男の怒りをぶちまけろ

劇場公開日:

解説

竹森竜馬・中西隆三の共同脚本を、「打倒(ノック・ダウン)」の松尾昭典が監督したアクション・ドラマ。撮影は「素っ飛び小僧」の岩佐一泉。

1960年製作/80分/日本
配給:日活
劇場公開日:1960年6月18日

ストーリー

ある夜、羽田発の大型旅客機が伊豆半島上空で行万不明になった。その日の早朝、毎朝新聞の三沢十郎は国道の自動車事故を取材に行った。帰途、彼は東京行きのトラックに便乗した。途中、怪漢が車を止め、十郎は殴打され意識を失った。都内に入り、車は運転手と十郎を乗せたまま、海に突入した……。気がついた時、十郎はバー“鈴”にいた。マダムの鈴江は彼を助けたのが村西という男だといった。警視庁もデスクの岩井も十郎の訴えにとりあわなかった。トラック事故は酔払い運転とかたづけられ、運転手の妹章子も、十郎の話を信じなかった。彼は一人で調査することにした。事件屋と称する村西は、十郎に手を引けと脅迫した。二人は激しい格闘の末、何となく意気投合した。行万不明の旅客機は残骸となって発見され、乗客二十五名は全員死亡または行方不明。が、うち行方不明の三名のうち二名は偽名で、一名は事故現場からかなり離れたところで発見された。警察当局は捜査に乗りだした。十郎はキャバレー“トレモロ”をつきとめた。支配人の稲上は死んだはずの十郎が現われて驚いた。旅客機墜落事件は彼らの仕業だった。ボスの筧は外国人陳と幹部密田が時価二億円のダイヤを空路神戸に運ぶのを探知した。子分の有本と橋場がダイヤを奪取した。稲上は十郎を消そうとし、村西が救った。十郎は章子を踊子に仕立て、“トレモロ”に潜入させた。村西は陳に密告し、報酬を受け取った。“トレモロ”のマダム礼子と章子を陳一味が誘拐した。礼子は筧の情婦で、陳はダイヤと交換しろといった。筧は陳の根城、日香交易を襲った。そのスキに十郎と村西は礼子と章子を救った。村西の狙いはダイヤだった。十郎とともに、礼子と章子を救出したのも、礼子をオトリに筧からダイヤを奪おうという魂胆からだったのだ。彼は礼子と“トレモロ”に行き、筧の罠に落ちた。二人の命が危い。危機一髪、十郎と警官隊が筧一味を逮捕にかけつけた。筧は村西と十郎に追われた。追いつめられた筧はダイヤと共に屋上から落ちた。夜が明けた。十郎と章子はいつまでも日の出をみつめていた。

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映画レビュー

4.01960年6月18日という公開日に注目です

2020年6月28日
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1960年6月18日公開
拳銃無頼帖電光石火の男公開の僅か1ヵ月後です
驚異的なペースでの出演というか当事のプログラムピクチャーの量産体制の凄さが伺えます
この後8月6日には、拳銃無頼帖不敵に笑う男が公開されるんですから

この1960年6月18日という公開日に注目です
60年安保が自然成立する前日です
この日も、国会議事堂前には数万のデモ隊が取り巻き、女子大生が機動隊との騒乱状況の中で圧死したのは3日前の15日のこと
このように世の中が騒然として最高潮に達していたその日だったのです

それもはるか昔の話、つわものどもが夢の跡
今では日米安保が在って当たり前です
それが無ければ国の独立すら危険だったでしょう
却って侵略を誘発して戦争になっていたはずです
あの騒乱は一体なんだったのでしょう?
このお気楽な映画がその日公開されていたというのは、ごく普通の一般国民の平衡感覚の方がはるかに優れていたという証拠だったのだと思います

今回は赤木圭一郎は新聞記者の役です
ヤクザものばかりではと正義感に燃える真面目な青年の役もさせないとという狙いかと思われます
その割に、腕っ節が滅法強いのはよいとしても、拳銃の扱いがむやみやたらにうまかったり、ダイスの壺で銃弾を数発全部立たせてみせる腕前があったりと、しかしてその正体は?!と勘ぐってしまいますが、何もないです
やっぱりちょいワルの役の方がはまるようです
本人の歌う主題歌がラストに流れますが、少しましににはなってますがまあ下手なのは変わらずです
石原裕次郎、小林旭のようには歌で盛り上げられないのはハンデが大きいです

今回のお相手もやっぱり浅丘ルリ子
日活には他にも年頃の美しい女優も沢山いるようで、ムードアクション映画に違和感のないのは彼女しかいないので、正に八面六臂の出演です

ほんのりいい感じぐらいで、ラストシーンでようやく恋仲になったかなという程度でラブロマンスはほぼなしです
相性はあまりよくないようなのでこれくらいが良いのかも知れません

彼女はダンサーという設定で、赤木圭一郎の頼みで怪しいキャバレーに仲間と一緒にショーステージに立つシーンがあります
これが滅法美しく、白のショードレスがとても似合っております
踊りもまあ様になっておりこれだけで全て許せます

コンビ役と悪役の布陣はというと、
宍戸錠を出すとなんでも一緒になってしまうので本作には出ません
その代わり二谷英明とコンビを組んで活躍します
二谷英明は普通エリート風の役が多いですが、本作はチンピラぽい事件屋の役で登場するのが目新しいところ
赤木圭一郎の映画には常連俳優の藤村有弘、金子信雄はもちろん内田良平、西村晃も出演しておりそれぞれ見せ場もありこれも楽しいです

お話も結構面白く楽しめます
なにしろこの当時でハイジャックのシーンから始まります
当時は保安検査も無かったそうで、操縦室も無施錠です
しかも墜落させるのだから極悪非道

舞台は主に新宿です
浅丘ルリ子がキャバレーのマダムと一緒に拉致されるのはどうやら歌舞伎町の新宿コマ劇場の辺りのようです
ちらりと写るオデオンゲームセンターは第二東亜ビルの辺りにあったそうです
悪者達が車を乗り換えるのは、伊勢丹の立体駐車場の屋上です
当時から在ったんですねえ!
ラストシーンの夜明けの大通りは都電の線路が見えたり、今はない名前の銀行の支店の看板があるので新宿通りのようです

キャバレーのマダムの住まいは中央アパートという名前の鉄筋コンクリートのマンション
現代の目からみると何の変哲もないごく普通の質素なマンションですが、なにしろ1960年、昭和35年の当時です
庶民の夢の暮らしだっのでしょう
日活映画にはよくこういうアパートが憧れの住まいのシンボルとして登場します
21世紀の現代ならさしずめ都心のタワーマンションという記号なのだと思います

こういうところも楽しめます

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