デスノート the Last name : 映画評論・批評
2006年10月31日更新
2006年11月3日より丸の内プラゼールほかにてロードショー
随所に見える原作を超えた“遊び心”が楽しい
前篇同様、映像的な斬新さや、実力の藤原竜也VS新鋭・松山ケンイチという主演以外のキャストは面白味に欠ける。しかし前篇に引き続き、原作をコンパクトに、かつ原作の面白さをいかしつつ巧みにアレンジされた脚本はGOOD。何より今回は、前篇の大ヒットがスタッフ・キャストに良い意味での緊張感と余裕を与えたようで、随所に見える原作を超えた”遊び心”が楽しい。
その代表が松山演じるL。キラに顔がバレたらマズイと、ひょっとこお面をかぶって出現する人を小馬鹿にした態度。Lの主食とも言えるお菓子に、今回は和菓子をチョイス。真剣に捜査しているようで、どうでも良いところにこだわりを見せているナメた態度がLの“イヤな奴”度を増長していてイイ感じ。そして原作とは一味違う、映画版ならではの結末も、納得いくオチだった。
もっとも筆者が一番感動したのは、エンディングロールの「In Memory of Hiroshi Takase」の文字。前篇の撮影を担当した高瀬比呂志さんの死を巡っては、高瀬さんの業績を讃える記事よりも、興味本位に「デスノートの呪い」として取りあげられていたことが哀しかった。それだけに、この一文には胸が熱くなった。
(中山治美)