かげろう絵図

劇場公開日:

解説

東京新聞に連載中の松本清張の同名小説を映画化したもので、徳川十三代将軍跡目相続をめぐる陰謀事件を中心にした時代推理劇。「お役者鮫」のコンビ衣笠貞之助と犬塚稔が脚色し、「情炎(1959)」のコンビ衣笠貞之助が監督し、渡辺公夫が撮影した。

1959年製作/84分/日本
原題または英題:Stop the old fox
劇場公開日:1959年9月27日

ストーリー

徳川十三代の家慶は将軍とは名ばかりで、実権は大御所家斉が握っていた。更に勢力をはっていたのは、家斉の愛妾お美代の方の養父中野石翁であった。一時家斉の寵を奪ったお多喜の方はお美代の方のさしがねで葬られた。その時お美代の方を助けたのがお末女中の登美であった。登美はお美代の方の庇護のもとに大奥に仕えることになった。登美は幕政の改革に大志を抱く旗本島田又左衛門の意を体して大奥に潜入すべく、お美代の方に近づいたのだ。石翁の鋭い目は登美を注目し始めた。登美には瓜二つの顔をした豊春という町娘の姉がいた。豊春は又左衛門の甥新之助とくらしていた。宿下りを許された登美には早くも尾行者があった。新之助の隣に住む町医者良庵が、ある夜、極秘の使いで呼ばれてみごもった女を診察した。女は不義を犯したお美代の方附きの中年寄菊川だった。大奥紊乱の洩れることをおそれた石翁は、菊川を殺させ、姿を変えさせて水死人よろしく隅田川に流した。良庵は往診の途上何者かに誘拐された。これを知った新之助は石翁邸に忍び込み、女の衣類を土に埋める女中たちの姿を目撃した。菊川が宿下りしたまま城に戻らないという登美の手紙をみて、新之助、又左衛門らは水死人が菊川であることを認めた。家斉が卒中で倒れた。かねてよりお美代の方の孫にあたる前田家の若君を将軍の世継ぎに立てるべく画策する石翁一味は、家斉を陥れ、家斉のお墨附きを得て喜んだ。祝盃をあげる石翁に新之助は菊川の着物をみせ、顎然とする石翁の悪事を痛烈に罵った。激怒した石翁は侍を向けたが、新之助は身軽に邸をぬけ出し、捕えられたのは新之助の身を案じて邸に忍び込んだ豊春だった。折柄、家斉危篤の報があった。救い出した豊春からこのことを聞いた新之助は邸にひき返し、今しも登城寸前の石翁の手からお墨附きの箱を奪った。警備の侍が新之助を囲んだ。江戸城は夜に入っても、総登城の行列が延々とつづいた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5嗚呼、美男美女

2023年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

たまに大映の時代劇を観るのもいいですね。21世紀の今から観ると、あたかもファンタジーのような感覚で楽しめます(笑)。今作の市川雷蔵と山本富士子は、端で見ていて妬けるほどのおしどり夫婦役、何とも粋です。しかも、山本富士子は美人姉妹の一人二役!声のトーンを変えて、しっかり姉妹を演じられていました。市川雷蔵は、市川崑監督「炎上」(58)での好演が高く評価されたばかり。そして山本富士子は、大映入社から6年、大ヒット作にも恵まれ看板女優になっている頃、当時の映画ファンがどんな風だったか想像してしまいます。原作が松本清張ということで、大奥がミステリー仕立てに描かれ、ハラハラしました。特に音楽が怖かったです(汗;)。エンディングには唖然としましたが、原作完結前の映画化だったようで、続編も予定されていたとのこと。映画全盛期だったかのかなと当時が偲ばれました。

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赤ヒゲ

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