劇場公開日 1960年6月18日

男の怒りをぶちまけろのレビュー・感想・評価

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4.01960年6月18日という公開日に注目です

2020年6月28日
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1960年6月18日公開
拳銃無頼帖電光石火の男公開の僅か1ヵ月後です
驚異的なペースでの出演というか当事のプログラムピクチャーの量産体制の凄さが伺えます
この後8月6日には、拳銃無頼帖不敵に笑う男が公開されるんですから

この1960年6月18日という公開日に注目です
60年安保が自然成立する前日です
この日も、国会議事堂前には数万のデモ隊が取り巻き、女子大生が機動隊との騒乱状況の中で圧死したのは3日前の15日のこと
このように世の中が騒然として最高潮に達していたその日だったのです

それもはるか昔の話、つわものどもが夢の跡
今では日米安保が在って当たり前です
それが無ければ国の独立すら危険だったでしょう
却って侵略を誘発して戦争になっていたはずです
あの騒乱は一体なんだったのでしょう?
このお気楽な映画がその日公開されていたというのは、ごく普通の一般国民の平衡感覚の方がはるかに優れていたという証拠だったのだと思います

今回は赤木圭一郎は新聞記者の役です
ヤクザものばかりではと正義感に燃える真面目な青年の役もさせないとという狙いかと思われます
その割に、腕っ節が滅法強いのはよいとしても、拳銃の扱いがむやみやたらにうまかったり、ダイスの壺で銃弾を数発全部立たせてみせる腕前があったりと、しかしてその正体は?!と勘ぐってしまいますが、何もないです
やっぱりちょいワルの役の方がはまるようです
本人の歌う主題歌がラストに流れますが、少しましににはなってますがまあ下手なのは変わらずです
石原裕次郎、小林旭のようには歌で盛り上げられないのはハンデが大きいです

今回のお相手もやっぱり浅丘ルリ子
日活には他にも年頃の美しい女優も沢山いるようで、ムードアクション映画に違和感のないのは彼女しかいないので、正に八面六臂の出演です

ほんのりいい感じぐらいで、ラストシーンでようやく恋仲になったかなという程度でラブロマンスはほぼなしです
相性はあまりよくないようなのでこれくらいが良いのかも知れません

彼女はダンサーという設定で、赤木圭一郎の頼みで怪しいキャバレーに仲間と一緒にショーステージに立つシーンがあります
これが滅法美しく、白のショードレスがとても似合っております
踊りもまあ様になっておりこれだけで全て許せます

コンビ役と悪役の布陣はというと、
宍戸錠を出すとなんでも一緒になってしまうので本作には出ません
その代わり二谷英明とコンビを組んで活躍します
二谷英明は普通エリート風の役が多いですが、本作はチンピラぽい事件屋の役で登場するのが目新しいところ
赤木圭一郎の映画には常連俳優の藤村有弘、金子信雄はもちろん内田良平、西村晃も出演しておりそれぞれ見せ場もありこれも楽しいです

お話も結構面白く楽しめます
なにしろこの当時でハイジャックのシーンから始まります
当時は保安検査も無かったそうで、操縦室も無施錠です
しかも墜落させるのだから極悪非道

舞台は主に新宿です
浅丘ルリ子がキャバレーのマダムと一緒に拉致されるのはどうやら歌舞伎町の新宿コマ劇場の辺りのようです
ちらりと写るオデオンゲームセンターは第二東亜ビルの辺りにあったそうです
悪者達が車を乗り換えるのは、伊勢丹の立体駐車場の屋上です
当時から在ったんですねえ!
ラストシーンの夜明けの大通りは都電の線路が見えたり、今はない名前の銀行の支店の看板があるので新宿通りのようです

キャバレーのマダムの住まいは中央アパートという名前の鉄筋コンクリートのマンション
現代の目からみると何の変哲もないごく普通の質素なマンションですが、なにしろ1960年、昭和35年の当時です
庶民の夢の暮らしだっのでしょう
日活映画にはよくこういうアパートが憧れの住まいのシンボルとして登場します
21世紀の現代ならさしずめ都心のタワーマンションという記号なのだと思います

こういうところも楽しめます

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あき240