ギャング対ギャング 赤と黒のブルース
劇場公開日:1972年4月14日
解説
実録的任侠アクションをドラマチックに描いた作品。脚本、監督は共に「博徒斬り込み隊」の佐藤純彌。撮影も同作の飯村雅彦がそれぞれ担当。
1972年製作/88分/日本
配給:東映
劇場公開日:1972年4月14日
ストーリー
加納信之は東京オリンピックの射撃選手として強化練習に参加していた頃、ほんのささいな事から愚連隊ともめごとを起し誤って刺し殺してしまった。それから数年の刑務所生活、出所した加納に声をかけたのが菊栄会の水森だった。「俺たちの世界に来いよ、人殺しは勲章と同じだぜ」、そしてまた何年かたった。横浜を支配する、菊栄会会長の菊田が倒れた。跡を、つぐものは誰か。菊栄兄弟会の横山は、岩崎組組長に名目だけの会長代理に指令し、菊栄海運社長の基木に財務一切をまかすことを決定した。水森は、野心を実現する好機として捉え、加納に基木を殺害するよう命じた。加納は見事基木の乗る車に弾丸を撃ちこみ、車は海へ墜落炎上した。だが、一人の女が先刻から目撃していた。奈津子は、そこで恋人と落ち合って心中するつもりだったが恋人は現われず一人で死のうとした時だったのだ。加納は奈津子を自分のマンションに連れ帰った。県警の平瀬は、この事故を菊栄会跡目争いにからむ殺人と睨み調査を開始した。基木が死に、名実ともに菊栄会を握るかに見えた岩崎だったが、岩崎組のヤク八千万が何者かに盗まれ、更に岩崎を基殺しの元凶と思いこんだ基木の乾分、溝口に斬りつけられ入院してしまった。さて水森が、菊栄会本部に乗り込んできた。くやしさに唇を噛む岩崎。基木殺しと、ヤクの横奪は水森、加納等の仕業ではないのか……。水森の情婦が殺された。岩崎の仕組んだ巧妙な罠に陥入り、水森は情婦殺しとして手配され、やがて岩崎に復讐に来たところを張り込んでいた平瀬に逮捕された。今度の不始末は水森に責任があると訴えた岩崎の言葉を信じた菊田は、加納に水森の縄張りをまかせるから水森を殺せと命じた。承知しなければ奈津子の安全は保障しないと。加納は取調中の水森を窓ごしに射殺した。激怒した平瀬は、菊栄会全員を別件で逮捕するよう指令正面からの対決にふみきった。一時の撤退を決意した菊田は、解散を宣言、火の粉をふり払うため加納への自首を迫った。「何のために今まで苦労してきたんだ!」菊田に反旗をひろがえした岩崎は、菊田に旧悪を暴露され逮捕された。孤立する加納。マンションに帰った加納に刑事が組みついた。もみ合う刑事の拳銃が暴発、弾丸が奈津子の胸を朱く染めた。逃れ出た加納の顔は、怒りと悲しみに燃えたぎった。菊田邸に菊田を襲って射殺。ライフルを持って屋上に上る。周囲をうずめる警官の群に次々に発射される正確な弾着。やがて弾丸が尽き、死ぬ時がやって来た。だが彼は悲しくはなかった。死は、彼を奈津子のもとへ連れて行ってくれるのだ。