機動警察パトレイバー2 the Movieのレビュー・感想・評価
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柘植の舐めプに救われた?
今日改めてDVDで見たのだが
実は公開当時映画館でも見てるし
その後も何回か見ている
前作もある意味そうだが
本作ゲスト敵の柘植が本気でクーデター企んでたら
かなりヤバかった
と言うか多分クーデター成功してた
多分その後アメリカが介入しそうだけど
本作の劇中の柘植の戦力は
戦闘ヘリと有線操縦型レイバーと飛行船
あとはジャミングやハッキングが出来るPCの専門家と整備士
それにヘリのパイロットとアジトの警備兵ぐらい
ただこれにかかる経費は1億や2億では済まない
おそらく100億単位の金が動いてるだろう
そしてここからが本題だが
それだけの金をもしも歩兵とその火器に回していたら
十分にクーデターは可能だった
日本でクーデターやるのは簡単
国会開催中に議事堂占拠して全国会議員を拘束し
クーデターのリーダーを首班指名させた後で全員辞職させる
これでクーデター完成
以後自衛隊も警察もクーデター政府の指揮下に入る
それに必要な戦力が大体陸自一個中隊程度
歩兵にして200~300人ぐらいと言われている
100億あれば十分その人数の兵士に武器持たせられるし
一から訓練して養成することも可能
もうひとつ
クーデターというより日本を壊滅させる方法がある
それは架空の戦闘機出撃以降「状況」を開始せずに放置すること
これは小説版に押井監督が加筆した改訂版で読んだ話なんだが
自衛隊の治安出動には想像以上に金がかかる
先ず車両やヘリは連絡や交替や警戒の為に絶えず動いてるから
燃料代と整備費がかかる
あと戦闘も始まってないのにテントで隊員寝かせるわけにも行かないから
仮宿舎として建物をリースしなければならない
そして一番金がかかるのは隊員の食費
戦闘も始まってないのに野戦食というわけにも行かないから
仕出し弁当等を手配することになる
こうして後藤隊長の試算によれば
特車二課の年間予算に匹敵する金が1日で消える
だからもしも柘植が「状況」やらずに1ヶ月ぐらい雲隠れしたら
間違い無く日本政府は経済的に破綻する
本編に直接関係無い話ばかり続いたので
本編についても少々
前作に続きジャミングやハッキングや毒ガス等
先見の明に溢れた預言書でもある
ただ自動車電話がまだ現役で
携帯電話がまだ初期型で
一般市民が持ってない辺りがレトロフューチャー
本作公開は1993年だが
携帯が一般市民に広く普及するのは
その2年後の阪神大震災以降
微妙にタイミングが外れた
あと非日常的な事態に偉いさんが頓珍漢な対応し
独立愚連隊な主役チームが解決するストーリー構造は
後年の庵野秀明監督の「シン」シリーズに影響を与えたと思う
欲を言えば第二小隊にもうちょっと活躍させて欲しかったが
リアリティ優先するとこんなもんかな
惜しい レイバー
現実的で無かった1990年代前半の『戦争』
元は、バブル期から10年後の「リアルな近未来」を目指した
「パトレイバー」であったが、バブル崩壊から数年で
「バビロン計画」の様な「列島全土大開発」など、未来永劫に無いと
確定して、リアリティが喪失した為に作品の幕引きを考え
メインの作家である「押井守監督に、好きな内容で映画を造って
もらおう」と、そういう風にしか落し所が無かったのであろう…
映画の前作に比べ、ロボットが存在する必然性が無いし、
必ずしも主人公が警官である必要性も無い
全てが「押井守オリジナル」に、お任せといった感じ
現代から振り返って見てどうか?
21世紀の始まりから「9.11」や「イラク戦争」で初めて
リアルな「テロ」と「戦争」を知った、若い世代…
現実に起きないと思われた「第三次世界大戦」が実現しそうな、
きな臭い世界情勢…
現代の若い世代から見れば「戦争を知らない最初の世代」
である押井守氏は、完全にジェネレーションギャップでは
なかろうか?
