パンズ・ラビリンスのレビュー・感想・評価
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とんでもないポスター詐欺
これほどまでにポスター詐欺な作品も珍しい。
少女が頑張るキラキラファンタジーかと思いきや、ラストまでとんでもない鬱展開だった。「ミスト」の次くらいにひどい。
それでもこの映画が不快ではないのは、主人公オフィーリアの最後の選択が尊いからだ。
例え酷い男の子供であっても生まれたばかりの弟に何の罪もない。父親のことは名前すら教えられなくても、勇敢な姉のことは伝えられているといいと思う。
この世界観は、それを望む者にはたまらない。
なんとも不思議で中毒性のある物語。
終始、地に足がついているような、いないような、
映画を観ている自分の居所さえ分からなくなる。
それは少女の空想なのか、
それとも現実としてとらえて良いのか、
判断できない内にエイドクレジットを迎える。
実際 ギレルモ・デル・トロ監督は、
観客に対して「これは空想だよ」と、
完全に表現をしていない。
恐怖の世界での幸福感
その少女は何を思う。
実際 何を背負っている。
そこから生まれる新しい世界は
明るかろうが、暗かろうが、
登場人物と観客のもの
ーーしかしーー
劇場公開して随分経つが
今日まで完全に未消化であり
「ほんとうは、どうなの」と
悔しいけど、忘れられないのだ。
※
平和な世の中を夢みて
むか~し昔のお話です
から始まるお姫様のものがたり
可愛いファンタジーものと思ったら
まるっきり反対の
独裁的な背景の話だった
でも映像が凝っているので
引き込まれていく
15年以上前の作品なのに
古さを感じなかった
お姫様に戻るための試練が…
カマキリみたいな妖精
ダークな世界のファンタジー
武装兵力との戦い
…なぜこのファンタジーと
リアルな世界を描いているのか
よくわからなかった
アンネの日記を思い出した
迫害を受けていた時に
その苦しみから逃れる為
妄想で綴られた日記
これもそういったことなのか
嘘や争いのないお城を抜け出し
光が降り注ぐ地上に…憧れて
…でも地上は
嘘や争い事で人が死んでいく
地上は生きやすいところ
ではなかった
平和な時を過ごしていると
何か私欲を求めて
…独裁者が戦争を起こす
それの繰り返し
平和なお城に帰りたかった
お城に帰れなかったお姫様の
…お話です
平和な世の中に
…生まれたかった
オフェリアが
産まれてくる赤ちゃん
に未来を託す言葉が印象的
余談…
大尉がナチスの
ヒトラーに何処となく似ている
中毒性のある恐ろしい映画。
普段ホラー映画はエグい描写が無理で見られないのだけど、こちらも同じくらい恐ろしいシーンが多く、チキンには見るのが辛い物語。
冒頭から心臓が止まりかけた。
ダークファンタジー怖い オェェェェ
それなのに、吐き気を催しながらなんとか最後まで字幕で見た後、解釈を考えて理解し直すためにまた日本語吹き替えで見直してしまった。
永遠に抜け出せないラビリンスのループ。
そして降参してそっと封印したのに、さっきまた見てしまったので、もう潔くレビューを書くことにした。
何が怖いって、こういう現実が実際にあって、今でも同じ苦しみを持ちながら、想像や空想を頼りに何とか命を繋いで生きている幼い子達がいることをリアルに感じてしまうから。
映画はどこまでもエンタメであってほしいっていう生温い考えを、何度もピストルで撃ち抜かれた。
登場人物が何かのメタファーで、とか空想オチで、当時の内戦がどんなもので、とかいろいろな情報や考察を読み漁って、一周したところでなんとなく私なりの答えが見えた。
想像や妄想や空想は鏡のようなもの。
どっちも本当で、どっちの世界でも生きている。私もそんな子だった。
大人には見えない、というより他人には絶対理解されない。されるはずもない。
あっちとこっちの世界を行き来している訳ではなくて、その全ては現実としてパラレルワールドのようにどちらも存在している。
無いのではなく、確実に「ある」のだ。
自分だけの中に。
生死にこだわってしまうと、最期のシーンはただただ可哀想な主人公に見えるけど、そんなものは超越して魂レベルで見る成長物語なのかなと。
輪廻転生があるなら。
来世では王女として争いのない世界に生きられているはず、だよね。
それだけの強い強い思いが彼女にはあったから、必ず願いは叶う。
そう思わないととてもやっていけない。
今現在、争いのない場所に生きていられることだけで幸せなのに、なぜ時々不幸を感じてしまう必要があるのか考えさせられる。毎回。
