カンナさん大成功です! : インタビュー
「私が愛されないのは、太っているから。きれいじゃないから――」。人気漫画家・鈴木由美子の同名コミックを韓国で映画化した「カンナさん大成功です!」は、全身整形という大胆な方法で幸せを手に入れようと奮闘するヒロインを描き、本国韓国で662万人を動員した大ヒットコメディ。肥満女が美女に変身するという個性的な本作のヒロインを、特殊メイクを施して演じきった新進女優キム・アジュンに話を聞いた。(聞き手:編集部)
キム・アジュン インタビュー
「カンナを通して本当の幸せとは何か感じ取ってほしい」
――原作は日本の女性漫画家よる大ヒットコミックですが、この作品は韓国ではどれぐらい知られていたのですか?
「原作コミックは韓国でも出版されていて、特に若い女性の間で人気があり、映画化が決まってからは多くの人が公開を待ち望んでいました。私は映画のシナリオをもらった後に初めて漫画を読んだのですが、ずいぶん型破りな内容だなという印象を受けました。こういったテーマ(整形)を扱った作品があるのかと新鮮な気持ちでしたね」
――カンナはアイドル歌手の舞台裏で歌をあてる“ゴーストシンガー”をやっていますが、歌のシーンはすべてご自身で歌っているそうですね。映画の主題歌でもある「マリア」の歌声が印象的でした。
「歌については3カ月前からボイストレーニングを行いました。カンナが歌番組の公開録画で『マリア』を歌うシーンを撮ったときは、練習する設備がなかったのでカラオケに行って練習しました。でも当然『マリア』は入っていないので、曲を持ち込んで練習したんですよ」
――ファットスーツを身につけて演じている整形前のカンナ(169センチ、95キロの設定)は、「ヘアスプレー」のジョン・トラボルタのようでしたね(笑)。あの姿に変身するのはどんな気持ちでしたか?
「特殊メイクを施した自分を初めて見たときは本当にびっくりしました。私だけでなく、監督、スタッフ、相手役のチュ・ジンモさんも驚きを隠せないようでした(笑)。特にチュさんは『本当にその格好で(演技)できるの?』と心配してくれたぐらいですから。撮影中は、モニターに映る自分の姿がまるで別人のように見えて面白かったですね。俳優はどんなに役作りでイメージチェンジしても、ルックスだけは変えることができないというジレンマがありますが、私はそれすらも変えることができてすごく良い経験になりました。
約2カ月間、ファットスーツで撮影していたのですが、初めのうちはあまり声を掛けてくれなかった撮影スタッフも、だんだん慣れてくると『カンナ、何してるの?』『カンナ、一緒にご飯食べよう』と気さくに話しかけてくれるようになったんです。ところがファットスーツを脱いで元の状態に戻ると、『アジュンさん、さようなら』とまるで初対面のように急によそよそしくなってしまいました(笑)」
――カンナの見た目もさることながら、本作では全体を通して見事なコメディエンヌぶりを発揮されていますね。
「以前『クァンシクの弟クァンテ』(05・未)というコメディ映画に出演したことがあるのですが、そのときはコメディ要素のない役だったので、本格的にコメディに挑戦したのは実は今回が初めてです。演じるにあたり、チャーリー・チャップリンの作品を参考にしています。特殊メイクを施した太った状態では思い通りの演技ができないので、身体だけですべてを表現する無声映画を参考にしたんです」
――間もなく日本公開を迎えますが、観客に向けてメッセージをお願いします。
「この映画を観た女性が自信を持ち、本当の幸せとは何か感じ取ってもらいたいですね。また、男性には『目に見えるものだけが全てじゃない。目を閉じたときにこそ美しいものが見える』ということを理解してもらえればと思います」