ガス人間第一号のレビュー・感想・評価
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SF調の近松もの
「美女と液体人間」を観なおしたので変身3部作を観ることにしました、本作は第3弾。
打って変わって和ティストの悲恋物。ヒロインは凋落した日本舞踊の家元で和製ヘップバーンの異名を持つ八千草さん、宝塚出身だから踊りは出来なくはないのだろうが日本舞踊は難しかったのだろうか、面を付けての情念の創作舞踊。一方の男役はマッドサイエンティストの実験台にされ図らずも変身能力を身に着けたしがない独身男、犯罪を犯してまで入れあげるのが悲運の家元という構図。いきなり高級外車を買ったりするから目を付けられる、所詮住む世界が違うのだから無理筋の恋、結局は男の一途さにほだされての道行と近松物とSFを合体した奇妙な和ティストに仕上がった。東宝さんらしい外国市場も視野に入れて練られた企画なのだろう、前二作よりはまともなドラマになりました。
愛と哀しみのガス人間
変身人間シリーズ第3作。
DVDで2回目の鑑賞。
“特撮映画”だからと云って、敬遠するのはお止めいただきたい。確かにガス人間なんて荒唐無稽でございます。しかし、それだけの作品ではないのです…。
特撮映画史上類を見ない、濃密なメロドラマが展開され、ガス人間を表現する演出技術の高さも相まって、今なお出色の完成度を誇っている傑作なのだから。
ガス人間・水野と、零落した日本舞踊の家元・藤千代が織り成す、悲しい愛の物語がとてもエモーショナル。本多猪四郎監督ならではなタッチで、悲劇的な物語を淡々と描いているからこそ、その輪郭が残酷に浮かび上がって来ました。
絶望の淵にいた自分を救ってくれた藤千代への深い愛故に、犯罪に走ってしまった水野…。その想いを受け止めて、戸惑いながらも拒絶しようとしない藤千代…。身を焦がすような純愛に、心震えました。嗚呼、なんて切ないんだ!
手に入れた能力に溺れ、次第に追い詰められて滅亡していく姿に、“滅びの美学”を感じました。シリーズに共通した“異形の者が背負う悲哀”が、胸に刺さって来ました。
藤千代も、ガス人間事件を通して世間から批判される立場となり、云わば“異端者”となってしまいました。世間から疎外された者同士、惹かれ合って当然だったのかも…。
情愛は善悪を軽々と超越してしまうのか? ―しかしその行方には、物悲しい結末しか待っていないような気もして、めちゃくちゃ考えさせられました…。
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“特撮の神様”円谷英二特技監督が創意工夫の末に編み出した、ガス人間の描写が秀逸の極み! CGなんて便利なものが存在しない時代に、如何にしてガス人間を創造するか…。試行錯誤の末に誕生したのであろう特撮場面に息を呑みました。
肉体だけが気化し、服だけがだんだんと崩折れていって、袖口や裾、襟から蒸気を放出しながら萎んでいく様がとてもリアルで不気味でした。実際目の前で見たら、絶対気絶する(笑)
※鑑賞記録
2020/09/14:Amazonプライム・ビデオ(3回目)
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