大いなる旅路

劇場公開日:

解説

国鉄機関士とその一家の三十年にわたる生活の歴史を描いたもので、「花嫁さんは世界一」の新藤兼人のオリジナル・シナリオを、「静かなる兇弾」の関川秀雄が監督した。撮影は「七つの弾丸」の仲沢半次郎。

1960年製作/95分/日本
配給:東映
劇場公開日:1960年3月8日

ストーリー

大正末期の北国--吹雪をついて機関車が進む。轟音を発し、なだれを浴びた機関車は断崖に転落した。橋本機関手の助手をつとめていた岩見浩造にとって、この事件は、彼の一生を決定した。列車の安全運転に生涯をかけようというのだ。浩造には佐久間太吉という親友がいた。二人は東鉄教習所の試験を受けた。失敗した浩造は、黙々と山間の機関士を務めた。その間、石巻の漁師の娘ゆき子と結婚、長男忠夫が出生した。世の中は満洲事変、日支事変、やがて大東亜戦争へと移り変った--家族は次男静夫、三男孝夫、長女咲子と増えた。父と同じ盛岡機関区に勤務する忠夫は出征した。静夫は東鉄教習所に見事パス。父の運転する列車で東京へ向った。孝夫は予科練に入隊した。その頃、忠夫の戦死公報が入った。咲子は親の反対を押切って、徴用工田辺と家を出た。浩造とゆき子には心痛が続いた。静夫は太吉の娘芳江と結ばれ、久しぶりに明るい表情が浩造夫婦に戻った。昭和三十年--浩造の機関士生活も三十年を教え、髪も雪のように白くなった。田辺に捨てられた咲子も名古屋の製材所で働く神崎との新生活に再出発した。東京に出たまま行方がわからなかった孝夫が戻って来た。彼はみるかげもなくやつれ、数日後、短い一生を終った。新橋駅長になって帰郷した太吉は、浩造と想い出の岩手山を訪れた。鉄道記念日の日浩造は国鉄から功績章を受けた。晴れの授賞の日に老妻ゆき子と二人で盛岡を出発した。功績章を胸につけた浩造は、ゆき子と静夫の運転する“こだま”に乗って名古屋に向った。そこには元気な咲子が待っていた。鉄道生活三十年--雪と汗と油にまみれた。喜びも悲しみも機関手一筋に生き、鉄路を愛してきた浩造を、故郷の山河は暖く迎えた。そして明日への決意を新たにした。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0大きく移り変わる怒涛の時代を描いた作品

2023年8月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

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ぽん

3.0昭和国鉄物語

2019年11月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

主人公(三國連太郎)は盛岡で蒸気機関車の釜焚きをしていた。
昇進試験に落ちしょんぼりしていたが、ひょんなことから知り合った女性(風見章子)と結婚、三男一女に恵まれる。
機関士となった主人公だったが、長男は戦死、次男(高倉健)は国鉄に、三男(中村嘉葎雄)はやんちゃ坊主で行方不明、長女は家出、男に騙される。
戦後のスト騒ぎを経て主人公は機関士として鉄道マンの人生を終える。
昭和の風景が映し出され、所々、記憶のかけらが反応する。

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いやよセブン

4.5機関士(罐焚き)一代記

2019年11月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

鉄道マンの罐焚きから電車への時代への変遷、一代記を見事に描ききっている。戦争と終戦後の労働運動まで細かい描写も。
助士時代の三國連太郎。罐焚きなんぞやりたくねぇ〜と言っていたのが、転覆事故後に生まれ変わったようにプライド高い機関士になるところが胸熱。

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さすまー

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