この作品は、外見なんて関係ない、心が大事みたいな綺麗事にせず、リナにとって美しくあることが本当に大切だったからこそ、それを失うことがあれだけ辛いんだと描いていたのが良かった。
北川景子が演じていることもあって、余計に印象に残った。
マキとの関係は、観終わってから色々考えてしまう。
小学生の頃のリナの誕生日会がマキの思い出として描かれるのも好きだった。あの短い場面だけで、リナがどんな家庭で育ったのかが見える。最初は父親が至極真っ当な人に見えたけど、実際の誕生日の様子を見ると、リナはかなり愛され、甘やかされて育ったんだろうなと感じた。
そして、それをリナ本人の回想ではなく、マキが覚えている記憶として見せるのがまた良いと感じた。
マキにとっては大切なリナの思い出なのに、リナ本人からしたら忘れているかもしれない些細な一日。同じ記憶でも2人にとっての重さが違うという構造にも繋がっていて、脚本の良さを感じる。
だからこそ、リナがもともと周囲を大切にする人格者で、たくさんの友達に囲まれていて、お見舞いにも色んな人が来ていたとしたら、突然友達だからと頻繁に会いに来るマキを、リナがこの人、ちょっと怖いなと受け取っていたとしてもおかしくないと思う。
そう考えると、この二人の関係はマキの友情だけで成立したものではなくて、病気になって、それまでの人間関係を失ったリナの孤独があったからこそ成立したものでもあるんじゃないかと思った。
それでも、マキと出会ったことでリナがここまで変わったのは事実。
看護師になろうと思うところまで、生き方そのものに影響を与えた。
だからこそ最後が辛かった。
もう会話もできず、身体もほとんど動かせなくなったマキを前にして、リナがマキの思っていることは分かると語る。でも、本当に分かっているんだろうか、とリナ自身が考えてしまう。
マキのことを誰より知っているからこそ、分かる部分はきっとある。
でも、本人が意思を伝えること自体が難しくなったとき、その人が今何を思っているのかなんて、結局は本人にしか分からない。
そこを考えたまま、マキが死んでしまう。
リナにとっては、自分の人生を変えるほど大きな存在になった人なのに、その人との意思疎通すら最後には確かめきれないままいなくなってしまうのが、ただただ辛かった。
マキからもらったものがあるから、これからも生きていけるみたいに綺麗に片付けるには、リナにとってマキはあまりにも大きな存在だったんじゃないかと感じた。
観終わったあとも、マキがいなくなったリナのことを考えてしまう映画だった。