きっとまた見るんだろうな。オェェェ
大人のダークファンタジー
作品の時代背景がスペイン内戦中ということもあって、全体的に不穏な空気がただよっている。
登場するキャラクターはどれもグロテスクで、少女の無垢な雰囲気とのコントラストが癖になる。
オフェリアが導かれた王国は、現実逃避的な妄想なのか、それとも本当に私たちの知らない地下深くに存在するのか。
どちらともとれるだろうし、結末についても、オフェリアの夢落ちと考える人もいるだろう。
現実世界に希望を見いだせないオフェリアにとっては、夢の世界で生き続けるほうが幸せなのかも。
作品の疑問点は、
①ペイルマンと出会った部屋で、なぜ妖精は本当の鍵穴とは違うほうを指さしたのか。
これは妖精のいたずらとも考えられるが、それにしては意味深な気も……。
②なぜ彼女はブドウを食べてしまったのか。
あれだけパンに忠告されていながらなぜ?もしかすると内戦中で新鮮なフルーツを食べる機会が減っていたのかも。
③メルセデスが言っていた「パンに気をつけろと母が言っていた」とはどういう意味か。
メルセデス(もしくはその母)はパンに会ったことがあるのでは?最後のシーンで、オフェリアの部屋の壁に描かれたチョークの扉を見て真っ先に王国の入り口である遺跡に向かったのも納得。
弟がいるという共通点もある。
メルセデスは自身が王国に行くために最後の試練で弟を差し出そうとし、それによって王国へ行くことができなかったのでは?
あまり軽い気持ちで見ると、結構ぞっとさせられる。(特にペイルマンとか)
大人のダークファンタジー。子どもにはちょっとはやいかな。
耐え難い現実があるからこそ、幻想が生まれる
2022.84本目
苦しく、残忍で、超現実的で、それでいてどこか幻想的で美しい映画。大好物だった!
だいたいのあらすじ自体は知っていたし、ジャンルは「ファンタジー」なので、「3つの試練や、王国の中での話がメインなのかな」と思っていたけど、
実際は現実の部分(両親とのやりとりや内戦の描写)がメインになっていたのに驚いた。ファンタジーはファンタジーでも、現実の部分をこれでもかと見せてくるファンタジーだった。
なんだかんだで1番印象に残ったのは、医者のおじいさんの、
「何の疑問も抱かずひたすら従うなんて、心のない人間にしかできないことだ」
というセリフ!死に際も美しく、カッコよく見えた!
残忍で人の心を持たないような人間ばかりがこの映画に出てくるので、より一層このシーンが輝いて見えたのだと思う。勇気をもって自分で正しい道を選択した彼が、とてもカッコよかった。
と、今書いていて思ったけど、
オフェリアの3つめの試練の選択も (弟を犠牲にしなかった)勇気のある選択だったな。
過酷な現実の中で、勇気ある選択をすることはとても難しいし幻想に思えるけど、美しい。
グロテスクな描写やモンスターにばかり話題や印象がいきがちだけど、オフェリアやメルセデス、医者の内面の美しさや輝きにもっとスポットが当たるべきだと思う。
一応ファンタジー映画なのに、お母さんやメルセデスから「人生はおとぎ話じゃない」と何度も言われるのも印象的だった。
耐え難い現実があるからこそ、幻想が生まれる、幻想が輝く。
これが真のファンタジー映画か、と妙に納得した。
安っぽい少女暴行フェチ
バケモノたちの微に入り細に入ったキャラクター造形には恐れ入るが、今更「暴虐を受ける薄幸少女」というありふれたフェチズムをおおっぴらに開陳されたところでそれほど面白味はない。いっそ開き直って露悪に振り切れるでもない限り、ここは少女をどうにかして生に繋ぎ止めるのが映画としての然るべき倫理だと思う。少女の体験した摩訶不思議なあれこれに関しても、結局その実在性は宙吊りになったままで、一体なぜそこまでして少女を酷い目に遭わせ続ける意味があるのだろうと疑問に思った。この監督が「無垢なる少女を現実世界の不条理に犯させることでより一層鮮烈な画が撮れるはずだ」などといったことを考えていたのだとしたら、それは本当に軽率だし、作品としても粗悪なポルノ以上に価値がない。
いや、別に、この人に「俺は少女が酷い目に遭っているのが好きだから、とにかく少女が酷い目に遭う映画を撮るんだ!」くらいの明確な目的意識と気概があるのなら、それはそれでいいと思うし、そうであれば私だってもう少し楽しくこの映画を見ることができたと思う。しかし本作はそういった私的なフェチズムを歴史・社会批判という大義名分で小綺麗に隠蔽している。そういう小賢しさが目について仕方がなかった。
この結末をあなたはどう受け止めますか?
