顔(2000)のレビュー・感想・評価
全15件を表示
ほこりが、はらわれていく
中年になっても引きこもりがちで、母と暮らしていた正子。しかし母が急死し、葬儀の夜に仲が悪かった妹を絞殺してしまう。そのまま家を出、逃亡生活をすることに。ラブホテルやスナックと転々していくうちに。
主人公のモデルは福田和子とのこと。その逃亡生活に比べると、スケールはこじんまりとしています。しかし「ほこりをかぶってた」正子が、外の世界で人の世話になり、人を好きになる。図太く生き生きしていく姿は、曲がりなりにも清々しいです。
藤山直美が良いです。もっと映画に出てくれないかな。
生きようともがく人間は面白い
Twitterで「見ておくべき日本映画」として挙げられており鑑賞
監督の名前は知ってはいたが石井監督の爆裂都市の美術で映画界入りということで鑑賞後に少し納得
何かをきっかけに変化し、生きる上での成長は人間讃歌とも捉えられた
キャストが素晴らしく岸部一徳や佐藤浩一らは"社会的に"素晴らしい人間ではないかもしれないが非常に人間的で温かみがあった
人との関わりに知りもしない過去は必要ない
今どんな人間か、だけで充分だ
そういった意味でもこれは喜劇だった
何よりも私が生まれる少し前の映画だが所々懐かしさを感じる平成初期の風景は良いものだった
コンプレックスの塊の女性の魂の解放の物語
顔
もちろん主人公の正子の不美人顔のことです
そのために彼女は劣等感の塊となってしまっています
本作はミステリーものでも、犯罪ものでも、逃亡劇でもありません
コンプレックスの塊の女性の魂の解放の物語です
だからラストシーンに私達観客は彼女の味方になって応援すらしているのです
島の祭りのお囃子の唄の歌詞が、正子の物語とリンクしてくるのは出色の演出でした
藤山直美は、ご存知のとおりあの喜劇王の藤山寛美の娘
顔がそっくりです
彼女もまた子供の頃からの喜劇人としての舞台のキャリアがメインなのでどうしても笑いのシーンは舞台ぽさを感じてしまいます
それでも強烈に映画の中に私達観客を引き込み一気にラストシーンまで連れて行く演技力は凄い力です
スナックの女性となって髪をセットし、綺麗なドレスをまとい、化粧もして、弾けた様子は本当にそれなりに魅力的です
大楠道代の律子ママも鶏ガラのような細い体、ヘアスタイル、あの衣装、立ち振る舞い、言動
ものすごい実在感があります
二人とも全国のどこのスナックでもいそうな迫真のリアリティです
あのお店の楽しそうなシーンが輝いているからこそ、前半の鬱屈からの魂の解放と、終盤の逃走もまた、その解放を失いたくないという説得力を増しているのだと思います
素晴らしい演出力です
内容はシリアスながら、重過ぎなく展開していき、犯人である主人公の成...
内容はシリアスながら、重過ぎなく展開していき、犯人である主人公の成長物語として良くできていたと思った。監督のうまさということなのか。
友達て..おらなあかんの?
実在の人物の話とは思えないくらい濃い。運の良さと逞しさ。この物語に対して、こういう作風というギャップもあり、笑っていんだかなんだかな感じ。
出会う人たちはみんな優しく、このへんは時代なのかな、現代ならこうはいかんだろ、っていうね。
「許してもらわんでもええよ。」
「うち間違った人好きです。」
自分も他人も否定しない生きかた。なんか凄いかも。
おもしろかった
最初の30分で引き込まれました。
主演女優の演技がすごい。
冒頭から一時間くらいが一番面白かったです
ただ、演技のせいでセリフがボソボソとつぶやくようなシーンが多くて、
リスニングができないシーンがたくさんありました
常連客に襲われたシーンとか、客の男になんて言われたのか
わからなかった
スナックのママの弟がアパートに来た時とかも、
わかりにくくていくら聞いてもわからない…
ファンタジー映画をみているようで、おもしろかったです
引きこもりの逃避行
引きこもりの女が、妹殺害後の逃亡生活から、皮肉にも人生を取り戻していくようなストーリー。
家族の死が彼女の殻を破るきっかけになります。
殺人犯である主人公だけでなく、彼女が逃避行中に出会う様々な人々から、誰しもが抱える悲しみや人生の負の側面が浮かび上がります。この映画が面白いのは、そこに全く悲壮感がないこと。何だか引き込まれて、思わず笑ってしまう場面が多いです。
それにしても嘔吐シーンが多いです。どんな意味があるのでしょうか…。
みんな若い!そら15年以上前だもの…
会員500円での旧作企画at京都シネマにて。
全然知らない作品でしたが、この企画のセレクトを信じて観てきました。
出演者が豪華かつ、2015年に見てますから当然ですが、みんな若いよ!