「戦争が現実的である時が、あったか?」という台詞も
いかにもな1990年代前半の『日本人のみ』起きうる思考
そういった意味で、映像の「パトレイバー」は、1993年に
幕引きせざるをえなかったかもしれない…
「映像作品のパトレイバー」は、これ以後も幾つか造られた
様だが、そちらは見ていない
考えさせられる
・予習のためアーリーデイズを観てから観た。始まってすぐ特車二課が斜陽でとても寂しくなった。後藤隊長の仕事に対する姿勢が凄く良かった。新人の定時に帰りますっていう感じが悲しくなった。何もおかしくないのだけど、特車二課はそうあってほしくなかったなぁという。特車二課の雰囲気が一気に過去の世界になっていて驚いた。主に後藤隊長と南雲隊長の話っていうのも驚くし、パトレイバーがほとんど活躍しないのも驚く。様々な思惑が徐々に膨らんでいく演出、読めない展開が面白かった。かなり複雑な話をしているように見えたけど、概ね理解できた気がする。それも凄いなぁと思った。
・日本人が日本でテロ?クーデター?を起こした話だった。自衛隊と警察が戦うっていう発想が凄いなぁと感心した。ただ、昨今だと日本は中国に乗っ取られるだろうという気がしてならないので内戦してるなんて余裕がある時代だなぁと思った。日本を変えたいという気持ちがあったから柘植についたわけだろうから自衛隊員も熱いなぁと思ってしまった。今は利益がなければ誰も手をあげないんじゃないかなぁと思った。何かしらの虚しさを皆抱いていたのだろうか。
・確か戦争ありきの平和、平和ありきの戦争という話があった。戦争が遠い時代感覚がもはやない。すぐ手前まで来ている感じしかない。遠かった時代ってどんなんだったんだろう。
・レイバーだけが突出して進歩したSFなのが面白い。電話は固定が大半で、自衛隊側がたばこ屋でかけてたり、南雲隊長の家が古民家レベルだし、苫小牧からSLで移動してるしとかのギャップが凄く良い。
・全体的に重苦しい雰囲気で会話シーンが大半だった。ラスト手前にレイバー同士の戦いがあったくらいで改めてロボットアニメとは違うんだなぁと思った。
・ラスト、後藤隊長が振られて、特車二課が解体されたっぽい感じが後引く感じで解決されない感じが良かった。
・蛇足だけど、U-NEXTでレインボーブリッジの爆破って書いてあった。観てたら横浜ベイブリッジだった。
映画の出来は良いが、、、
押井守作品でいちばん好き
「まともでない役人には二種類の人間しかいない。悪党か正義の味方さ」
中間管理職の憤怒と悲哀が溢れる作品。前作で松井が、本作で後藤が口にする「正義の味方」という言葉がテーマだろうか。別の言葉を探すなら「貧乏くじ」だろう。
古く大きな組織というのは、上に行けば行くほど多様性を失うように思う。それは、組織への忠誠心を試す踏み絵のようなステップが幾つも用意され選別されていくからだろう。
自立思考できる者、自立思考に目覚めた者は途中でふるい落とされ、そこに悪党と正義の味方がいる。そうして考えると、悪党と正義の味方は共鳴しやすい危うい関係に思える。
進士が妻に言った「行かなきゃ、仕事より大事なものを失っちゃう」という一言は、その危うさと同時に意思の大切さをとても良く表している。(家族にとっての正しいが何かは別物だが…)
一方で現場は、忠誠心溢れるまともな役人達によって歪められていく。その様子は後年の大ヒットドラマ、踊る大捜査線へと繋がるものを感じる。後藤と南雲が呼ばれる会議シーンなんかは、誰もが青島のあの名台詞を思い出すのではないか。
そんな茶番のような会議から二人が逃走するところから、物語は一気に加速する。南雲に「今降りちゃ駄目だ」と伝える後藤。彼と榊の周到な準備が功を奏し、激しい闘いの末に南雲が柘植を逮捕する。指を絡ませ見つめ合った後で、互いの手を手錠で結ぶ南雲と柘植。必要な時に隣にいられなかった後悔を繰り返したくないということだろうか。その様子を離れたところから呆然と見つめる後藤、なんて無情な結末だろうか。
二人を見送った後、駆け寄ってくる第二小隊の初期メンバーを眺めながら「結局俺には連中だけか」と呟く後藤を見て少し救われた。しかし同時に、彼らを失うことがあれば後藤は柘植以上の事件を起こすのではないかという怖さを感じた。
