赤い波止場

劇場公開日:

解説

神戸を舞台に、裕次郎がピストルの名手に扮して活躍するアクション・ドラマ。「明日を賭ける男」の池田一朗と舛田利雄の脚本を、「羽田発7時50分」の舛田利雄が監督、「星は何でも知っている」の姫田真佐久が撮影した。「風速40米」の石原裕次郎・北原三枝のコンビに、「明日を賭ける男」の中原早苗・岡田眞澄・大坂志郎、その他轟夕起子・二本柳寛・二谷英明・新人清水マリ子らが出演する。

1958年製作/99分/日本
原題:Left Hand of Jiro
配給:日活
劇場公開日:1958年9月23日

ストーリー

神戸の桟橋で、杉田は落ちてくるクレーンの下敷きとなって死んだ。この麻薬売買のいざこざから過失と見せかけた殺人の現場に、偶然いあわせたのは通称左射ちの二郎こと富永二郎だった。彼は東京で五人のヤクザをバラして神戸に流れついたのだ。今は松山組にワラジを脱いでいる。キャバレーの用心棒をしているタア坊は、二郎を兄貴と呼んで慕っていた。死んだ杉田の妹・圭子は、東京の大学をやめて、神戸へ帰って来た。二郎は圭子にひと目惚れした。彼の動静に絶えず眼を向けているのは、野呂刑事である。だがある晴れた日の桟橋には、二郎とタア坊と野呂の三人が並んで散歩している奇妙な風景が見られた。ところで、タア坊は今までの部屋を松山組の客人にとられて宿無しになった。その男は、土田という殺し屋だった。彼をさし向けたのは、神戸にやって来た東京藤田組の代貸・勝又である。勝又は、藤田組の親分が世を去ると、二郎が東京にいるのを幸い、自分が親分におさまろうと考えたのだ。それには、目の上の瘤の二郎をバラす必要がある。折も折、タア坊が土田に殺された。恋人のミッチンが土田に脅かされたので、果し合いを申しこみ、土田の拳銃に負けたのだ。二郎は土田がミッチンを閉じこめて暴行を働いている現場をつきとめ、土田の右手を狙って拳銃をたたき落した。ミッチンはその拳銃で土田のドテッ腹に撃ちこんだ。土田を失って逆上した勝又の挑戦を受け、勝又を殴り殺した二郎は、松山組の親分と幹部をも射殺、香港へ出航する手筈を整えた。が、二郎が圭子に惹かれていることを知る野呂は、圭子を囮にして、二郎をおびき寄せる計画をめぐらした。インチキ新聞を売収「港の暴挙、松山組杉田屋を襲う。圭子さん重傷、山手病院に収容」という記事を書かせてバラ撒かせたのだ。そして圭子を病院に軟禁、警戒の陣を布いた。二郎を乗せた車は、神戸港に向っていたが方向転換、病院の方角に走った。罠とは知りながらも、二郎は圭子の元気な顔をたしかめたかったのだ。圭子を窓ごしに見た二郎は、野呂に素直に手を差し出した。

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映画レビュー

4.0石原裕次郎と北原三枝の痛快ドラマ

2022年8月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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M.Joe

5.0赤いシリーズの元祖?

2020年8月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

タイトルの波止場は、全編神戸ロケだからです
ではなんで赤いの?
劇中で主人公をレッドの二郎と一度だけ異名で呼んだので、そこからきたらしいです

左撃ちの拳銃の名手で、東京で5人も殺して神戸にほとぼりを冷ましにきたヤクザもんというのが本作での石原裕次郎の役回りです

彼は神戸でも何人も殺人を犯すので、血に塗られた波止場という意味合いでしょう

赤いとタイトルに冠がつくのは、本作が最初ではないかと思います
次は1964年の赤いハンカチになります
そして70年代にテレビドラマで、赤いと名のつくドラマシリーズが幾つも作られて行きます
なので本作が赤いシリーズの元祖なのでは無いでしょうか?

62年前の神戸ロケがとにかく凄い
すっかり様子が違います
懐かしいのは阪神大震災で被害をうけ取り壊しになった神戸新聞会館が登場します
調べてみると1956年に建ったそうです
あとは中華街の南京町はまあ変わらない
メリケン波止場にはいまはオリエンタルホテルが建って様変わりしてます
ポートタワーは1963年完成なので当然登場しません
今よりも遥かに遠くの外国とつながっている港町の光景です
高速道路の2階建ての高架もなく、波止場から居留地の西洋風のビルがすぐそこに見えます

とにかく石原裕次郎がすごい
冒頭から生成り色の麻のスーツ、白い網革の靴
少し襟が短く角が丸くてお洒落なボタンダウンのシャツ、細身のストライプのネクタイ、洒落れたデザインの大きめのサングラス
レイバンみたいな野暮ったいのはかけてません
この姿で波止場を長い脚で歩くのです
当時ならもう異次元のカッコよさだったでしょう
そりゃあ伝説になりますわ!

主題歌は中盤で、劇中で裕次郎が歌いながら踊る、まるで今日のPVの元祖みたいな形で挿入されています

北原三枝は可憐で気の強そうな真面目な顔立ち
そして細い!それが清潔感につながっています
こりゃもう裕次郎も惚れるのは当然です

北原三枝とのロマンスは始まりそうで、始まる前に終わります
なのでラブシーンは有りません
でもそれがまたいい!

マミー役の中原早苗がなかなか良いです
終盤、二郎と香港に逃げることになった際の、ドレスアップしたシンプルなシャツドレス、化粧もヘアも清楚に変えています
男を待つ女のいじらしさが見事に表現されていました

主人公二郎の弟分役の岡田真澄が神戸に良く似合ってました
中盤であっけなく死んでしまうのはもったいないくらい
その彼の恋人役の新人清水マリ子が小さくて美しく記憶に残ります
二谷英明は出番が少ないですが、やはりライバルという立ち位置は不動です
轟夕起子の船員宿のママ役ははまっていました
いい味を出しており流石ベテランです

お話もなかなか手がこんでいます
予告編によると元刑事の手記に基づくものそうです
なので、裕次郎の映画にしては警察側の動きが結構取り上げられいて、刑事が最初から最後まで大きな役として物語に絡んできます

波止場と格好いい裕次郎を見たいなら本作がです
最高峰の一作だと思います

あー!、神戸に遊びに行きたい!
でもコロナで行けません
乙仲通りというメリケン波止場に近い裏道にある馴染みのバーにとっても行きたくなりました

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あき240
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