エディット・ピアフ 愛の讃歌のレビュー・感想・評価
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苦しみは私の心に 足は椅子の上に
エディット・ピアフ( 本名:エディット・ジョヴァンナ・ガション )をマリオン・コティヤールが熱演 ✨
『 ピアフ 』、下町言葉でスズメの事らしい。
日銭を稼ぐ為、未だ幼いピアフが曲芸師の父親ルイと共に街角に立つ姿が切ない。
父親から離れ、友人と共に街角で歌うピアフに目を留めたバリ名門クラブ・ジェルニーズの支配人ルイ・ルプレにスカウトされ、ステージで歌うようになる。
恋をし、歌に生きたピアフの姿が沁みる。
ー ティティーヌの為に
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕)
愛しなさい。
シャンソン歌手エディット・ピアフと言えば、タイトルにもあるように「愛の賛歌」や「バラ色の人生」が有名だと思います。
ですが私は、劇中にも少しだけ登場する「Padam Padam(パダム パダム)」が好きなんです。パダム、パダム……と、逃げても、逃げても追いかけて来る、運命の足音。まるで、ピアフの人生を表しているような、ドラマティックで悲しく美しい、そしてとても恐ろしい調べです。
不幸な出生、成功と挫折、愛する人の喪失と怪我。心を病んで、ドラッグと酒に溺れ、晩年は歌うこともできなくなる。それが、冒頭の台詞に繋がります。
歌手として、詩人として、稀有な才能を持ったピアフは、47歳で病に没します。パダム、パダムと追って来る運命から、ピアフは逃げられなかったのでしょうか。
「Padam Padam」
パダム、パダム、パダム
それは私の後を追いかけて来る
パダム、パダム、パダム
それは覚えているか?と私を小突く
パダム、パダム、パダム
それは、私をあざける調べ
奇妙な間違いのように、私に従い付いてくる
全て諳んじているこの調べを
ピアフ(マリオン・コティヤール)は愛するマルセル(ジャン=ピエール・マルタンス)を、飛行機事故で失います。マルセルの夢から覚めて、「さっきまで、ここにいたのよ」と、叫びながら部屋中を探す。現実と夢の狭間で、マルセルの名を呼ぶピアフの、恐怖に引きつった顔に息を飲みました。愛する人を失うのは悲しいと同時に、恐怖です。二度とその人に会えない、恐怖。私も時に夢から覚め、叫び出したくなる時があります。
ラスト、雑誌の女性記者にこう質問されます。
「女性の読者に一言」
ピアフはこう答えます。
「愛しなさい」
愛と歌で駆け抜けた生涯。
両親のその後を筆頭に,
あらゆるドラマが中途半端。
素行の悪いピアフを好きにもなれず,
時間の長さを感じて退屈を覚えはじめた時に訪れる
白眉の演出で描くの訃報のあたりから,
気持ちを理解できるようになり,
人生を反映させた感情を歌詞にのせて
歌い上げる音楽の数々が彼女の姿に溶け込む
終盤の濃密なドラマの感動に泣いてしまった。
過去と現在を交差させながらも,
ややこしく感じさせず,
ジンワリと余韻を植え付けてゆく構成も見事。
そして何よりも主演のマリオン・コティヤールが素晴らしい。
人間的魅力を持つエディット・ピアフの短い生涯の
歩んできた過去を年輪のように顔に刻み,
姿だけで,バックボーンを想像させる熱演に拍手。
渾身とは,まさにこの事。
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