…
街中に戦車が配備され「いつ何が起こってもおかしくない状況」という中で、淡々と続く日常。市民や自衛隊員の描写は、現実でもこうなるんだろうという納得感があって恐ろしい。こんな表現は実写にはできないアニメならではのものだと思う。
どまんなかアニメ映画祭にて見てきました
名古屋で行われた、どまんなかアニメ映画祭にて久々に見てきました。映画以外の情報が嫌いな方はここからは読まないで下さい。
見始めてすぐにサウンドリニューアル版と分かりがっかり。私はオリジナル音声派なので。採点のー1はこの分です。
映画自体はもう何も言う必要が無いくらいに超名作です。これをサリン事件や911の前に作ったというのが信じられない。(でも、後だとさすがにあれやこれやのシーンは作れないでしょうけどね。)
リアルロボット物の究極にして最後の1作だと思っています。オーバーテクノロジーや魔法を使わない、現代の技術の延長という意味でのリアルロボットでは、墓標のような映画かと思います。(純粋に軍事的に考えると巨大戦闘ロボはナンセンスという意味で。)
映画の後のトークショー(メカデザの出渕さんと脚本の伊藤さんという超豪華なお二人!!)で、出渕監督が「リアルとリアリティは違うんだよ」とおっしゃっていたのが印象的でした。作り手はみんな分かった上で、何とか本物らしさを出そうと頑張っているんですね。
トークショーの話はめちゃくちゃ面白かったのですが、(主に人間関係の)やばそうな話が多くて、これ以上はやめておきます。
最後に、柘植がテロを起こした動機は「戦争という空間を作って見せたかったから」。誰に見せるのか?東京都民か、日本国民か、なんて昔は考えていましたが、柘植という男はすなわち押井監督で、見せたかったのは、視聴者だったんですね。「僕らが謳歌している平和は、外国の戦争の上に成り立ってんだよ」と。その上でこの国がどうなるのか、「もう少し見ていたい」と語っていた。あれから30年・・・、幸いな事に911のような血の代償を払う事なくゆっくりと老衰しつつあるこの国の姿は、押井監督の目にはどう映っているんでしょう。それともまだ成就していない予言なんでしょうか。
『この国はもう一度、戦後からやり直すのさ』
1990年 インターネット、デジタルハイビジョン 国際連合平和維持活動
1991年 湾岸戦争
1992年 ボスニア・ヘルツェゴビナ
1995年 地下鉄サリン事件
1995年 Windows95
2001年 同時多発テロ事件
このアニメは現時点での日本国憲法ではあり得ないクーデターの話。しかし、軍隊を持てば、日本だけがあり得ない話ではない。実際、冬の雪の日に、同じ東京でそれがあって、第二次世界大戦へと大日本帝国は進む。
バブルは崩壊して、日本は、現在まで何もかも下降する一方。軍事力を増大させる事が国力ではないと、このアニメの『つげ』の様に、まだ分かっていない。
『この国はもう一度、戦後からやり直すのさ』
『日本の平和は作られた平和ボケかもしれないが、この戦いも作られた戦争。この街はリアルな戦争には似合わない』
『もう少し、見ていたかったのかもしれないな。この街の未来を』
海外では非常に評価が高く、国内では大多数から酷評されている作品
それはこれだけの大作のレビュー数が100に満たないことでも良く分かる。
まあ、無理もない。
この映画では主人公の特車2課の面々はほぼ脇役以下に追いやられ、ようやく彼らが活躍し出すのは後半以降。
つまり、この作品の本題はパトレイバーの活躍ではなく、パトレイバーという基本設定の中で、日本の抱えるタブーや暗部を「真正面から斬る」ことにあり、だから観客は「何だこれ?」って話になるのだろう。
ただし、それでも制作陣からすれば「まだまだ言い足りない部分」が多くあったのだろうし、押井作品は制作段階でお蔵入りなんて事も何回かあり、今回もそういう、親会社とのギリギリのせめぎ合いの中で「作られた感」が滲み出ている。