國村さんも若いし、佐藤浩市も若いし、トヨエツ、若いしかっこよすぎ…
大楠道代も内田春菊も若い!そして今はなき中村勘三郎…なんつー役やってんのよと思いましたが。
牧瀬里穂の長〜い眉尻に時代を感じます。
そして藤山直美が哀しい中年女を熱のこもった演技で魅せていて迫力がありました。
1995年が舞台なんですね。
今で言う引きこもりでしょうか。正子は実家のクリーニング屋の二階でかけつぎや洋服のリフォームをして、自分だけの世界で生きています。天敵はホステスをしている妹。毛嫌いされているので毛嫌いしているといった姉妹です。ちゃっかりしていて愛される能力に長けた妹と、鈍くさくて内弁慶で冴えない姉。あー、姉の気持ちがわかるわたしです。妹の意地悪はタチが悪い類だし、許せない。
お母さんが急死して、姉は通夜にも出ず、部屋に引きこもり、妹はそれをなじる。まぁわからんでもないけど、妹の玄関先での不幸に酔ったような抱擁も相当気味が悪い。そのくせ諸悪の根源は普通にできない姉のせいとなじりまくり。ひどい。
長年の憎しみが爆発して正子は妹を殺してしまいます。
で、香典盗んで、正子は逃げます。そして各所を漂う、という話です。
サスペンスというより悲喜劇という趣ですね。
哀しい女が逃亡によって少し輝く話です。
正子が母の棺桶の前で、アルバムを見ます。写真についた母のコメントは、正子は似合わないという内容。母親のこの手の呪いが、正子をどれだけ傷つけてきただろうと思います。
美しいと言わずとも、醜いと自覚させる必要がどこにあるかと思います。
逃亡の旅で、中村勘三郎演ずる酔っ払いに犯され(いや応じ?)、ラブホテルで住み込み、自転車に乗れるようになり、逃げて九州へ行き、佐藤浩市に恋をして、自殺を図るもできず律子に拾われ、ホステスになり、國村さんに犯され(いや応じ?)、トヨエツが死んだのでまた逃げ…夢だった泳ぎも逃亡のドサクサに叶えてしまうというラストです。
律子との別れの電話のシーンではポロリと目から水が落ちました。
よくわからないところもありました。
犯されそうになって、体が熱いといって結局まぐわうシーン×2
あれでその気になる気がしれない。
フェリーでの血をすくっていたあれは流産?
などなど、ありますが、役者の熱量が、それを凌駕してグイグイこちらをひっぱるという映画でした。
正子は逃げられたのでしょうかね。
なんかちがう。
公開当時に、15年間逃亡生活を送ったあの強盗殺人犯を元にしている実話だって聞いてたもんで、昨日観るまでの15年間ずーっと重くて怖い内容を想像していました。途中から作品間違えたかなとも。
なんかちがう。
全体的に、コメディの香りが漂っている。
ていうか、最初あんな苛々するキャラだったのに、
藤山直美かっこいい。
なんかよくわかんないけど、目覚めちゃった感じでかっこいい。
逃げる時すっげー素早い。
もうニッチェの人にしか見えない。
たまたま手にとった。
サスペンスのけっこう恐い系かと思いきや、主人公には何度か笑わされた(笑)
妹を殺してしまい逃亡するんだけど、初めてみる世界や経験や出会いによって変わっていく。
観ているこっちも幸せになってほしいと思ってしまう。
しかし藤山直美さんサイコーです☆
「とっとけ!」と「さらばじゃ!」思わず繰り返して観ちゃった(笑)
全15件を表示