初めてDVDを買った映画。
ダークファンタジーの一言では片付けられない作品。
主人公が生きるスペイン内戦下の時代の過酷な環境や人間の残酷さが、
ファンタジーの世界とのギャップによって色濃く描かれています。
ホラー作品が大の苦手な私にはギリギリのシーンがところどころありますが、
それよりも内容の奥深さに心を奪われたインパクトの方が強く残っています。
最後の結末をどう受け止めるか?誰かと真剣に語り合いたくなるような映画です。
眠り(死)に誘う子守唄。忘れ去られた永遠の物語。
内容は、1944年6月頃スペイン独裁政権統治下に於けるスペイン🇪🇸の田舎が舞台。主人公の少女と母親が継父の元へ来る所から始まる。過酷な現実とそれに向き合う寓話を織り混ぜた(認識論)少女の魂の救いの物語。好きな言葉は『妖精を信じる?』の問いに『子供の時は信じてた。昔は沢山の物を信じてた。でも、今は違う!』誰しもが通る道もまた寄る年月や人によって違う厳しい言葉。共感しました。食事の時に牧師が語る『神が既に彼等の魂は召されている。肉体になど意味はありませんよ!』嘘っぽくて軽くて面白かった。『世の中は残酷よ!例え傷付いても学ばないと!』ここでマンドラゴラが焼かれる姿はなんだか苦しい。映像的には、デルトロらしくCGと特殊効果が巧みに組み込まれていて上手かったので話が分かりづらくなったのかなぁと感じました。stigmaの様に、掌に👁を付ける子供を食べるペイルマンこれは怖い!^_^鳥肌物です。この時に映像的には真ん中の扉のはずが左を選ぶ。『違う!これだわ!』鍵穴3つの内一つを選ぶ理由が分からなかったです。カエルに🐸食べさせる乾燥無花果似の石やペイルマンの食卓上の豪華な料理と葡萄🍇無垢な血🩸の献上など、モチーフをふんだんに使い世界観を表していて、凄かった。その根底に流れるテーマ、安楽死でさえ人を殺す者は、自分自身も殺される必然性や自己顕示欲の物語は語り継がれる事はない等、作家性として伝わってきました。童話と寓話の組み合わせが上手い。自分もC・アンデルセンやグリム兄弟やオスカーワイルド等は好きです。デルトロ監督は、自分が信じる世界へ自分を送り出す少女の物語。その中ではもはや少女の肉体の生死は意味を成さない。と言っている様に永遠について、虚構が現実で現実が虚構だという表現は残酷でグロテスクな効果でわかりづらくなって観る人を選んでしまうのが残念。最後の無花果の幹につくことのない花(希望の印)が咲く事が僅かな元気を感じる事もでき苦い終わりは物語の冒頭の子守唄のシーンを思い出す。伏線回収でとても綺麗。とても変態チックで素晴らしい作品。個人的には、神の王国の表現は予定調和で怖かったです。流石ダークファンタジー子供に見せるモノでも子供には見せれないよなぁ。。。
『殺しが静かにやって来る』の初見以来の驚愕だった。独裁政権はナチスの力をかりて、ゲルニカ市民へ、人類史上初の無差別攻撃(虐殺)を仕掛けている。
ファンタジーの形で語られるが、現実の歴史を語っている。このギャップが見事だと思う。同じ歴史を語った『ミツバチのささやき』を連想した。
日本のナショナリズムは世界と比べて、歴史が浅い。また、その純度も高いものではない。つまり『お国の為に』と言い始めたのは、つい80年くらい前。世界は、良くも悪くも侵略と植民の歴史が既にある。だから、日本人にはちょっと理解し難い話になってしまっている。僕も日本人なので、納得いかなかった。でも『殺しが静かにやって来る』の初見以来の驚愕だった。
オフェーリアはオフィーリアだから、この話はハムレットをリスペクトしている。そして、