とにかく押井作品はいつも同じで「虚構と現実」を、どの様にして作品の中に映し出すのかに終始する。
今回は柘植行人(告げゆく人)という元自衛官が起こした、自衛隊機(実態は日本で軍拡を目論む勢力の教唆による米軍機の使用)の横浜ベイブリッジ爆破がきっかけとなり、物語が進行していく。
その後は事件に驚愕しつつも、あくまで表面的な体面のみを守ろうとする警察、自衛隊、そして政府が、互いに責任を押し付け合い、キリキリ舞いさせられ「柘植の思惑通りのド壺」に落ち込んで行く様が、非常にリアルに描かれている。
国民の生命財産よりも、自分たちの体面や利益を何よりも優先する。
この辺りは昨今の統一教会騒ぎやコロナ対応などを見ると、今も全く変わっていない気がする。
劇中で特に印象的なのが日常と戦争の対比だ。
万策尽きたと考える日本政府が、何気なく警察と自衛隊をすり替え「治安出動」という名の「実質的な戒厳令」を敷いても、日本人は何事も無かったかのように満員電車に乗って出勤し、完全武装した兵士や戦車の横を、無表情で通り過ぎていく。
国がやることだから自分には関係ない。それより自分の生活が大事なの。だからそれ以外はどうでもいいの。ゴチャゴチャうるさいな。見たくない物は見なければいいじゃん。
もちろんこの状況は柘植の思惑通りであり、これで自分の息の掛かった反乱部隊を、何時でも動かせる状況になった。
こんな事は一番最初に想定しなければならないことなのに、政府は全く考慮せず、思考停止のまま事態を悪化させ、首都東京は「なし崩し的な内乱状態」へ突入してしまう。
もちろん、よくよく考えると「整合性の取れない部分」は多く、色々とアラも多いが、それでもこの作品をリアルに感じるのは、この日本という国が現実と虚構の「区別が付かないままに」何故か国家として成立してしまっているからだろう。
劇中でも言われるが「何もしない国民」が大多数である限り「彼ら」は安泰であり、いつかこの映画に描かれたことが現実化する日が「来る」のかも知れない。
押井だ・・・・・
良くも悪くも押井守。
前作がまだパトレイバーとして作る意味は有った様に感じるが、これをパトレイバーで作る必要が有ったのかなぁ。野明と遊馬は篠原重工に開発で出向。特車の基地?に残っているのは両隊長とひろみちゃん。整備班もシゲさん以外は確認出来ず。
物語も南雲の昔の恋人と言うか不倫相手が起こす、テロに掻き回される自衛隊と警察。南雲が昔の不倫相手に未練があるのか無いのか、それを気にする南雲との距離を縮められない後藤。と言う中年のラブロマンスにも見える。
現役のパトレイバー部隊は活躍するコト無く、ヘリ一機の奇襲で全滅。後藤が隠していた機体で旧メンバーが最終盤にようやく出動。数分です。
キャラデザインも一応、ゆうきまさみの名前が残っているが、野明と遊馬は誰?って感じだし、南雲緒・後藤も面影は残っているけど疲れたオバサンとオジサン。遊馬ももはや警察に所属している必要無く、実家の篠原重工に転職した方が早くね?って状況と、終盤のパトレイバー出番前の躊躇。
世間的には、やはりコミック版やOAVでのゆうきまさみデザインらしいキャラとストーリーがパトレイバーのイメージ。
この設定だったら、パトレイバーと言う看板を使う必要無かったんじゃないだろうか。作品としては悪くないだけに、「でも、見たいのはパトレイバーなんだよ」と言うジレンマが。
戦後平和主義に正面きって挑戦した最高傑作
1 本作のテーマ
第二次大戦の敗北により、戦後日本は憲法第9条を中核とする平和主義を絶対的な枠組みとして統治機構が構築、運営されてきた。
それは日米安保を裏付けにしたものであり、換言すれば外交・安保はすべて米国に依存しつつ、経済的繁栄のみ追求する「普通でない国」の歴史だったと言える。東西冷戦体制があったから、それでも差支えなかったのだ。
しかし、本作が公開される4年前にソ連は崩壊、東西冷戦体制は終焉を迎えた。世界情勢が流動化し始めた中、日本は戦争を絶対悪とする戦後平和主義のぬるま湯にいつまでも安穏としていていいのか、という問題提起が本作のすべてである。
2 ポリティカル・シチュエーション・ムービー
