ガス人間第一号

劇場公開日:

解説

「大空の野郎ども」の木村武の脚本を、「宇宙大戦争」の本多猪四郎が監督した空想怪奇映画。特技監督は円谷英二。撮影は「宇宙大戦争」の小泉一。

1960年製作/91分/日本
配給:東宝

ストーリー

吉祥寺の富田銀行を襲った銀行ギャングは、岡本警部補らの必死の追跡にもかかわらず、五日市街道のはずれの一軒家、日本舞踊の家元春日家あたりで姿をくらました。ギャングは、再び東海銀行を襲った。行員の死因は血管に何やら得体の知れぬ気体の詰った窒息死だった。岡本は、春日藤千代の貧窮からの立直りをあやしく思った。派手なキャデラックを乗り廻し始め、絶縁関係の芸人達にも金をバラまいているという。岡本の許婚者で東京新報の女記者京子は、藤千代の身辺をさぐり始めた。岡本らは、強奪された銀行の紙幣のナンバーと藤千代のバラまく札のナンバーが一致するのを発見、共犯容疑で逮捕した。ところが、京子の許に犯人から新宿の三協銀行を襲うという予告の電話があった。三協銀行とは反対の大森銀行を襲ったが、犯人はあっさり捕まった。この男前科五犯の西山の自供はあやしいものだった。そこへ新報の川崎が連れてきた橋本という図書館に勤める青年が、自ら犯人と名のり犯行の様子を見せようという。銀行に行った岡本らの自前で、橋本は一条の白いガスに変った。ガス人間だったのだ。彼は、人間が宇宙旅行を容易にできるための人体実験の失敗によっていつでもガス状になることのできるガス人間にされてしまったのだと言った。釈放された藤干代の発表会の準備は進んだ。田端警部は、この発表会に現われるガス人間を会場ごと爆破させようと図った。これを知ったガス人間は、田端のみか、彼の家族をも無残に殺してしまった。発表会の当日、ガス人間が正体を現わした。観客は退避した。舞台では、舞い終えた藤千代がガス人間に抱かれていた。と、藤千代のライターがガス人間の背で光ったと同時に、大爆発を起し会場は四散してしまった。第一号で最後のガス人間は、藤千代と鼓打ちの老人とともに消え去ったのであった。

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映画レビュー

4.0思ってた以上の佳作

2021年2月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

八千草薫さんが美しいです。
荒唐無稽なガス人間という設定と壮絶な情愛の交錯が面白い映画です。

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ブースカちゃん

3.0SF調の近松もの

2020年6月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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odeonza

5.0ホラーかと思ったら

2019年12月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

確かに怪奇的なストーリーではあるが、何より八千草薫の、日本人女性としての完璧な美しさ!
こんなにも美しい女優だったのですね。
ともかくも魅了されてしまった。

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すーさん2 号

5.0ウルトラQ の原形は本作で完成した

2019年12月23日
Androidアプリから投稿

本作の白眉は、なんと言っても、宮内國郎の音楽だろう
東宝マークがでていきなり例の音楽が鳴り渡る
そう、6年後にウルトラQ に使われる音楽だ
もちろんウルトラマンにも使われるそれだ
特撮ファンなら、もうその瞬間でノックアウト間違いなしだ
劇中にもウルトラQ で使われる事になる劇伴が数多く使用される
爆発状のギザギザのワイプアウト、ワイプインもウルトラQ に引き継がれていくスタイルだ

透明人間からはじまった怪人のシリーズは本作にてようやく完成をみたといえよう
独特の雰囲気、世界観が確立されたのだ
事実、怪人映画シリーズは本作をもって終了となる
怪人シリーズが復活するのは、今度はテレビを舞台をしてのことになるのだ
本作からウルトラQ に直接バトンが渡されたといえる
つまり、本作はウルトラQ の原形なのだ
その意味で本作は重要な作品といえる

脚本はいろいろ突っ込み所はあれど、液体人間のように雑な物語でなく、伝送人間のように感情移入しづらいものでもない
その反省がよくいきていて、興味が尽きることなく、ぐいぐいラストシーンまで引っ張ってくれるほど極めて面白い

それだけでなく八千草薫の美貌と、彼女の宝塚出身を活かした舞踊をもって、この物語を悲しくも美しい格調高いものに仕上げているのだ

八千草薫29歳、彼女の起用は見事につきる
台詞にあるまま、この世のものでないほどの美しさだ

その美しい彼女が舞い踊り、衣に隠れて顔を上げた時、般若の面をつけている
美の化身が鬼に化身するのだ
情の為に鬼に化す
それは藤千代の行動であり、ガス人間に変わる水野の姿でもあるのだ

左卜膳もまたいい味だった
黒澤明監督のどん底は本作の3年前1957年の作品だった
それを思い出すほど

主人である藤千代と運命を共にする事に一切の疑問を持たない滅びの美学がそこにある

藤千代もまた、水野と抱き合って恍惚の表情を浮かべており、そのまま二人で死に行く陶酔に浸ってそのまま着火しようとするのだが、その刹那、爺のことを思いだす
次の一瞬、彼女は爺が従容として運命を受け入れようとしている佇まいを感じとり、涙が一筋流れてそれで良いのだと言う表情にかわるのだ

この演技は特撮映画にはその後60年を経ても、これを超えるようなものは未だにない
それほどの名演技だった

というか、これが本作を日本映画オールタイムベストのリスト入りにまで押し上げている理由だろう

犯人が煙の如く消え去る訳が無かろうという常套句からここまでの映画に仕上げた腕前は見事につきる
ガス化シーンも液体人間からは格段の進歩を見せている

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あき240
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