母親がカルメン!2つの話を融合すると、日本人としても納得せざるを得ない。ファンタジーと言うストーリーの姿を借りて、逃れる事の出来ない過去と言う歴史を語っているのだと思った。カズオ・イシグロさんの『私を離さないで』と通じるところもある。違う所は、逃れられない歴史なのだから、泣いても良いと思った。この話は稀に見る傑作だ。
追伸 フランコ大統領の奥さんはカルメンと言う。
追追伸
現在の王様はフランコ大統領の死後、フランコ政権を引き継ぐ形で、王政復古した象徴の王様。日本と同じだが、フランコ政権は完全に否定された訳ではない。従って、フランコ政権と対峙してきた側のナショナリズムはどうなっているのだろうか。第二次世界大戦中、独裁政権はナチスの力をかりて、ゲルニカ市民へ、人類史上初の虐殺を仕掛けている。
学生時代に観なくて良かった。
初めての鑑賞。試練をこなしていくごとに良くない方へとどんどん進んでいく感じが観ていて落ち着かない。
オフェリアの行動は純粋な気持ちから来るものだと分かるからこそ物語の残酷さが目立つ。それは「縞模様のパジャマの少年」を観たときと同じような気持ちにさせる映画であり、見終わったあと私にこの映画を思い出させた。
パン、ペイルマンの見た目、冷酷非道な義父、母親の死、衝撃のラストを考えるとこの年齢で観てよかったと心から思う。もう少し若いときに観ていたら私はどうなっていただろうか。
あのラストについては色々な意見が有るが、私は“王国に最後行けた”と思うことにする。そうでなければ救いようがないからだ。
少女が生きるべき世界とは…
現実の世界をしっかり生きるべきと大人は言うけれど、少女には辛すぎて空想の世界へ旅立ってしまう。
約束を破って、つい葡萄を食べてしまった少女…
つらい現実を生きれるほどまだ忍耐強くない。
あちら側の世界で生きる方が幸せだったのだろう。
彼女の人生なのだから…
きっと彼女の選択は正しかった。
すっきりしない
オフェリアがどうしても好きになれない!!!
オフェリアが白いチョークで扉を書き、その中に入っていった時に怪物がいるんですが、その怪物がすごく長い机に座っていて、その机にはたくさんのフルーツが置いてあります。その世界のものは何一つ口にしてはいけないと忠告されていたにも関わらず、その中のぶどうをバレないだろうと二粒食べてしまいます。妖精たちに注意されたにも関わらず。
そこからオフェリアには嫌なことが続きますが、泣いても喚いてもざまあみろとしか思えません。死んで生成です。
ここまでを踏まえて、全部少女の妄想だったのかもしれませんね。難しい。
王女様
おとぎの国へ迷い込む話との前情報から想像するものとは全く異なり、こんなにも主人公に救いのない話はそうないと思った。少女が少しでも想像の世界に助けられて、生きているうちに幸せそうにしている姿を見たかったと最初は思ったが、残酷な現実を生きる少女が逃げ込む想像の世界はやはり厳しく異形蠢くのものであり、夢らしさはせめて王女様と呼ばれてかしずかれるくらいのもので、真の幸福は想像することすらできないのがリアルなのかもしれないと、あとになって思った。製作者はそんな果てしない闇を描きたかったのだろうかと思う。
やはり苦手なファンタジー
苦手なファンタジーをシェイプオブウォーターつながりで。
時間も限られてるあの緊張感あふれる中で、何でやるなと言われてることやっちゃうかねぇ。あそこまでいったら大尉もしっかり始末してほしいし。
作品的には一応はハッピーエンドなのかな。
全144件中、21~40件目を表示