冒頭の国連PKOに参加した自衛隊のシーンでは、PKO参加五原則により武器使用が正当防衛等に限定される中、それを硬直的に運用した指令官の武器使用不許可により部隊を全滅させる柘植が描かれている。憲法9条は国際紛争に無力であり、柘植はその犠牲者である。
その怨念を秘めつつ、柘植は日本の安全保障体制の改革=世直しを目指すグループを自衛隊内部に結成し、偽装テロによる安保意識覚醒を目指す。
それはきわめてラジカルなもので、ベイブリッジ爆破から航空網寸断、さらには主要権力施設の破壊にまで及び、さらに生物兵器で首都全体を脅威に晒すものであった。この過程で治安維持や安全保障といった国家システムは大混乱に陥り、挙句の果てに米国の介入通告さえ招くにいたる。
その混乱から日本の安全保障体制が再構築されることを期待する――おそらくはそれがグループの狙いであり、柘植の怨念の解放と願望だと思われる。
偽装テロを仕掛ける柘植の戦略は周到であり、これに対峙する後藤たち特車2課もキャラクターが鮮やかで、テログループの存在感が薄いほかは、文句のつけようがない。
3 戦後平和主義体制批判の論理
押井守は見事なレトリックを駆使して平和主義日本を批判する。以下、登場人物のセリフから戦争・平和論議をみてみよう。
〈荒川:俺たちが守るべき平和…だが、この国のこの街の平和とはいったい何だ? かつての総力戦とその敗北、米軍の占領政策、ついこの間まで続いていた核抑止による冷戦とその代理戦争、そして今も世界の大半で繰り返されている内戦、民族衝突、武力紛争…そういった無数の戦争によって構成され、支えられてきた血塗れの経済的繁栄。それが俺たちの平和の中身だ。
戦争への恐怖に基づくなりふり構わぬ平和。正当な対価をよその国の戦争で支払い、そのことから目を逸らし続ける不正義の平和。
後藤:そんなきな臭い平和でも、それを守るのが俺たちの仕事さ。不正義の平和だろうと、正義の戦争よりよほどマシだ。
荒川:かつて正義の戦争を口にした連中に碌な奴はいなかったし、その口車にのって酷い目に遭った人間のリストで歴史の図書館は一杯だ。だが、正義の戦争と不正義の平和の差はそう明瞭なものじゃない。平和という言葉が嘘つきたちの正義になってから、俺たちは俺たちの平和を信じることが出来ずにいるんだ。
戦争が平和を生むように平和もまた戦争を生む。単に戦争でないというだけの消極的で空疎な平和は、いずれ実体としての戦争によって埋め合わされる。そう思ったことはないか?〉
荒川が指摘するのは、世界が緊密につながる中、日本の経済的繁栄は同盟国等の兵士が生命を懸けて贖ったもので、平和主義は偽善だということである。
これに対して、偽善の平和でも生きていた方がましだ、と後藤は反論する。
荒川の再反論は、日本人もPKO活動のように戦争に関わらざるを得なくなっていくし、本当は誰も信じない偽善の平和はやがて自ら戦争をまねくというのである。
また、ラストの戦闘シーン前には、次のような会話が交わされる。
〈後藤:この街はリアルな戦争には狭すぎる。
荒川:戦争はいつだって非現実的なものさ。戦争が現実的であったことなど、ただの一度もありゃしないよ。〉
後藤のセリフは、日本人にはまだ差し迫った対外的な危機意識が存在しないという主張だろう。対して荒川は、戦争は個々人の意識と無関係に勃発するのだ言っているようだ。
これらの受止め方は見る側の政治意識により大きく変わるだろうが、評者はもちろん荒川の意見に全面的に賛同する。後藤が荒川より説得的とは言えまい。
4 評価
本作は押井守の最高傑作である。これ以前にもこれ以後にも、本作以上の映画は撮れなかったし撮れないと思う。
ちなみに本作から28年を経た現在も、政府の自衛隊敵基地攻撃能力に関する公式見解は、「自衛隊は、現在、敵基地を攻撃することを目的とした装備体系を持っていないことから、敵基地に対し軍事的に有効な攻撃を行うことは、現実の可能性として極めて難しい」と、お花畑状態である。押井の戦後平和主義体制に対する問題提起は、いまだ有効と言えよう。
東京で戦争をするには
自衛隊の内部クーデターを描いた衝撃作...だけではない?
