大江山酒天童子

劇場公開日:1960年4月27日

解説

川口松太郎の原作を、「銭形平次捕物控 美人蜘蛛」の八尋不二が脚色し、「浮かれ三度笠」の田中徳三が監督した、日本三大伝統の一つ“大江山の鬼退治”の物語。撮影は「初春狸御殿」の今井ひろし。

1960年製作/114分/日本
配給:大映
劇場公開日:1960年4月27日

あらすじ

平安の末期--栄華を誇る時の権力者関白太政大臣藤原道長の恐れるものはただ一つ、寵愛する渚の前を悩ます妖怪の襲来だった。道長は都の治安を司る源氏の大将頼光に渚を払い下げ、妖怪から免れた。頼光には渡辺鋼、坂田金時、碓井貞光、卜部季武の四天王に加えて平井保昌、近習の菊王丸がいた。綱の妹こつまと頼光は恋仲だった。渚が頼光の館に来た夜、妖怪茨木童子が現れ、渚は頼光に救われた。その夜、野盗袴垂保輔の一党が池田中納言の館を襲い桂姫を連れ去った。茨木童子に襲われた綱はその片腕を切り取り妖魔の魂を監視したが、伯母に化けた茨木に奪い返された。怒った道長は頼光に野盗、妖怪の討伐を命じ、頼光は首領大江山酒天童子討伐を決意した。今まで大江山に鬼退治に出かけて無事帰ったものはない。兄の失敗を償うこつまが金時と二人山に入った。早速襲ったのは妖術使いの鬼童丸、金時も洞窟に閉じ込めると、こつまを酒天童子の館に導いた。都をしのぐ壮麗さに増してこつまを驚かせたのは、白面の貴公子酒天童子の姿である。頼光に知らせるため金時は山を下りた。淋しく待つ頼光に渚は意外な身の上話をした。大江山酒天童子は渚の夫、妻を手籠めにし、その上館に仕えさせた道長の非道を怒り、野盗の首領になったのである。こつまは戻らず野盗の悪業はつのるばかり。ついに大江山鬼賊征伐の勅令が頼光に下った。翌日、出陣を前にして夫と頼光の戦いを悲しみ渚は自害した。頼光の軍勢が攻め入るのを見下ろす酒天童子に、侍女千春がこつまの危険を知らせた。酒天童子は鬼童丸の手からこつまを救ったが本拠では仲間割れや反目がつづき、袴垂も鬼童丸も倒された。山伏姿に扮した頼光勢の正体を見破ったのは茨木童子、しかし童子も野盗の矢に当り、酒天童子の胸の中で息絶えた。一騎討をのぞむ頼光と酒天童子の間にこつまが分け入り、頼光に童子の潔白を訴えた。頼光から渚が生涯童子を愛して果てたことを聞いた酒天童子は、落日の平原を一人下って行った。

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映画レビュー

3.5【酒呑童子伝説を、本来の関白・藤原道長の圧政に対抗する男達として正統的に描いた時代劇。】

2025年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

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幸せ

■平安末期。
 源頼光は、時の関白・藤原道長が寵愛する渚の前を下賜された。実は彼女は妖怪に狙われていて、頼光のもとに来てからも妖怪の襲来を受ける。
 頼光は部下である四天王と共に、大江山を根城にする妖怪の首領・酒天童子を討つ決意をする。

◆感想

・一般的には、酒呑童子伝説は民を苦しめる百鬼夜行の頭として酒呑童子を描くパターンが(一般受けをするので)多いが、本来は関白・藤原道長の圧政に対抗する男達、いわゆる日本の梁山泊という位置づけではなかったかと思うのである。

・今作は、そこがキチンと描かれており、藤原道長が寵愛する渚の前は実は酒天童子の愛妻であり、道長に美しさ故に無理やり連れていかれていたとみれば、今作の観方も変わって来るであろう。

・故に、最後半、源頼光と対峙した酒呑童子が”これからは、源の世の中になる。故に酒呑童子は解散じゃ!”と言って、亡き妻を偲びつつ一人馬を駆って、何処かに消えるラストシーンが、哀切乍らナカナカなのである。

・劇中に現れる大蜘蛛や、牛の化け物や、妖怪茨木童子たちも、実際には圧政に苦しんだモノ達と観れば、コレマタも観方が変わるであろう。

<今作は、酒呑童子伝説を、本来の関白・藤原道長の圧政に対抗する男達として正統的に描いた時代劇なのである。>

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NOBU

3.5新解釈・酒呑童子にして元祖・鬼滅の刃!?

2021年2月26日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

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