劇場公開日 2007年9月22日

「2」キャンディ くるまやさんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5

2009年11月20日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

幸せ

二人はもう恋に落ちていた。
だからどんな出会いに導かれたのかが気になる、
それが物語りの理由であるべきだったと。

それともそれもどこかに隠されていたのかも
私にとっては「描きたい絵」を描きたかっただけに見えて、
だからその分、柔らかなひかりがとても優しく、
何も残さないようにふわりと過ぎていくひとつひとつのシーンが
琥珀色の香水のように後姿を残していきました。

二人の間にあった愛のことは、
体温を感じるくらいに伝わってきて、あの昼下がりがほしくなる。
男の人の長い腕や肩幅と、女の人の華奢なウエストや白い肌、
どんなに自堕落で救いようのないほど惨めでも、
その美しさはずっと、画面に溢れてた。

今の私はちょっとおかしいので
ダンがいつショックガンで頭を打ち抜くのかと、
そればかり待っていたのだけど、
最後まで生き延びたのはダンだったから少し驚いた。
でも二人とも生きていてよかった。
死んでしまえば何もない。苦しみのない世界の誘惑は甘く憧れるけど、
誰かと思いあう、その温かさを知っていれば生きていける。
かもしれない。かも。

「堕す」ことへの認識の違い。
でもあんなの悲しすぎる。
悲しみでしか変化していけないなんて残酷。
だけど、誰かと苦しみを共有するのは到底不可能でも、
それを諦めたらもっと寂しい。
どんなときでも、どんなことがあっても、
私の体温は私だけのものになってほしくない。

キャンディきれい。
ヒースレジャーの瞳は深い緑色をしていた。
羽根のように二人は、重力なんて感じなかった。
映画が終わったときにその反動が少し。

くるまやさん