まあ簡単に要約すると自衛隊がアメリカ軍を偽装してテロ行為を起こし軍事蜂起を促そうとする内部クーデターを描いた作品です。
憲法改正とかにも関わる内容でしょう。
私は完全な文系人間であり、理系の人の言うことはよくわかりません。
ただこの作品のリアルさ、とくにテレビ制作会社のあのいかがわしい雰囲気には明らかに何かしらのメッセージがあると思いました。
自衛隊、テレビ製作会社、警察、内閣、国防省
暗躍する官僚たち
私は正直申し上げると、ここにさらに電通あたりが関与した内容ではないかとこの映画を観て推察をするわけですが、
そこはいろんな理由であまり明確には描けないのだろうなと...
描かないことで描いてるのではないかと思えたんです
映像に対する不信感、映像を、広告をそもそも手がける広告代理店への不信感というものがこの作品の背景にあるのではないかと私は考えます。
現在もまだ広告の中心は映像になるわけで、その映像を作るのが広告代理店の仕事であるならば、その代理店の主な取引先って絶対に開示されない上に、広告ってとても曖昧で危険な商品だという認識はあまり一般化していない。
テレビ制作マンの担当がこういいます。
"うちが編集したんだから、そりゃ観てますよ"
誰が編集することを指示したんでしょうかね。
そこをこの作品は描いておりません。
後藤隊長の
"混乱させることこそが目的"
というのもとても示唆的である。
まるで電通の社訓のようではあるまいか...
とても尖ってる作品である。
世界中のクリエイターが衝撃を受けた
現在に至るまでリアルロボット映画でNo. 1と言われ、国内でも大量のフォロワー作品が出た、ポリティカル・ロボットアクション映画。
【ストーリー】
自衛隊員に犠牲者が出たPKO活動中の襲撃事件から日本に戻り、あの地獄を現代日本に再現したいと願う柘植という知的テロリストと、それを阻止せんとする我が特車2課の面々。
かつて柘植と許されざる仲だった南雲警部、その暗躍に心揺れ動かされる一方で、徐々に柘植の陰謀に肉迫する後藤と荒川。
すべてが詳らかになり、最後の戦いへとおもむく南雲の側には、現場後方に分散されていたはずの第二小隊のあのふてぶてしい面々が。
この映画を絶賛するクリエイターの列挙やその発言内容はウィキペディアに譲りますが、こんな物語が作れるのかと、正面からノックアウトされたような衝撃であっただろうことは想像に難くありません。
もしもあなたがクリエイターなら、この映画を初めて見たときのあの胸の焦がされるような嫉妬を楽しみつつ、いやー押井守監督がテロリストでなくてよかったよかったと胸でも撫で下ろし、さあどうぞこの歴史的傑作をご賞味くださいませ。
当作の南雲さん、本当に可愛いですよ。
政治色が濃いな〜
特車二課のレイバーが出番少ないっ!
後藤隊長を中心にする感じで鑑賞しました。
洞察が鋭くて事件を解決に導くけど、ルールはどんどん破って上層部からは厄介者的な扱い、なのになぜか降格も解雇もされない。しかも、待機中のレイバーが奇襲で全滅したのに、隠し持っていたパーツから3機も組み立ててる。どうやって経費・予算を誤魔化したのやら。
どんだけ上の方にパイプが太いんでしょう。
でも、南雲隊長には弱いという点は面白いです。
後藤隊長はアニメや映画で見る分には面白い、そして時々は頼もしい人物ですが、自分の部署にいたら扱いに困る面倒な人に感じます。
一緒には働きたくないなぁ (^_^;;
ストーリーは政治と軍事、そこに南雲さんの過去の恋愛が絡んできて、ちょいと感傷的なところもありました。
南雲さんの女性的な面が描かれることってあまり無いように思いますから、新鮮でした。
ですが、話しの中心は政治的な駆け引きが軸だったと思います。
展開を先読みしながら、当たったり外れたりと観ていくのはとても面白かったです。
ただ、レイバーの出番が少ないんですよ、レイバー同士の対戦も無いし。
もっとレイバーを出して欲しい。
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