ー この純愛映画が心に響くのは、ヒロイン、薄幸のウナを演じたチョン・ドヨンの演技と、何よりもウナに一目惚れした牧場で働く朴訥、誠実、真面目なソクチュンを演じた今や韓国を代表する名優となったファン・ジョンミンの姿であろう。
やや、失礼であるがファン・ジョンミンは、イ・ビョンホンや、チョン・ウソンのようなイケメンではない。だが、その何処か憎めない風貌ゆえに、善人や悪人を自在に演じられるのだと思う。
そして、今作で彼は正に善人過ぎる善人を好演しているのである。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・自転車で擦れ違っただけのウナに一目惚れし、回れ右してウナを追いかけていくソクチュンの姿から物語は始まる。
・ウナは、”喫茶店”に勤めているが、“配達”もしている、売春婦である。この物語の時代設定は1980年頃の様な気がするが、韓国ではそういうシステムがあったのだろうか。
・ウナが、最初はソクチュンの事を”オジサン”と呼んでいたのが、彼の熱意と優しさに絆されて、いつの間にか呼び方が“おにいさん”に変わっている。
そして、二人は結婚するが、そこに現れた酒癖の悪い小男でウナの前の夫。ウナの本名がオップンと言う事も分かり、何故に彼女が売春婦をしていたのかも、何となく分かる。
・前夫に手切れ金を払うために大切な牛を手放すソクチュン。
それにしても、前夫が小男であるために、ソクチュンが頼もしく見えるんだよね。
けれども、前夫は金をとっても、ウナの事を密告し、彼女は身に覚えが無かったHIVに感染していたのに売春していた罪で、刑務所に。
<それでも、ソクチュンは只管にウナを追いかけるのである。面会に行っても何度も断られても・・。そして、母や兄からは責められ、毒を飲み声帯をやられても彼はウナに会いに行くのである。
漸く会えたユナが面会室で悪態をついても、ソクチュンは諦めないんだな。そりゃあ、ユナだって、自分と一緒になったらソクチュンが不幸になるから冷たいふりをしていたのだけれど、あそこまで思われ、赦されたらソクチュンへの思いは断ち切れないよね。
ラスト、2年の刑期を終えて出所したユナを笑顔で待っているソクチュンの姿は、沁みたよ。
今作は、素敵なるラヴ・ストーリーであるとともに、若きファン・ジョンミンの姿にヤラレテ仕舞った作品であります。>