「力作」河童のクゥと夏休み かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
力作
自ブログより抜粋で。
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アニメだから、子供向けだからと侮る事なかれ。
2時間20分近い上映時間は子供向けアニメと考えると少々長すぎる気もするのだが、これ以上は切れなかったであろう監督の思いもひしひしと伝わってくる力作だ。
本職声優ではない芸能人やリアルに子供たちを使った声優陣のつたなさや、一昔前のテレビアニメーションかと見紛うようなキャラクターの動きにはぎこちなさを感じる。
しかし、環境問題やイジメ問題、さらにはマスコミの報道姿勢など、現代社会に潜む多くの問題に真摯に向かい合おうとする姿勢にすこぶる好感が持てた。
それは単なる勧善懲悪では語れない、今を生きる人々皆に共通する問題。
かといって堅苦しい道徳映画などではなく、家族で観られるエンターテイメント作品として存分に楽しめるところが凄い。
愛らしい河童のクゥはもちろん、子供たち、ごく普通の人々にいたるまで、キャラクターの仕草や言動に実写映画以上の人間味が溢れていていて驚かされる。
優等生的なジブリアニメとはまた違うその魅力に、アニメーションの持つ可能性、日本のアニメ文化の多様性を感じることができた。
心温まるファミリー映画としてだけでなく、大人の鑑賞に堪えうる社会派映画としても強く心に残る良作。
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