未来予想図 ア・イ・シ・テ・ルのサインのレビュー・感想・評価
全5件を表示
結末予想図が立てられるので、終盤まで全く面白くない
まるで延々とあらすじを聞かされているような映画。2人の出会いからスペインへの卒業旅行、そしてそれぞれの就職、別れ・・・結婚披露宴で新郎新婦の生い立ちや馴れ初めをビデオで流すことが多くなっていますけど、それを第三者が強制的に見せられている気分になりました。ちょっとでも感情移入させるようなエピソードがあればいいのですが、演出・演技ともそれを拒んでいるかのような作りでした。
演技力の無さは主演の2人以外にも原田泰造が酷いし、松坂慶子さえもそれに毒されてしまったように思えました。観客は、ヒロインが困難な就職活動を苦労して乗り切った姿を見たい。仕事の都合で別れなくてはならない悲しさ、そして苦渋の決断をした心理描写を見たい。それなのに淡々と物語が進むだけでは、感情をどこに持っていっていいのやら・・・ただ、友人想いの弓削智久や罵倒する妹の藤井美菜がチョイ役ながら雰囲気は良かったし、目立ってないけど光石研も良かった。
などと文句ばかりつけてもしょうがない。とにかくこの映画は、スペインのロケ地、ガウディのサグラダ・ファミリアを中心とした建築物が素晴らしいのです。また、クライマックスの花火のシーンなどもきっと満足させてくれるハズ。個人的には、路地裏でクラシックギターを奏でるおじさんが好きだ(最初に弾いてたのは名曲「アストリアス」。2回目はわからなかった)。
ドリカムの曲が素敵なだけに、映画の不出来が悔やまれる。もしかすると、ラスト10分くらいを切り取って、PVのような短編映画にしたほうが感動できるかもしれないのです。先週、“ドリカム吉田美和の夫、末田健氏死去”という訃報を耳にしたばかり。彼女の歌声を聴くだけで涙がこぼれてしまいました・・・
【2007年10月映画館にて】
言葉の大きさが泣かせます
スペインのバルセロナ。この街をガウディの建造物抜きで語るのは難しい。だからこそ、一度でもこの街を訪れたことのある人たちは、この映画が提供する数少ないグエル公園やサグラダ・ファミリア寺院のシーンに大いに胸を揺すぶられることだろう。特に、ライト・アップされた寺院は、色彩的にも形状的にも夜空を焦がす花火にも似て美しい。横浜のベイエリアから打ち上げられる花火が、時空を超えて寺院の中空で炸裂するラストに近いシーンは、物語のハッピーエンディングを象徴する。
主役の松下奈緒は、顔の大ぶりな造作で随分と得をしている。目も口も鼻も大ぶりで、20代にも当然見えるし、30代と言われても頷ける。約10年という時の流れを、だから、いともたやすくこなしている。
アイシテルのサインを交し合う若き女と男。夢を見続けることを心から大切に思う女。そして、その女を一途に誠実に愛するがゆえに自身の夢を放棄しようとする男。女はある決断をする、男の夢を実現させるために。この映画では、その決断が全てだと言ってもいい。
寺院の内部で働く石工(加藤)の最初の台詞があまりに唐突でぎこちなく、出版社の編集長(石黒)が、いかにも作り物臭くてイマイチだが、あとは悪い出来ではない。ストーリー性には欠けていても、一つ一つの言葉の大きさが十分に泣かせる。
あの、名曲が…。
あのドリカムの歌が映画に!青春時代(吾輩にも、あったのだよ!)よく聞いた、あの“名曲”の世界が果たしてどんな風に映像化されているのか?かなり期待を抱いて観に行きました。
公開前日に放送されたTV特番で、主演の松下奈緒チャンが『この曲のリアルタイムな頃は、まだ幼稚園児だった(?!)ので…』てな事を、のたもうておりました。そうですこの曲「未来予想図」と「未来予想図Ⅱ」は、今やJ・POPラブバラードのスタンダード・ナンバーになったと言っても過言ではないでしょう。当然、映画の中で2曲とも使われてますし、それを聞いて改めて『イイ曲だな~』と再認識させられました。
で、肝心の映画の方なんですが、何でこんなにストーリーが薄っぺらいの??スペインロケまで敢行してるというのに!一応“1組の男女の10年間に渡るラブ・ストーリー”ってことなんですけれど、そんな重みをまったく感じさせられなかったです。何と申しますか『え?何でそんな風になる??』『え~?どうしてそんな風に考える??』と、ツッコミを入れたくなるシーンの連続で、全然話に感情移入が出来ませんでした。10年間を追っ掛けて、キスシーンの1つも無いなんて、リアリティ無さすぎますよね!作中『♪~バイクのメット、5回ぶつけてた~♪』『♪~ブレーキランプ5回点滅~♪』と言った歌詞を再現したシーンも出てくるのですが、ただそれだけなんですよね。もっと歌の世界を映画に反映させてほしかったのに、それが充分にストーリーに活かしきれていない。そんな印象を持ってしまいました。後、さやかの母親役を松坂慶子さんが演じておられるのですが、この人の存在(“やたら浮き上がった博多弁”をしゃべるんです)が、この映画を“若者向けのオシャレなラブ・ストーリー”にするのか“古き良き時代の日本恋愛映画”するのか非常に方向性を曖昧にさせてしまっているような気がしました。
実は最後(エンド・ロールがながれた後、ホントに最後の最後)に、この映画の主題歌「ア・イ・シ・テ・ルのサイン ~わたしたちの未来予想図~」が流れ、それと共にとても重要なシーンがスクリーンに映し出されるのですが、それだけでもよかったような…極論で言うと、そこへ至るまでのストーリー(2時間ほどあるんですが)端折ってもイイかも…とまで思ってしまいました。素材がイイだけに、とても期待していたのですが、これは非常に残念な映画となってしまったような気がします。
但し、何度も言いますがドリカムの曲は、とても素晴しいです。コレは映画を観て今回改めて再認識させられました。うん、“グッ”と来ますね。
全5件を表示