乾いた花

劇場公開日:

解説

石原慎太郎原作を「泥だらけの純情(1963)」の馬場当と「涙を、獅子のたて髪に」の監督篠田正浩が共同で脚色、篠田が監督したヤクザもの。撮影もコンビの小杉正雄。

1964年製作/96分/日本
原題または英題:Pale Flower
配給:松竹
劇場公開日:1964年3月1日

ストーリー

ヤクザ仲間の争いから人を殺して三年ぶりに娑婆へ出た村木は、賭場で「その少女」に心をひかれた。昔の女新子との夜は虚しかった。次の賭場で村木は再びその少女に会い、サシで勝負した。有金全部張って挑みかかる少女は、村木の心を楽しませた。その夜、村木は思いがけなく屋台でコップ酒を飲む少女を見た。名は冴子、もっと大きな勝負のある場所へ行きたいとせがむ。約束の日、豪華なスポーツカーで現れた彼女に村木は眼をみはった。大きな賭場での冴子の手捌きは見事だった。彼はふと隅にうずくまって少女を擬視している葉という男に気づいた。中国帰りで殺しと麻薬だけに生きているという、その死神のような眼に、村木はいいしれぬ危険を感じた。それでも勝負に酔った村木と冴子は、夜の街を狂ったように車を走らせた。二人は充たされたものを体に感じていた。ある日、豪酒なホテルのロビーで礼装した冴子の姿を見たとき、村木は初めて嫉妬を抱いた。次の賭場へ遅れて行った村木は、冴子が葉と語り合っているのを見た。突然ガサ入れがあったが、とっさに村木は冴子を小部屋に連れ込んで難を逃れた。無心に笑い転げる冴子に、村木は強烈な愛を感じた。そのころ、ヤグザ同士の縄張り争いにまき込まれ、村木は刺客の役を引き受けた。彼は冴子の見ている前で殺しをやるが、その瞬間、冴子の顔に歪んだ微笑を見た。そして二年、村木は刑務所で新入りの仲間から、冴子が葉に麻薬中毒患者にされ、殺されたことを知ったが、あどけない冴子の姿しか思い出せなかった。

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映画レビュー

3.0篠田正浩のヤクザ映画

2023年7月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

興奮

主人公(池部良)はムショ帰りのヤクザ、早速、賭場に行くが、そこで気になる女(加賀まりこ)に出会う。
女は身の上を語らず、主人公は連絡の取りようがない。
その内、抗争事件が起き・・・。
原作は石原慎太郎、映画も乾いていた。

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いやよセブン

3.030分見ればいいかな

2023年3月23日
PCから投稿

ストーリーはとっても石原臭い。最初の30分ぐらいは映像的に工夫があり面白い角度から写真が撮られていたりして映画のテイストを楽しめる。けどその後そういうカメラとか石原テイストを楽しむのはちょっと難しいな。何しろストーリーが退屈だから。

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タンバラライ

5.0日本のフィルムノワールの最高峰だ!

2020年3月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

傑作だ!
観終わった時のこの呆然とし、湧き上がる感激
「映画」を観たという喜び、充足感、満足感
いや、痺れたというべきか、それとも酔いしれたというべきか

これほどにスタイリッシュな日本映画はない
撮影が抜群に良い、べらぼうに良い
この乾いた感覚は他の日本映画で観たことがない
そしてフランス映画のどんなフィルムノワールよりも美しいのだ

池部良がこれほどに凄い俳優であるのかにも刮目もした
そしてなにより都会的センスに溢れていること!
確かに物語はヤクザ映画だ
しかし東映のヤクザ映画のような田舎臭い野暮さはまるでないのだ
横浜らしい無国籍の風味が全篇を支配している
主人公は着流しも着るし、花札賭博にも出入りする、賭場には両肌抜いた刺青の男がいる
しかし主人公が着る洋服は、スーツにしろ、カジュアルなポロシャツ姿にしろ抜群の都会的センスだ
ファッション雑誌のアート的なモノクログラビアにも負けない垢抜けた姿なのだ
その彼がコケテッシュな魅力の加賀まりこが運転するコンパチーブルのスポーツカーに乗って未明の首都高を爆走するのだ

そして音楽!
モダンジャズのようなテーマがタイトルバックに流れる
しかしあとは殆ど音楽はない
ごく一部にのみ限定的に流れるのみだ
そしてクライマックスの殺人シーンのオペラ!

殺人シーンでこれほどの感動を受けたことはない
語り草になる日本映画屈指の名シーンだ

なるほどスコセッシが松竹からプリントを直接購入して数十回は観たというのは納得できる

日本のフィルムノワールの最高峰だ!

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あき240

1.0

2018年1月27日
iPhoneアプリから投稿

胃壊してるな、少し口がくせぇ。わたしこの間少しヤクを打ってみたの、でも大したことなかったわ。
中平康のようには演出できない監督と、三島のようには小説を書けない原作者のタッグ。あるいは、比べるべきは、同じ松竹の大島渚、吉田喜重。源氏鶏太や、今東光。彼らに比べてやばいくらい雰囲気だけの、篠田正浩と慎太郎。本広克行と君塚良三みたいな。通俗ってもしかして、こういうことかしら。
松竹ヌーベルバーグにこいつが潜んでたことが、実は日本映画をぶっ壊しちゃったんじゃないかしら、山田洋次ってこいつと似てるとすら思う。山田洋次の方がまだ食えるけど。

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ssspkk