劇場公開日 1998年10月31日

「少年犯罪の時代を感じる内容」踊る大捜査線 THE MOVIE 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0少年犯罪の時代を感じる内容

2024年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

テレビドラマを見直して、映画一作目も改めて復習してみた。テレビドラマは、本当に地味な話が多くて、そういう地味な事件も一生懸命捜査して、地味な業務もがんばるという点が良かった。映画になると、やっぱり色気を出して派手さが出てくるようになった。しかし、元々の『踊る』の面白さを失うわけにはいかないので、派手さと地味さのバランスに苦慮しているのが、この映画一作目だと思う。
冒頭の副総監を接待に連れていくくだりは、シリーズのらしさを強調している。だが、その後に続く物語は、珍しく猟奇殺人犯が出てきて、『羊たちの沈黙』のレクターみたいに縛られたりする。キャラクターのドラマとしては充分面白いのだが、持ち味だった地に足の着いたリアリティをやや損なうような描写が気になる。
少年たちの無軌道な犯罪が描かれるのは、少年犯罪が世間をにぎわせていた90年代末の世相を反映してのものだろう。そんな時代だったなと少し懐かしく思った。

杉本穂高