「結末予想図が立てられるので、終盤まで全く面白くない」未来予想図 ア・イ・シ・テ・ルのサイン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0結末予想図が立てられるので、終盤まで全く面白くない

2020年12月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 まるで延々とあらすじを聞かされているような映画。2人の出会いからスペインへの卒業旅行、そしてそれぞれの就職、別れ・・・結婚披露宴で新郎新婦の生い立ちや馴れ初めをビデオで流すことが多くなっていますけど、それを第三者が強制的に見せられている気分になりました。ちょっとでも感情移入させるようなエピソードがあればいいのですが、演出・演技ともそれを拒んでいるかのような作りでした。

 演技力の無さは主演の2人以外にも原田泰造が酷いし、松坂慶子さえもそれに毒されてしまったように思えました。観客は、ヒロインが困難な就職活動を苦労して乗り切った姿を見たい。仕事の都合で別れなくてはならない悲しさ、そして苦渋の決断をした心理描写を見たい。それなのに淡々と物語が進むだけでは、感情をどこに持っていっていいのやら・・・ただ、友人想いの弓削智久や罵倒する妹の藤井美菜がチョイ役ながら雰囲気は良かったし、目立ってないけど光石研も良かった。

 などと文句ばかりつけてもしょうがない。とにかくこの映画は、スペインのロケ地、ガウディのサグラダ・ファミリアを中心とした建築物が素晴らしいのです。また、クライマックスの花火のシーンなどもきっと満足させてくれるハズ。個人的には、路地裏でクラシックギターを奏でるおじさんが好きだ(最初に弾いてたのは名曲「アストリアス」。2回目はわからなかった)。

 ドリカムの曲が素敵なだけに、映画の不出来が悔やまれる。もしかすると、ラスト10分くらいを切り取って、PVのような短編映画にしたほうが感動できるかもしれないのです。先週、“ドリカム吉田美和の夫、末田健氏死去”という訃報を耳にしたばかり。彼女の歌声を聴くだけで涙がこぼれてしまいました・・・

【2007年10月映画館にて】

kossy