「Fucking Marvellous !」リトル・ミス・サンシャイン もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
Fucking Marvellous !
*2024.01.12. 2回目の鑑賞(映画館では初めての鑑【kino cinema 心斎橋】
①やっぱり好きだ、この映画。映画が備えているべきものを全て備えているなぁ。
②映画の冒頭からパバが威勢よく『人間には2種類しか無くて、勝者と敗者のみだ』と如何にもマチズモの国アメリらしく威勢よく吹くところから始まるけれども、本作のテーマ自体がそれのアンチテーゼになっている皮肉。
そう、人間に種類なんてない。「勝者」と「敗者」なんてない。あるのは“人間である”ただそれだけ。だから人間らしく自分を見つめてながら生きていけば良い。
仮に「敗者」というものが有るとすれば、本作の家族はみんな敗者揃いである。
グランバは自分は敗者だと思っていないから初めから敗者ではない(だから退場が早かったのかな)。
でも、「敗者」✖「敗者」✖「敗者」✖「敗者」✖「敗者」(オリーブですら、くだらない“美少女コンテスト”のお高い標準からすれば敗者と言える)=の敗者を5乗した結果の爆発力を見よ!との心行き。
そう人生なんて上手くいく方が稀である。生きて行くって大変なんである。
だからこういう映画が必要なんである。
此れを教えてくれるから映画は堪らない!
④冒頭の朝食の長々としたシーンの上手さ。演出と俳優陣の動き方と台詞の掛け合い。編集無しなら大したものである。小津安次郎の『麦秋』の冒頭のシーンを思い出させてくれた。
⑤現在『指輪物語』全巻を読破中。此れを読み終わったらいよいよマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』に挑戦だ!
(1回目の鑑賞時)
①始まって10分くらいでこの映画を好きになってしまった。でもラストクレジットまで「おじいちゃん」がアラン・アーキンとは気付きませんでした。いや、お恥ずかしい。②映画だから誇張してあるけれども、どの家族でも誰でも問題を抱えている。思い通りに行かないことはいくらでもあるし(というか思い通りにいく方が珍しい)、人生の最後まで解決しないことも多々あるでしょう。でも結局自分で向かい合うしかないし納得しなければならない。一人で出来れば良いけれども支えてくれる家族が居れば尚更良いだろうという人間讃歌・家族讃歌(家族主義者ではない私が言うのも何ですが)。③途中オリーブのダンスの練習シーンを一切見せないでラストにサプライズがあるというのはよくある展開ながら、競争相手のレベルを先に見せて「オリーブ大丈夫か」という観客の心配と家族の心配とをシンクロさせた上で、あのクライマックスを持ってくるので既視感が全くない演出が上手い。④いい気持ちで観終わったが、考えてみればあの家族、帰っても結構ヤバい状況が待っているんですよね。でも何とかなるだろうと思わせてくれるのが、この映画の一番良いところ(笑)