ある殺し屋の鍵

劇場公開日:

解説

藤原審爾の原作『消される男』(弥生書房刊)を、「痴人の愛(1967)」の増村保造が構成、「処女が見た」の小滝光郎が脚色した。監督は「若親分兇状旅」の森一生で、「ある殺し屋」の続編。撮影は「座頭市牢破り」の宮川一夫。

1967年製作/79分/日本
原題または英題:A Killer's Key
配給:大映
劇場公開日:1967年12月2日

ストーリー

表向きは日本舞踊の師匠である新田は、実は凄腕の殺し屋だった。彼の素姓は、彼と親しい芸者秀子も知らなかった。ある日新田は、石野組幹部荒木から、政財界の秘密メモを握る脱税王朝倉を消してくれと頼まれた。二千万の報酬で仕事を引受けた新田は綿密な調査の末、朝倉の泊るホテルのプールを仕事場と決めた。その日、何も知らずに朝倉と遊んでいた秀子に邪魔されはしたが、新田は針一本の武器で朝倉を殺した。証拠も、目撃者もない、瞬時のことだった。だが、石野組は新田を裏切り、彼を消そうとした。新田は危うくその手を逃れ、報酬だけは自分の手に入れると、再び自分を殺そうとした石野と荒木を始末した。このことから、新田は石野の背後に政界の大物が黒幕として存在することを知った。仕事の報酬である札束の入ったケースを貸しロッカーに預け、自分を利用して殺そうとした者の正体を探るために政治記者に化けた新田は、朝倉の弁護士菊野の口から、この件に遠藤建設が絡んでいることをつきとめた。その遠藤が秀子のレジデンスに通っていることを知って、新田は遠藤を締めあげ、黒幕の名を聞き出そうとしたが、遠藤は刃物を持って新田を襲い、逆に自分の脇腹を刺して死んでしまった。しかし、その直後の遠藤の秘書の電話から、黒幕が、間もなく欧州へ飛ぶ政財界の大立物北城と分った。数時間後、新田はカメラマン姿で空港に姿を現わした。送迎の混雑の中で、巧みに北城に近づいた新田は一瞬の間に北城を刺していた。事を終えて、貸しロッカーの所へ現われた新田は、そこに、爆薬を仕掛けたという情報で調査している数人の警官を見た。やがて、新田のロッカーから、札束のつまったケースが出された時、新田はそれに何の未練も残さず、見物人の嘆声をよそに人波の中に消えていった。

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映画レビュー

3.0軽いのか重いのか・・どっちが本当なんだ 市川雷蔵

2024年2月17日
PCから投稿

俳優たちが良いね。佐藤友美も中谷一郎も 西村崑 さんも、とってもいい味出して映画にぴったりはまっていた。特に 中谷一郎は主役を食わないように うまく 中途半端な能力の人間を演じていた。素晴らしい。 そして何と言っても 市川雷蔵 だ。 この主人公のモチベーションが何なのかわからないとか、どこに感情移入したらわからないとか・・そういうものを超越してしまっている。いい俳優というのはほぼ無条件に観客を引きつけることができるんだな。女狐風呂 みたいに軽い役もできればこういった渋い重い役もできるとてもいい役者だ。 そしてこの映画の一番面白いところは ラストシーン。 全体に重い役をやっといて 最後だけパッと軽い雰囲気になって・・・洒落た エンディングだった・
脚本はどっちかっていうと 中途半端で消化不良 気味だった。 これは原作の藤原審爾の手癖みたいなもんだ。彼の作品は映画にしやすい けど 重みが出ない、短い、クライマックスが物足りないという特徴がある。 脚本家がもっと頑張らないとダメだった。ただしテンポが良いので飽きる部分はなかった。
カメラは宮川一夫。 だが、らしさは全く出ていない。カラーになると どうしても良い 色を出すのに金がかかるんだな。それで 日本映画は負けてしまった・・。 残念なことだ。

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タンバラライ

4.5市川雷蔵のニヒルさは前作より本作の方が楽しめるだろう

2020年3月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

前作のある殺し屋の続編
しかし直接つながっている訳ではない
市川雷蔵の殺し屋は前作では小料理屋の大将
本作では日本舞踊のお師匠さん
前作が脇役の二人に食われた感があったが、本作では主人公に焦点が絞られてぶれない
必殺シリーズの原形になっているのがはっきりわかる
市川雷蔵のニヒルさは前作より本作の方が楽しめるだろう
ただ、前作のような圧倒的なものは無い

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あき240

5.0雷蔵さんが渋い

2012年6月22日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:TV地上波

知的

市川雷蔵映画祭で、見逃していた作品。黄門様や隠密支配の名優ふたりも然ることながら、舞いを踊る姿と命を奪う姿の佇まいが端正。

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あんみつ