「映画への愛情がこもった傑作だと思う。」キネマの天地 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)
映画への愛情がこもった傑作だと思う。
映画館の売り子が、女優として人生を歩む一方、1930年代の日本映画の裏側を、興味深く取り上げた人間ドラマだ。田中絹代、小津安二郎、斎藤寅次郎、岡田嘉子、城戸四郎などをモデルにした人物が出てくる。
何の知識が無くても、普通に映画への賛歌として楽しめる良作だ。もちろん、鑑賞前に、当時の日本映画や世相に関する出来事とか背景知識を知っておくと、より楽しめる。全編を通じて、映画への愛情が心から感じられる。
シリアスなドラマと、明るく楽しいコメディの間で、話が散漫だとか、中だるみとか、長く感じるひともいるかも。それでも、心温まる軽妙なテンポで、最後まで楽しんで見ることが出来る。
無声映画からトーキーへの移行期だった1930年代を詳細に再現し、どこか懐かしさを感じる、ノスタルジックなタッチで、映画とそれに関わる人々を、心をこめて描き切った傑作と思う。
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