がんばっていきまっしょい(1998)

劇場公開日:

解説

20数年前の四国・松山を舞台に、ボートに青春をかけた女子高生たちの姿を瑞々しく描いた青春ドラマ。監督は「目を閉じて抱いて」の磯村一路。第4回坊ちゃん文学賞を受賞した敷村良子の同名小説を、磯村監督自身が脚色。撮影を「ちんなねえ」の長田勇市が担当している。主演は新人・田中麗奈でキネマ旬報日本映画新人女優賞を受賞した。芸術文化振興基金助成作品。キネマ旬報日本映画ベスト・テン第3位。

1998年製作/120分/日本
配給:東映
劇場公開日:1998年10月10日

あらすじ

1998年、今は廃墟と化した瀬戸内海を臨む浜辺の艇庫。10年前まで、伊予東高校ボート部の部室として使われていたそこに、5人の少女たちの写真が飾られていた──。1976年、春。東校に入学した篠村悦子こと悦ネエは、以前から憧れていたボート部に入部を希望するが、東校には女子ボート部がなかった。そこで強情な性格の彼女は、ないのなら作ればいいと先生に直訴。自ら女子ボート部を創設してしまう。ナックル・フォアという5人競技が女子の主流であると聞いた悦ネエは、新人戦のある10月までという条件でヒメ、リー、ダッコ、イモッチの4人のメンバーを集める。ところが、誰ひとりとしてボートの経験者のいない彼女たちは、ボートを海へ運ぶことすら一苦労。悦ネエの幼い頃からの天敵で男子ボート部の関野ことブーにバカにされながら、練習を開始するのであった。暫くすると、現役を引退した3年生の安田がコーチについてくれた。そのお陰で、彼女たちのオールさばきも漸く様になっていく。夏合宿を経て、いよいよ新人戦。だが、東校女子ボート部の実力は勝利にはほど遠かった。約束の期間を終えた悦ネエは、ボート部に付き合ってくれたヒメたちに感謝の言葉を述べる。ところが、試合の敗北に苦渋を味わったヒメたちの気持ちは固まっていた…。シーズンも終わり陸トレに励む悦ネエたちに、顧問教官がコーチ・入江晶子を紹介した。元日本選手権メンバーであった晶子は、しかしその輝かしい経歴とは裏腹に全くやる気がない。悦ネエたちにトレーニング・メニューを渡すと、毎日ぼんやりしているばかりだ。ある日、貧血で倒れた悦ネエを心配したブーが、途中まで自転車に乗せて送ってくれた。ブーの意外な優しさに心揺れる悦ネエ。だが翌日、借りた手袋を返そうと思った彼女は、ブーが新体操部の桃子と一緒にいるところを目撃して憤慨する。春休み、再びボートのシーズンがやってきた。新入部員もひとりだけであったが入部し、今や東校女子ボート部は自分たちだけでボートを海に出せるくらい逞しく成長していた。ところが好調に見えたのも束の間、悦ネエが腰を痛めて医者から安静を言い渡されてしまう。練習に参加出来なくなる悦ネエ。また、彼女を欠いたボート部も相変わらず試合ではドベばかりだ。そんなある日、温泉療養に出かけた悦ネエは、そこで晶子に会う。やる気のない晶子に、自分にはボートしかないと訴える悦ネエ。やがて彼女はボート部の練習に戻り、晶子も夏休みの合宿で本格的な特訓をしてくれるようになる。そして、二度目の新人戦。東校女子ボート部は、順調に決勝戦まで勝ち進んでいた。もうドベではないという気持ちが、彼女たちの士気を奮い立たせる。「ひがしこー、がんばっていきまっしょい!」ブーや晶子たちも懸命に応援してくれている。だが、彼女たちはわずかの差で負けてしまうのであった。こうして二度目のシーズンが終わった。艇庫の掃除を終えた悦ネエは、来年最後となるシーズンへ向けて自分にエールを送る。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

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映画レビュー

3.5青春謳歌中の女子高生

2025年6月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 BSの録画を鑑賞しました。

 "がんばる"という言葉は個人的に好きではありません。

 BGMが とても良い 素敵な映画でした。

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Don-chan

4.0青春モノはいいね。

2025年6月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

自分も学生時代、体育会系の部活やっただけに、共感できた。

泣けるほど、頑張ることって、人生であんまりないんだよね。

仲間たちもその後、それぞれの人生を歩むんだが、会えば、当時に

戻るから不思議。

頑張ること、仲間がいること。

演技も素朴で、郷愁を感じるいい映画でした。

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藤崎敬太

4.5快作、見るべし

2025年6月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

癒される

カワイイ

2023年ドラマ「いちばんすきな花」を見てお気に入りになった田中麗奈のデビュー作と知り、本作を見てみました。1970年代の時代のせいか、伊予松山の土地柄のせいか、古風で穏やかな雰囲気の中に、出てくる高校生たちが初々しいほか、登場人物は皆んな嫌味のない自然な演技▪️気持ちのよい演出で、あっという間に時間が過ぎました。風景も素敵で、見ていて癒されます。
ただ、唯一、冒頭とエンディングとの繋がり(断絶?)が気になります。

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たけちゃん

5.0青春部活映画ブームの火付け役、エポックメイキングと呼べる名作

2024年11月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

新文芸坐さんで「アルタミラピクチャーズ31周年記念上映第3弾」として『がんばっていきまっしょい』(1998)が1日限りの特別上映、26年ぶりに劇場鑑賞。

『がんばっていきまっしょい』(1998)
現在公開中の劇場アニメではなく田中麗奈氏主演の実写映画版。
今では珍しくないのですが、『サインはV』や『アタックNo.1』のような熱血スポ根作品ではなく、主人公たちの思春期の揺れる心と日常の延長線上にある部活動を通じた成長過程を丁寧に描いた同作品は当時としては大変珍しいジャンルでしたね。
スポーツ以外の部活動作品も大林宣彦監督『青春デンデケデケデケ』(1992年)、中原俊監督『櫻の園』(1990年)と実に少なかったはず。
本作をきっかけに『ウォーターボーイズ』(2001年)、『チルソクの夏』(2003年)、『スウィングガールズ』(2004年)、『リンダリンダリンダ』(2005年)、『シムソンズ』(2009年)と2000年代は青春部活動映画が百花繚乱、一気に開花。以降の青春部活映画もほぼ本作品のプロットに近く、ブームの火付け役、エポックメイキングと呼べる作品だと思いますね。

わたしは磯村一路監督、中嶋朋子氏主演の『あさってDANCE』(1991)のファンで劇場に足を運びましたね。当時の中嶋朋子氏は『北の国から』の蛍役のイメージを覆そうと役柄の幅を広げているなか、本作品での訳あり元日本代表コーチを好演、主演の悦ネエ役田中麗奈氏も同作が初主演作品でしたが、目力があるノーブルな容貌が当時も強く印象に残っていますね。
またロケ地の松山の風光明媚な自然、特に穏やかな瀬戸内海のキラキラ輝く水面の美しさは、青春の輝きと重なり、より洗練、昇華させていますね。まさに時代を切り開いた青春映画の金字塔ですね。

上映後には磯村一路監督ほか、女子ボート部のメンバー田中麗奈氏、清水真実氏、葵若菜氏、久積絵夢氏と豪華なトークショーも開催。映画のなかの登場人物そのままにいまでも仲が良く成長したようで、観ているこちらもほっこりしましたね。

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矢萩久登