のミイラのX字を見るとフィルムから間宮自身が催眠暗示にかかったともとれなくはない。
催眠暗示としてきたが、もともとは催眠療法であり、人間の心の奥底にある憎悪を解き放つことが癒し。憎悪の原因である対象を殺すことで癒されるみたいな恐ろしい話でもある。
天井から滴り落ちる雨漏りの水で高部刑事に催眠をかけたのは明確で、妻が死んだのもそういうことなのだろう。
最後ウェイトレスはナイフを持つが間宮とは接していない。伝道師としての間宮が高部刑事を伝道師にかえたともとれる意味深ラスト。
好きな映画
20151115 スリラー?ホラー?ミステリー?
初視聴。黒澤清監督作品はこの映画初めてなのですが、独特の世界観に引き込まれました。前半は普通の刑事物?かと思いながらも、後半は謎のショットや展開で頭がクラクラに、、、視聴後は、自分が催眠術にかかったような錯覚に陥りました。一番怖いのは人間、ということなのかな。これはこれでハマる人もいる気持ちがわかりますね。
怖い
全63件中、41~60件目を表示










